本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「血文字パズル」
血文字パズル―ミステリ・アンソロジー〈5〉
血文字パズル―ミステリ・アンソロジー〈5〉
  • 発売元: 角川書店
  • スタジオ: 角川書店
  • 発売日: 2003/02
  • おすすめ度 3.0


急に若竹七海ブームが再燃した私、確かこのアンソロジーには葉崎シリーズの
短編が載ってた、とあわてて探し出して読んでみる。
それも、久々の新刊「民宿・猫島ハウスの騒動(仮)」が
7月に発売されると知ったからだが。
(しつこい?つうか、発売されなかったらどうしよう・・・)

ここに収録されていた「みたびのサマータイム」という短編もやはり葉崎市が舞台で、
そして猫島海岸という地名が出てきた。新刊も葉崎シリーズで間違いないみたい。

で、私が目当てのその若竹七海の短編の他に、
有栖川有栖、太田忠司、麻耶雄嵩の短編が収録されていて、
全部読んでやっと気づいたんだけども、どうやらダイイング・メッセージを題材にした
短編が集められているようだ。おもしろい企画。
しかし私は本格ミステリ読んでないな。有栖川氏はアンソロジーでしか読んだことないし、
太田氏、麻耶氏はこれが初読だ。あんなに有名な人達なのに。
所詮、似非ミステリファンだからなあ。トリックとか探偵とかも好きなんだけど、
結局は、小説としての深み、みたいなものを求めているのかもしれないなあ。
もちろん本格ミステリにそれがないと言い切るのは偏見だけど。
現実を忘れてぱあっと楽しむにはベタなミステリが一番効くし。またいろいろ発掘したいな。

砕けた叫び 有栖川有栖(「赤に捧げる殺意」にも収録)

多分ファンには有名な火村センセイと有栖川有栖のコンビが、死体のそばで割れていた
陶器でできたムンクの「叫び」人形の謎を解く。
どっちが探偵役かよくわからないのはこのシリーズではいつものことなんだろうか。
ホームズとワトソンの関係性が薄く、お互いがお互い推理していて、話し方も似ている印象だった。
「叫び」が遺したメッセージは意外なあたりを突いてきて、けっこう面白かった。

八神翁の遺産 太田忠司(「赤に捧げる殺意」にも収録)

刑事が会いに行った伝説の探偵は女子高生、と、そのおばあちゃんのデュパン鮎子。
事件は公園で死んでいた男の話。八神翁という町の功労者の孫が死んでいた。
孫は八神翁の遺産を探していたようだ。そして死体の横にはダイイング・メッセージ。
しかしおばあちゃんは熱心には聞いてくれない。こりゃ駄目だ、と刑事は思ったが・・・
事件の謎だけじゃなくてそんなとこまで解いちゃうのか、短編なのに。すごい。
そして、二人一組、ホームズでもワトソンでもないこの探偵たちも興味深い。

氷山の一角 麻耶雄嵩(「赤に捧げる殺意」にも収録)

メルカトル鮎というとんでもない探偵が出てくる。こいつが性悪。かなり性悪。
いつもワトソン役をやっているミステリ作家の美袋に、今日は探偵をやってみろよ、
と衣装(シルクハットとか)を貸してやる。はりきる美袋は容疑者4名に
事情聴取をするが、どうもうまくいかず・・・。
いやあ、何度も言うけど探偵がひどい。すごいひどい。でもいいわ〜。
トリックとかはまあ、一番すっきりしなかったけど、でも面白かった。
メルカトル鮎、他にもシリーズ化されてそう。面白い本ありますか?誰か教えて下さい。

みたびのサマータイム 若竹七海(「青に捧げる悪夢」にも収録)

杉原渚は17歳になった。でも誕生日は誰も祝ってくれない。
一人、昔来たことがある崖の近くの古い別荘に行ってみると、
自殺と間違えられて男性に止められる。その男性とのひと夏を描いた短編。

「クール・キャンデー」の渚だ、葉崎市だ、とか、若竹ファンには嬉しい設定で、
ほろ苦い青春ミステリとして楽しめた。
ちょい不良(って死語ですかね)の剣崎と渚が反発したり近づいたりする様子が
すごいかわいくって、微笑ましかったです。
これだけは、探偵を生業としている人が推理をするんではなくて、女子高生の渚が
推理をしている。犯人探しでなく、ダイイング・メッセージを読み解いて、
死者が最後にどんな想いで死んでいったのか、それが二人にしみいる展開になってて、
そこも、ダイイング・メッセージの記号性がなくて、人間味があってよかったところかな。

ダイイング・メッセージって、そもそも哀しいよね。
殺されたことも哀しいけど、人生の最後に遺すのが殺した犯人の名前なんて、
その人の人生なんだったんだ、って感じ。寂しいもんです。
ま、それを考え出したらミステリなんか書けませんってね。すんません。
| comments(2) | trackbacks(1) | 00:33 | category: アンソロジー(他) |
コメント
こんばんは。
メルカトル鮎というか、麻耶雄嵩は刊行順に読むことをお薦めします。強く。
まずは『翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件―』から。いきなり最後かよっ! って感じですが。笑
メルのひどさは『メルカトルと美袋のための殺人』という短篇集でいかんなく発揮されていますよ。
| マリ | 2006/07/04 12:13 AM |

マリさん
おお、ありがとうございます。いきなり最後からですか(笑)わかりました。とりあえず1冊、挑戦してみます。メルのいじめっぷりをじっくり読みたい気もするのですが。性悪ですね、私ってば。
| ざれこ | 2006/07/04 12:27 AM |

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血文字パズル―ミステリ・アンソロジー〈5〉 有栖川 有栖, 麻耶 雄嵩, 太田 忠司, 若竹 七海 「どうだった。意外と様になっていただろ」  自信を持って後ろを振り返る。すると今までずっと顔を伏せ待機していたワトソン役がつつと近寄ってきた。 「君ねぇ。君こ
| book diary | 2006/07/04 12:15 AM |
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