本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「二〇〇二年のスロウ・ボート」古川日出男
二〇〇二年のスロウ・ボート (文春文庫 (ふ25-1))
  • 発売元: 文芸春秋
  • 価格: ¥ 500
  • 発売日: 2006/01
  • 売上ランキング: 116433
  • おすすめ度 5.0


ジャズをはじめて、楽器が基本的に吹ける様になったら、多分だけど、
だいたい皆アドリブの練習を始める。で、多分だけど、最初に何をするかというと、
自分の好きなプレイヤーの好きな音源を探し、耳でそのフレーズをコピーし、
せっせと譜面に起こし、そしてそれを練習する。それが第一段階。
一歩進むと、いくつかのフレーズを悪く言えばぱくって、
自らのアドリブの時に使うようになる。
「あ、このコード進行だったら、あのソロのあそこのフレーズが使えるな」と
言った感じで、おのおの、自分のソロを組み立てていく。多分それが第二段階。
そして、自分らしいフレーズを探求していって、まねではないその人らしいアドリブが
かっこよくできるようになると、多分彼らのうち何人かはプロになれるだろう。
私も楽器やるけど、第一段階のコピーまではけっこう優秀にこなせるが、
それ以降がからきし。いざというときにとっさにフレーズを思い出す反射神経とか、
そういうセンスがまるきり欠けていた。
だから上に書いた第二段階からあとは、ただの想像だ。

っていうか何の話だ。

この本、村上春樹の「中国行きのスロウ・ボート」のRemixバージョンだ。
村上春樹トリビュート企画なるものがあったらしくて(生きてるのにね・・)
3人くらいの作家が作品を寄せた、その1作がこれ。

私は昨日「中国行きのスロウ・ボート」を読んだばかりで、
そして今日これを読んだんだけど、読み終わって思ったのが、
ジャズのアドリブのことだったのだ。

村上春樹が奏でる曲と古川日出男が奏でる曲は、コード進行は多少似てるんだろうが、
感じ方が全然違う。穏やかに凪いだイメージの春樹の曲に比べて、
アグレッシブでテンポが速くてたたみかけるようで。
でも、時折実に自然に、春樹が好んで使うフレーズが混じりこんでいて、
全く違う曲に違和感なく、それは心地よく響く。なんだかそんなイメージだったのだ。

(なんて、↑かっこよく書いてるように見えるでしょう?違うねん、
古川氏が解説で似たようなこと書いてて、それで思いついただけ・・。)

3人のガールとの出会いと別れ、細かいことでは山手線を逆に走ったこととか、
いろんな設定がかなり原本と被っているこの小説は、だけど全然違う味わい。
古川氏特有の音楽的で暴力的な言葉ががんがんつきつけられるような文体で、
3人の魅力的なガールとの出会い、印象的な別れが語られる。
その3人の女性はそれはそれは魅力的で、「僕」も一本筋が通った魅力的な人物。
まさか自伝じゃないよね、とか思いつつ、「僕」はなんとなく古川氏本人を思い浮かばせる気がする。写真しか、みたことないけどさ。

短いストーリーだが、時代の始まりと終わり、人生のある輝かしい一瞬、を
ばさっと切り取った、これだけでも爽快ないい話。
ラストの手紙のくだりなんかでじわっとしてしまった。
僕が誰かの扉を叩いて、誰かの人生をスタートさせたのだ。
すごいことじゃないか?

だけど、やっぱり原本とセットで読むと味わいも少し違うわけで。

なんかねえ。村上春樹氏あてへの強烈なラブレターみたいに感じてしまって、
私はどうも気恥ずかしかったのです。はい。
古川氏の奏でるテナーサックス(でしょう、多分)の音色は熱烈すぎて。
これを読んだ村上春樹はどう思ったんだろうなあ・・。
ここまで思い入れをこめたからこそ、この本は自伝っぽかったのかもしれないな。

これを買おうかな、とりあえず。注目は、11曲目。

ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテットソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット
ソニー・ロリンズ ジョン・ルイス ミルト・ジャクソン
曲名リスト
1. ザ・ストッパー
2. オールモスト・ライク・ビーイング・イン・ラヴ
3. ノー・モウ
4. イン・ア・センチメンタル・ムード
5. スクープス
6. ウィズ・ア・ソング・イン・マイ・ハート
7. ニュークス・フェイドアウェイ
8. タイム・オン・マイ・ハンズ
9. ディス・ラヴ・オブ・マイン
10. シャドラック
11. スロー・ボート・トゥ・チャイナ
12. マンボ・バウンス
13. アイ・ノウ
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◎◎「中国行きのスロウ・ボート」 古川日出男 ダ・ヴィンチ・ブックス 893円 2003/7
   評者は「セロニアス・モンクに捧ぐ」というCDアルバムを所有している。22歳のとき友人のアパートで聴き大いに気に入り、ダビングしてもらい、その後27歳のときにCDを購入し現在に至る。実はこのアルバム、1982年に没した偉大なるジャズピアニスト、セロニアス
| 「本のことども」by聖月 | 2006/05/31 7:34 AM |
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