本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「風流冷飯伝」米村圭伍
風流冷飯伝
風流冷飯伝
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 540
  • 発売日: 2002/03
  • 売上ランキング: 14003
  • おすすめ度 4.0


積読削減のためにこんな記事「積読削減プロジェクト」を立ち上げ、
自らを奮い立たせている(わりに図書館でいまだに借りてくるんだなあ。
引き続きご協力をお願いします)んだけど、
積読のリストにこの本を挙げていたらrocketさんが、「これだけは読むな」と。
「面白いから、シリーズ全部読みたくなるから」と。
「オレはきちんと注意しましたからね?」とまで。
・・・・そしてそれにのせられ、まんまと読んで、更に積読を増やした私なのでした。
また、たくさんあるんだよなあ、シリーズが。
はいはい、忠告に従わなかった私がわるうございましたよ。

いやはや、面白かったです。
語り口調が講談調?で独特なので、入り込むまでに少し時間はかかりましたが、
一旦入り込んでしまうと今度は抜けられなくなってしまって。

時は江戸時代。讃岐丸亀藩の隣にある風見藩が舞台。そこに江戸からふらっと、
幇間(たいこもち)の一八がやってくる。歩いているとあまりに皆がじろじろ見るので、
桜色の羽織が派手すぎたか、と思っていたら、冷飯食いの次男坊のお侍の
数馬に出会って聞いてみたら、どうやら男は城の左回りに歩くと決まっているらしい。
なんともおかしい藩だ。そう思いながら、飄々とした次男坊の数馬につきまとう一八、
なんだか動きが怪しいのだが・・・。

さて、たいこもちとは。
幇間(ほうかん)は、宴席やお座敷などの酒席において主や客の機嫌を取り、自ら芸を見せ、さらに芸者・舞妓を助けて場を盛り上げる専門職。太鼓持ち(たいこもち)、男芸者などとも呼ばれる。(Wikipediaより)


冷飯食いとは。
家督を相続しない次男以降の男は温かい飯を食わせてもらえなかったから、
そう呼ばれたりするらしい。
武家の冷飯は大変で、仕官もできずふらふらとするしかない。婿にでも行けて
家督を継げればいいが、そうでない者はふらふらする。
一日中釣りをする冷飯、ふらふらする数馬、凧を揚げている冷飯、将棋をする冷飯、
美少年の冷飯。数馬の周りには個性的な冷飯達がたくさんいて、彼らとの交流を眺めつつ、
冷飯の悲哀を感じている一八だったが、彼には探ることがあって、
本当は数馬ごとき冷飯の相手をしている場合じゃないのだが。さて。

なんだかんだやってるうち、(これも変な殿様のせいで)長男には禁止されていた
将棋を司る将棋所が藩にできることになり、はりきる冷飯達。
将棋盤を持つ人のところにわらわらと集まってみたり。
一八は何故か、誰が将棋が強いか興味津々。そんな中、数馬の友人の
冷飯おじょも(っていう伝説の巨人に似てるからつけられた渾名)がいきなり起こした波乱、
そしてその後の婿取り騒動までをサイドストーリーにもってきて、そして最後に将棋大会。
さてさて、誰が優勝するのか?そして、その後に待っているものは。

架空のへんてこな藩を舞台に、藩全体が主人公みたいなこの物語。
老中田沼意次まで絡んだわりとでかい話ではあるが、でもあまりに皆が飄々としてるので、
切羽詰まった感はなく、くくくと笑っているうちに爽快なラストを迎えてしまう。
気負った感がないのがいいなあ。
キャラもすごい個性的で、特に数馬と隼人の兄弟がすごい好きだったなあ。
やる気なさすぎでしょ、二人とも。
あとは拓磨を追い回す女性陣のたくましさとか。
やだよね、女どもにずらっと道に並んで眺められちゃ。
女達もいろんな派閥があって笑えるし。愛すべき小ネタ満載のステキな時代劇。

でも、冷飯達の悲哀がなにげに織り込まれていたりもして、
ただ軽いだけじゃない人情劇にもなってる。
おじょもと数馬の友情もなんか、羨ましいし。話さなくてもわかる関係っていうか。
極端に話をしなさすぎなのがまたよかったりして。
おじょものサイドストーリーもいきなり下ネタなんだけど、数馬たちがおじょものために
一肌脱いだことといったらそれかよ、でもすごいよ、みたいな。ちゃんと伏線張ってるしな。

途中からけっこう本格的な将棋の勝負が絡んでくる。将棋を全く知らない私には
少し意味不明だったが、それでも丁寧な説明で、今の手はすごいんだな、とか、
そういうことはなんとなくわかったから、ちゃんと試合の臨場感は味わえた。
大崎善生氏の解説で推測すると、将棋をやってる人が読んでも「よくわかってんねえ」って
感じだったみたい。将棋を知ってたらもっともっと楽しめたんだろうな、っていうのが
少しだけ残念だったかなー。

この語り口調、飄々としたメンツ、そして何よりへんてこな風見藩そのものの
珍妙な魅力、一度味わったらくせになりますね。こりゃ、はまるわ。
次作は「退屈姫君伝」だそうな。お姫様だから将棋は関係ないと思うし、楽しみだな。
さて、今からbk1に買いに行こうっと。
と、こうやって普段から積読本を増やし続ける私なのでした。
| comments(4) | trackbacks(6) | 01:22 | category: 作家別・や行(米村圭伍) |
コメント
今となってはなんでこれを読んだのか、そのきっかけは定かではありませんが、多分味のある装画と、講談調の書き方です。
あの地の文を谷啓がナレーションしてるんだと思って読んでみると、次作はもっとすらすら読めるかも知れません。
なぜ谷啓かというと、今とっさに思いついたからです。

今は「金春屋ゴメス」ですね。
タイムスリップ江戸時代系が好物のオレにとっては、面白い本でした。
タイムスリップではないんですどね。
| rocket | 2006/07/21 4:16 PM |

rocketさん
谷啓ですか。なぜ谷啓?でも次はそう思って読んでみます。なんかでもクレイジーキャッツな雰囲気ありますよね、この本、と適当にコメントを返してしまうのは私の悪い癖か(笑)
谷啓はトロンボーンのイメージが強いです。私には。

「ゴメス」けっこう面白かったです。ま、確かにタイムスリップじゃないですね。
| ざれこ | 2006/07/22 2:48 AM |

初めまして。
米村圭吾さんの作品はどれも軽快で一気に読んでしまえるので、はまってしまっても大丈夫ですよ。
僕は、「退屈姫君伝」、「おんみつ蜜姫」をおすすめします。
| sekki | 2006/07/26 8:19 PM |

なかなかよいですよね〜。「大ヒット」はしないにおいがしますが…こっそり楽しむからいいの♪的な。ざれこさんに背中を押していただいて読めてよかったです!
| chiekoa | 2006/11/06 1:17 PM |

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○「風流冷飯伝」 米村圭伍 新潮社 1575円 1999/6
今から4年前に書いたのだなあ。最初から自分のことを“評者”と読んでいたのだなあ。 のっけから面白い。江戸流れの幇間(たいこもち)一八(いっぱち)が、初めて訪れた四国讃岐の小藩の、城下をひょいひょいと歩いているところから物語は始まる。江戸の幇間(←「
| 「本のことども」by聖月 | 2006/07/20 8:14 AM |
米村圭伍のことども
  ○ 『風流冷飯伝』 今考えると◎◎の評価が妥当かと ◎◎ 『退屈姫君伝』 既読書評なしm(__)m   ○ 『錦絵双花伝』 文庫化改題→『面影小町伝』 既読書評なしm(__)m   ○ 『紀文大尽舞』 ◎◎ 『おんみつ蜜姫』 ◎◎ 『退屈姫君 海を渡る』   ○
| 「本のことども」by聖月 | 2006/07/20 8:15 AM |
「風流冷飯伝」(米村圭伍著)
 今回は 「風流冷飯伝」 米村 圭伍著 です。この本は第5回小説新潮長篇新人賞受賞作ですね。
| たりぃの読書三昧な日々 | 2006/07/20 7:26 PM |
風流冷飯伝(米村圭伍)
こちらのブログで紹介されていて しかも 「面白くてシリーズ全部読みたくなるから読むな」という忠告を無視して読んで やっぱり面白かった、と言っている。 そんな本、読まないでいる方が無理というもの。 さくっと購入。 語りも全て江戸時代の口調なので
| fullmoon at sunnyday | 2006/09/04 11:16 PM |
風流冷飯伝 [米村圭伍]
風流冷飯伝米村 圭伍 新潮社 2002-03 舞台は四国は讃岐、風見藩。江戸からやってきた幇間・一八が出会ったのは、武家の次男、「冷飯食い」の飛旗数馬。数馬と知り合ったことをきっかけに、一八が巻き込まれた騒動は…。 うん、面白かった!こういう「語り口」の本
| + ChiekoaLibrary + | 2006/11/06 1:15 PM |
● 風流冷飯伝 米村圭伍
風流冷飯伝 米村 圭伍 新潮社 1999-06 江戸の幇間である一八は、わけあって四国讃岐の風見藩という小藩にやってきました。城の見えるところまで来ると、道行く人が皆、妙な顔つきで自分を見ている事に気がつきます。そんなときに、通りがかった飛旗数馬という武士
| 本を読んだら・・・by ゆうき | 2006/11/28 4:06 PM |
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