本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< May 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< ランキングにはまる | main | 「かもめ食堂」群ようこ >>
# 「日本以外全部沈没」筒井康隆
日本以外全部沈没―パニック短篇集
日本以外全部沈没―パニック短篇集
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 580
  • 発売日: 2006/06
  • 売上ランキング: 145
  • おすすめ度 4.0


「日本沈没」映画公開に併せて、この「日本以外全部沈没」も映画化されると聞き、
タイトルが恐ろしくツボにはまった私、早速購入を試みるがえらい苦労した。
思わず記事にするくらい。どこにも売ってなかったのよー。
空前の「日本以外全部沈没」ブームが来てるとも思えなかったし、
いくらなんでもそこまでバカ売れする本には思えない(失礼?)けど。
油断してあまり刷ってなかったのかなあ。

でも、8月8日現在、アマゾンでも購入可能みたいですね。
売り上げランキング145位はちょっとすごいな・・。
この「日本以外全部沈没」という短編は、小松左京氏の「日本沈没」がヒットした頃に、
なんかSF業界の集まりかなんかで、星新一氏がこのタイトルを思いついて、
それを筒井氏が書くことになったようです。
で、その年の星雲賞の長編部門を「日本沈没」、短編部門を「日本以外全部沈没」が
取っちゃった、というそんな話を聞いて、なんかいいよねえそんなおつきあいも。
とか思ってほのぼのしちゃいました。
小松氏は「俺は何年もかけて書いたのに筒井氏はささっと書いて賞取りやがって」と
思った(かコメントした)ってのもどこかで読んで、笑えましたが。

と、表題作はそんな感じで、タイトルどおりのパロディ。日本が沈むんじゃなくって、
日本以外の全部の国が既に沈んでしまった世界。日本のバーに集まってくる
偉大な外国人達がわやわや喋っている。各国首相がいるから国家闘争を始めたり
領地ほしがったり(「岩手県欲しい」「そんな、一番広い県じゃないか」てな感じで)
ものすごい偉大な演奏家がそこらでピアノ弾いてたり。そこで新聞記者が噂話をしている。
エリザベス・テイラーがとうとう道で立ち始めた、だの、アラン・ドロンがどこかで
バイトしてる、だの、ショーン・コネリーとボンドガールが出てるエロビデオがあるだの、
むちゃくちゃである。時代も古いから、毛沢東とかまだ生きてるんだよね。
今はもう歴史上の人物となってしまった人たちがごっそり集まってて、
大物だらけで笑えました。短編が終わったらちゃんと人物解説ついてますからね。
登場人物の一人、「田所博士」の解説もついてるんだけど、
「豊川悦司に似ている」んだって。笑った。「日本沈没」にもいるよね?

今だったら誰が集まるんだろうなあ、このバーには。
フセインとブッシュが酒飲んで喧嘩してたり、ビル・ゲイツがホームレスやってたり、
スピルバーグとジョージ・ルーカスが料理作ってくれたり、
アンジェリーナ・ジョリーが道で立って客ひいてたりするのかしら・・。
今に置き換えてついいろいろ妄想してしまう。しかし大変よ、日本は狭いから、
人がうようよ。あまり考えたくないなー。

と、これは短編集ですから、こんな感じのすごい設定のお話が次から次へと。
往年の筒井ワールドって感じでしょうか。ぶっ飛ばしてます。
かなり筒井さんらしい短編集じゃないかと思うけど、人に薦めていいのかどうか、
よくわからないや。好きな人はむちゃくちゃ好きだろうし、
全くついてけない人もいるだろうし。でもついていけたから良いとも思えないし。
はは。困ったもんだ。

時代が古いうえに時事ネタが大量に仕込まれていて、ちょっと私には
わかりづらい部分もありました。でも当時読んだらいかに衝撃的でいかに攻撃的だったか、
なんとなく想像がつくような感じです。
「ヒノマル酒場」では宇宙人がやってきても誰も信じない酒場を舞台に、
マスコミを痛烈に皮肉ってて、これは今でも通じる感覚。
そして「新宿祭」では多分当時社会問題だったデモ行為を祭りに仕立て上げる。
中核派、革マル派、・・・私にはもう言葉のイメージしかないこれだけど、
当時ここまでこのネタで遊んで大丈夫だったのかなあ。
で、「人類の大不調和」は、大阪の万博が舞台だけど、オチは多分今の方が
シャレにならない感じ。
靖国参拝とか、いろいろ問題あるもんねえ。ちょっと度肝抜かれちゃった。
さらに「農協月へ行く」は、当時流行だった農協ツアーをネタにした、って
解説にあったような気がするけど、農協ツアーって何ですか?
かなり面白かったんだけど、皮肉ってる元ネタが肌でわかればなお笑えるのになあ。
って思った部分は多かったかな。残念だけど仕方がない。
むしろこの時代からここまでぶっ飛ばしてる筒井氏にびびるべきか。

「日本列島七曲り」ではハイジャックで北朝鮮に行こうとする大学生達がいて、
でも客は何故かハイジャックに喜んでしまうという話だけど、
なんか三崎亜記「バスジャック」の表題作に通じるものがあった。
やっぱり似てるー。いや、ぱくってはないんだけど、発想の根底がね。
でも筒井さんの方がかなりいっちゃってるからなあ。天才肌だよな・・・。

あと、原子爆弾をアフリカの小さい部族が買いに行く「アフリカの爆弾」、
同じ仇討ちを目的とした人たちが集まってツアー組んじゃった「ワイド仇討」
なんかも、かなり面白かったです。
このとんでもない発想はどこから出てくるんだろう。
| comments(5) | trackbacks(3) | 16:46 | category: 作家別・た行(筒井康隆) |
コメント
こんばんは。
私も、「日本以外全部沈没」も映画化されると聞き、
公開にあわせて、読もうと店頭を数件はしごした人です。
がっ・・・どのお店にも置いてませんでしたorz
この間まで、ネットもダメだと諦めていましたが、Amazonで
購入可能なので、たのんじゃうつもりです^^
映画も楽しみですね。

| miwa | 2006/08/13 2:38 AM |

ざれこさん、はじめまして(^^)
筒井さんのぶっ飛びさかげんは、本当に他の作家さんにはなかなか真似できないところですね。なので大好きです。
「農協ツアー」は、多分知ってる世代なので、この強烈な皮肉にびびりまくりました。
ここまで、書かなくても…でも、その通りだったみたいな。
では、では、またお邪魔させていただきますね。
| uririn | 2006/08/16 2:12 AM |

miwaさん
そうなんですよー売ってないんですよー都会ほど売ってないんですよね。最近やっとアマゾンで買えるようになりましたね。苦労しました。miwaさんもそろそろ手に入れましたか?
実は日本以外全部沈没の一大ブームがきてるのかしら(笑)映画はでも、公開劇場が少なそうなので見れるかどうか・・。「日本沈没」はまったくみたくないのに、この映画はむちゃくちゃみたいです。B級好きの血が騒ぐ・・。

uririnさん
筒井さんの最近の本「銀齢の果て」もお年寄りから非難殺到しそうな本でしたけど、同じく70歳過ぎた筒井さんが書くと何故か何も言われない感じ・・。すごい作家さんだ(笑)今後の活躍も楽しみだし、これ読むと昔の作品も読み返したくなりました。
農協ツアーって、そんな、皆行ってたんですか。不思議・・。
ではでは、またお寄りくださいね〜
| ざれこ | 2006/08/17 1:29 AM |

ようやく読みました。
時代が・・・かなり(?)昔なので
こんな年齢の僕でも分かりづらかったです(笑)
しかし、時代背景は良く分からなくても
非常に興味深く読みました。
特に「農協月へ行く」が好きなんですよね〜。
あと、「黄金の家」も。
こんな状況になったらかなり嬉しいんですけど・・・。
| す〜さん | 2006/08/28 9:59 PM |

す〜さんさん
そう、リアルタイムじゃない分わからない部分がたくさんありましたけど、(7つ年上の人に「農協ツアーってわかる?」って聞いたけど??でした。いくつ上なら教えてくれるんだろう。母クラスかなあ)でも面白かったですよね。
「農協月へ行く」のあのオチは確かに笑えましたねえ。「黄金の家」、確かに、羨ましいかも。(笑)
| ざれこ | 2006/08/29 12:10 AM |

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/558651
トラックバック
『日本以外全部沈没』筒井康隆
日本以外全部沈没―パニック短篇集 筒井 康隆 2006年 角川文庫 P.356 ★★★★★ 「SFは法螺話だと思っている。同じホラ吹くなら、でかいホラほどいいわけで、シリアスなSFというのは真面目な顔してヨタとばすあの面白さに相当するのだろう。とにかく物
| ほんだらけ | 2006/08/16 1:14 AM |
地球以外全部沈没    〜筒井 康隆〜
地球の大変動で日本列島を除く陸地が全て海没、 世界の著名人が押し寄せた! 地球の大変動で日本列島を除くすべての陸地が水没! 日本に殺到した世界の政治家、ハリウッドスターなどが必死で 日本語を覚え、日本人に媚
| My Favorite Books | 2006/08/28 9:58 PM |
作家名つ 筒井康隆 日本以外全部沈没
日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)筒井 康隆 おすすめ平均 パニックに直面すると、その人の本性が出る日本沈没を呼んだ後では・・・理性ヒノマル酒場割と面白いAmazonで詳し...
| 活字中毒者の為の読み倒れガイド | 2007/11/11 8:05 PM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links