本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「パンク侍、斬られて候」町田康
パンク侍、斬られて候
パンク侍、斬られて候
  • 発売元: マガジンハウス
  • 価格: ¥ 1,680
  • 発売日: 2004/03/18
  • 売上ランキング: 11008
  • おすすめ度 4.5


これを読み終わって17時ごろ。ちょっと寝転んだらどうやら寝てしまったらしい。この本の感想をだーーーっと書き連ねてさあ保存、って時に何故かデータを消してしまい、必死でデータを探しても見つからず、「そもそも拙者はなぜ本の感想なぞこんなせこせこ書いてるのだ?しかもこんなひっじょーに感想書きづらい本、捨て置けばよいではないか。うむ、しかし悔しい、悔しすぎる」と地団駄を踏んでるところで目が覚めた。夢かよ。しかし何書いてたんだ、思い出せないぞ、と結局地団駄を踏んでいたら、いつのまにやらやってきた飼い犬が部屋の中をうろついておる。きゃつめ、散歩の時間が近いから知らせにきおったな、よっしゃ、狸寝入りしてやれ、とまた眠りにつきかけたら、なにやらごそごそ音がする。犬がゴミ箱をあさっている音であった。何をしておる、と見ていたら、私が昨日食べた個包装のクッキーの袋に入っていた乾燥剤を口にくわえておるではないか。私は飛び起きて奴からそれを奪い取り、「ちょっと、ここに食べたらあかんって書いてるやろ!何やってんの、食い意地ばっかり!この!この!」と犬に本気で激怒して頭をはたくはたく。さすがにバカ犬もしゅんとしおった、と思ったら、2秒もたったら全て忘れた風にまたゴミ箱をあさりに行くではないか。「おまえ、ちっとも反省してへんやろ!そこに正座しなさい!」犬は当然正座なんぞせず、私の布団でべろんと横になった。「ちょっと、正座しろってば!こら!」また頭をはたかれる犬、理不尽であろう。
なんでこんなだらだらとその後の状況を書いてるかというと、感想が思い浮かばぬからである。だからだらだらと町田風(パンク侍風)日記を書いてみてやろう、と思ってこうやって挑戦しているのであるが、いかんせん全く似ない。当たり前だ。こんなブログ野郎に簡単にまねできるような小説書いてたら、町田氏もうかばれん(いや、死んでないが)のであって、私だってこんなにこの本が面白いとは思わんであろう。

さて、感想である。とりあえず粗筋だけでも書いてみるか、って粗筋ってなあ・・・。一応物語はあるんだけど、別にストーリーがどうとかいう本でもないんだよなあ、これが。
江戸時代っぽい時代のお話。黒和藩にいきなりやってきた牢人掛十之進、いきなり巡礼の老人を切り伏せては、問いただした長岡主馬に「これは腹ふり党の奴に違いないため斬った」とえらそうに言う。腹ふり党とはなんぞや、それは近隣の藩で流行った新興宗教で、この世界は実は条虫の腹の中にあり、ばかばかしい行いをしたものは異物として排出され、そして真の世界にいけるのだ、だから皆、腹を振れ。という宗派。悪いことをすればするほど排出されやすくなるため、信者は左右に腹を振りながら狼藉の限りを尽くす、そして藩は滅亡してしまうであろう。そう説く掛に言いくるめられた長岡は、掛を藩士として推挙し、一部始終を話す。藩のトップでは内藤と大浦という家老が幅をきかせていたが、この二人が仲が悪いこと悪いこと、内藤はこの掛と腹ふり党の騒ぎで、大浦を追い落とそうと策を弄するが?

ばあっと話を書いてみたらけっこうストーリーはあったんやな。と気づいてちょっと感心してしまったが、なんていうかなあ、ストーリーそのものがばかばかしくって、腹ふり党?どうせはったりやろ、と思ってたら本当にあるらしいし、信者は皆腹を振ってるし、途中から猿回しやら猿やら超能力者やら出てきてすごいことになるし、もうむちゃくちゃ。時代背景なんぞもちろん無視、江戸時代と言われても未来社会と言われても別にどうでもいいか、って感じでもあるし。言葉遣いも今のそれだし。
それに登場人物たちがあほばっかりでなあ。なんかなあ。くはは、と策略してみたり言い訳してみたりするんだけど、皆なんかどっか抜けてる。それがなんともばかばかしいというか。

でも、正直に白状しよう。私はこれを読んでる間、腹が振りたくて仕方がなかったのだ。
むずむずした。腹が。しかし。ぐっと我慢した。振ってしまってはこいつらの(誰だ?)思う壺、なんか本の世界に引きずり込まれすぎではないか。それに、腹を振ったところで、条虫の腹からなんか出られるわけないし、現実から逃げられるわけないんだから。落ち着け私。

町田作品には珍しく会話劇。町田さんの本って、会話がないんだよなあ。とこれを読んでて気づいた。いや、登場人物は喋ってんだけど、なんつうか、自己の内面をぐんぐん掘り下げすぎてて(それもパンクロックなリズムでがんがんと)結局主人公その人だけの話なのよね。あの大長編「告白」ですらそうだった。これは違う。視点を特に定めない三人称的な描き方。それで気づいたんだけど、会話がおもしろいのよこれが。むちゃくちゃ。話がぜんぜん進まなかろうが馬鹿馬鹿しかろうが、この会話劇を読んでたらもうそれだけで別にいっか、ってくらい。大阪だねえ。町田さん。テンポよすぎるよ。

でも、会話の中に時折真面目なこと、いやこれは話の筋に関係なく私たちに伝えたいメッセージでしょう、って台詞が明らかに紛れ込んでて、例えば自分のことばかり考えている若者の愚かさだとか、そういうこと。そこを読んでると軽くて皮肉な会話の中にも反省材料がてんこもりで、私も困難が目の前にあったら気絶はしないにしても逃げに入ってるよな、とか思わされた。このばかばかしい登場人物たちの愛すべきバカさ加減ではなくて、本当にダメな人間ってどんなんよ、ってのが、この台詞にたくさんこめられてるのだ。

そして、大騒動がこれでもかこれでもかと押し寄せて、ドタバタ喜劇で終わるのかと思ったら、最後には突如、虚無が押し寄せる。なに?なんでからっぽになるの?くはは、くはは、と笑いながら読んでた私はその意外性にきょとんとしてしまった。どうも、笑って終われる話ではないんではないか。気づくのが遅いんだけど、何かもっと真摯なものがこめられた本だったのではないか。いや、違うのか。ただ笑って腹をふってればいいのかどうなのか。混乱する私なのであった。

なんとなく、現実からは逃げられないのだな、腹を振ろうが気絶しようが。いたし方あるまい。なんてことを私は思ったのだったが。ま、別に伝えたいこととか、オチとか、小説の世界観とか、別にどうでもいいっちゃあどうでもいい、そんな小説であった。

褒めてんだかなんなんだか私の感想も全くわからんけど、褒めてるのよこれ手放しで。こんなばかばかしいものを最後まで夢中で読ませてくれる人って、この作家しかいないよ。そしてこんな愛すべきバカを活写できるのも、この人だけ。いい時間過ごさせてもらいました。

町田康の表紙がさらにステキ。やっぱり、顔が好みです。私は。
| comments(2) | trackbacks(7) | 17:15 | category: 作家別・ま行(町田康) |
コメント
なんだかオレはシトゲちゃんの世渡りに、自分自身を重ねてしまったりしたものさ。

ざれこさん、この本まだだったのはちょっと意外でしたが、こっちを読ませてもらってから自分が書いたレビューを読み直すと、余りの稚拙さに改めて頬が染まります。
今に始まったことじゃないので、開き直ってますが。

町田康を読むのは体力がいるので、最近は控えてましたが、町田祭りはじわじわといまだに開催中なので、そろそろ次の町田に手を出そうかと思案中。
| rocket | 2006/08/30 8:52 PM |

rocketさん
町田祭り!といいつつ実践してなかったんで、これで気概をみせたつもりです。(謎)
面白かったですね。そうそう、シトゲちゃんだった。つうかシトゲって何?みたいな(笑)
次は東京飄然あたりいっときたい私でした。お互い地味に祭り!やりましょう。はい。
| ざれこ | 2006/09/05 2:07 AM |

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