本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ピンク・バス」角田光代
ピンク・バス
ピンク・バス
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 420
  • 発売日: 2004/06
  • おすすめ度 3.67


この本、家に2冊ありました。間違えて2冊買ってたらしいです。
積読も300冊にもなるとこういうこともあるわけですが、けっこうショック。

と、2冊もあるのに読んでもないって私ってどうよ、と思って、手にとってみた。
2編の中編、「ピンク・バス」と「昨夜はたくさん夢を見た」収録。
うわ、なんか読んで数日経ったら印象薄・・・。あまり覚えてないぞ。
「ピンク・バス」は、妊娠がわかったばかりの女性サエコの家に、夫の姉が突然現れ、
いきなり住み始める。情緒不安定な姉に振り回されて不安定になるサエコは、
捨ててきた過去をどんどん思い出していく。
姉は「ピンクのバスがきたら帰るから」というのだが。

結局はお姉さんとの確執の話ではなく、妊娠期で不安定になったサエコが、
自分の内面に深く入り込んでいく話だ。
なりたい自分になるために、いらない過去の記憶を綺麗さっぱり消し去って
生きてきたサエコは、大学の時にいた浮浪者風の男のことも、友達に言われるまで
思い出さない。でも突然彼と過ごした日々があふれ出てきて、現実と過去が混じり合っていく。
最後はどこまでが現実なのか妄想なのかわからない。

過去をあまりにも綺麗に捨てるサエコ、捨てたい過去は私もたくさんあるけど、
捨てたくない過去もたくさんある。綺麗さっぱり全部なくすなんてできない。
新しい世界に行きたい、自分を変えたい、そんな欲求が強すぎるサエコには、
気持ちはわかりつつも感情移入は難しかった。ホームレスと過ごす日々、
何か自分を満たすものはないかと探すひりひりした焦燥の日々。
そこまでしなくても、と思いながら、私もずっと漠然と、何か自分を満たすもの、を
探しているのかもしれない。なんてことも思った。

なんだか小川洋子の「妊娠カレンダー」を思い出す設定だなあ、と思ってしまった。
まあ、全然違うんだけど、妊娠に対するスタンスというか、それは似てるなあ、なんて。
おなかで子どもが大きくなっていく、それを100%の喜びじゃなくて、何か不安なもの、
不気味なものとして捉えるその感じ。
実際に妊娠したことのない私に何がわかるのかって感じやけど、
女性の人生は妊娠、出産でとたんに変わってしまう。否が応でも変わらざるを得ない、
どこか違う世界に連れてかれる不安。そういうのは私も持っている。
子どもかあ・・・。私も子どもが出来たら、自分の過去をクリーンにしたくなるのかなあ。
うーん、なるかも・・・

「昨夜はたくさん夢を見た」は、立て続けに10人もの人が死んでいって、
死に慣れてしまった主人公、ずっとつきあっていた男性イタガキが、
死を体験するツアーに行ってその世界に入り込んでインドに行くと言い出す。
行ってしまった彼からの手紙や、仲間とのつながりを淡々と描いた作品。

死ぬと本当に去ってしまう、インドに行っても本当に去ってしまってるようだけど、
どこかでつながっている。人とのつながりって不思議だなあ。
なんて思ったりしたような、しかし印象薄いなあ・・・。
眠いのに無理して読んだからだと思うんだけど、あまり覚えてないです。すんません。
淡々と日常を描いてて、引っかかりが少なかったのかな。
でも、読後感が案外清涼な感じだったのは覚えてます。

いつもは徹底的に身につまされる角田本だが、この中篇集は、どこか遠くから
ひりひりしている女性を眺めているような感じで、どこか他人事で読んでしまった。
でも、今の角田さんの作風につながるような、焦燥感は十分感じられた。

| comments(5) | trackbacks(3) | 11:40 | category: 作家別・か行(角田光代) |
コメント
あ、なんかいきなり挫折してますね、わたし(汗)。今もう一度読んだら違うかなぁと…思ったり…っ!
| chiekoa | 2006/06/19 3:57 PM |

追伸ですが、TBが最近よく拒否されてしまいます。しくしく…後で再チャレンジさせてください!
| chiekoa | 2006/06/19 3:57 PM |

chiekoaさん
あれ、TB届きませんか?こちらの設定は調べましたが普通です。急に新しいサービス増えたりしますもんね・・。またいつでもお越しください。
ちなみに何の関係もないですが、jugemトップページでこのブログ紹介されちゃいました。恐縮・・・
| ざれこ | 2006/06/20 11:54 PM |

あ、やっぱりざれこさんも「妊娠カレンダー」思い出しました?
なんだか雰囲気も似ている感じでしたね。
全然違うんだけれど(笑)
同じ本が2冊って結構ショックですよね・・・。
ウチも良くあります。
何で気が付かないんだろう。
| このみ。 | 2006/07/25 2:13 AM |

このみ。さん
はい、私も「全然違うけど」と思いながら妊娠カレンダー思い出してました。なんかあのぞわぞわした感じが似ていたような気がします。
同じ本2冊、何回かやりましたが何回やっても哀しいです・・・。
| ざれこ | 2006/07/28 1:23 AM |

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角田光代【ピンク・バス】
タイトルが何となく可愛い。だってピンク色のバスだもの。表紙の絵も可愛い。小さい子が読む絵本みたいだ。 薄い本だが、中篇の『ピンク・バス』と『昨夜はたくさん夢を見た』の二つが収録されている。 『ピンク・バ
| ぱんどら日記 | 2006/06/29 1:50 PM |
「ピンク・バス」角田光代
これは・・・「妊娠カレンダー」小川洋子を思い出してしまいました。 これも妊婦さんは読まないほうが良いかも(汗 サエコが妊娠して浮かれているところに旦那の姉が転がり込む。 変わっている義姉はピンクのバスが迎えに来るまで居ると言う。 義姉は妊娠を気持ち悪が
| テンポ。 | 2006/07/25 2:10 AM |
「ピンク・バス」角田光代著、読んでみました。
  「ピンク・バス」角田光代著、読んでみました。    「角田 光代」の作品、2作目です。「ピンク・バス」と「昨夜はたくさん夢を見た」の中篇2つが収められてた作品。最初に読んだ「空中庭園」が良かっただけに、かなり「???・・・」っ
| 男を磨く旅 | 2006/11/24 7:50 AM |
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