本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「雪屋のロッスさん」いしいしんじ
雪屋のロッスさん
雪屋のロッスさん
  • 発売元: メディアファクトリー
  • 価格: ¥ 1,155
  • 発売日: 2006/02


ああ図書館で借りてしまった。こんないい本、返せないぞ。
ああ買わなければー。
たった1200円をこの本に出せないなんて私は絶対金の使い方を間違ってるんだ。

びっくりするくらいにいい本でした。宝物にしたいな。
もし娘とか息子とかが私に出来て、ちょっと大きくなって、ちょっと生意気になって、
変な漫画とか読み出したら、それを取り上げて「いいからこれ読みなさい」と
この本を薦めて、そして私がその変なマンガを読んでやろう、そう思うくらいの本でした。
そんな私たちのために、買いたくなるようなセンスある装丁。本にぴったり。
いしいしんじさんの本はまだ一冊、「ポーの話」しか読んでなくて、
一見して童話風のその物語から立ち上る、底なし沼みたいな奥の深さに、
私は恐れを抱いていました。すごい本だと思ったけど、諸手をあげて
「すごい、いしいさんこれからがんがん読もう」と気軽に決められるような、
そんな人ではなかった。ちょっと恐れ多いみたいな、私ごときが踏み込んでは
いけないような。そんな気がちょっとしてたんだけど。

この本は違った。短編というより物語、と言ったほうがしっくりくるけど、
30の職業についている人たちの30の物語がここにはあって、
確かにここにも底なし沼はある、深い話も哀しい話もある、んだけど、
底からきらきらと発する光が柔らかくて、その光にあてられるようで、
1話読むごとに私の中までが少しずつきれいになっていくかのような、
そんな錯覚まで抱きました。
最後の物語で読んだ、内側からくる光のようなものが、心に射してくるような。
私にとって究極の癒し本。そこらの胡散臭い癒しよりか、よほど効きました。

たった2ページの物語もあるのに、あっというまにその不思議な、全部違う
物語世界に、私はすぐに浸ることが出来て、それが驚きでした。
全然凝った文章でもなんでもないのに、この吸引力、この心地よさはなんだろう。
で、いつまでもずっと読んでいたいような物語たち。
私は2日で読み終えてしまったけど、読む時間があったのに1日目は半分で本を置きました。
一気に読むには、あまりにもったいない。で、何度でも読みたい。そんな物語たち。

コックさんの話、見張り番の話、道の話、雨乞いの話、象使いの話、調律師の話、
バスケットの選手の話、タクシー運転手の話、王子様と神様の話、マッサージの話、
玩具づくりのおじいさんの話、ポリバケツの話、お風呂屋の夫妻、
そして雪屋のロッスさんの話。
・・・きりがないです。全部好きかも。全部、忘れてはいけないかも。

とにかくめくらめっぽうにお薦めするので、疲れた人は読んでみてください。

次の本屋大賞とか、どうかなあ。(気が早い)

※後日談 
買いましたよ。ええ、買いましたとも。
| comments(16) | trackbacks(19) | 01:07 | category: 作家別・あ行(いしいしんじ) |
コメント
「吸引力」ぴったりな言葉ですね。
新しいタイトルを見るたび、その物語の世界に入り込んでしまう。不思議な本でした。
| なな | 2006/05/03 8:04 AM |

ああ、本屋大賞・・・。
次にこれがとってくれたら、見直してあげようと思います(笑)。
読んでもらえたら、いい!って言ってくれる人はきっと多いはずの本ですよね。
これこそ、もっと売れて欲しい本ですよー。
| ゆうき | 2006/05/03 10:32 AM |

不思議な本ですよね。
今読み返しても
大人向けの童話って感じがします。
ようやく彼の作品が理解できるようになりました。
| す〜さん | 2006/05/03 11:26 AM |

ざれこさん☆こんばんは
こういう感じって、今まで味わったことがないですねぇ。
短い文章なのに、すぅっと引き込まれていく感じがたまりません。
| Roko | 2006/05/03 11:40 PM |

そうなんですよ!お昼二回抜けば買えるんだ…(どんだけ貧乏?)。買いましょう!

ちなみに、私の職場の近くでは、この本一冊分ではランチも食べられません…くぅー!
| chiekoa | 2006/05/04 2:25 PM |

ざれこさん、こんばんは!
あちこちですみません…(謎)
一気に読むのが勿体無くて時間をかけて
読みました。でもまた1周したくらい大好きな本です。
私も「麦ふみクーチェ」がダメで珍しく
断念したのですが、これはすんなりと心地良く読めました。
ざれこさん是非買ってください。
いつでも好きな時にパラパラ出来ますしね(*^-^*)

TBさせていただきました。
| リサ | 2006/05/06 2:00 AM |

ななさん
そうなんですよ、前の作品の余韻にもひたってんのに、新しいページを繰ると、もう新しい世界があっという間に広がって、きゅうって入り込めるんですよね。すごい本でした。

ゆうきさん
これが本屋大賞とったら、私も見直しますよ。(笑)まだまだすごい本が出てくるであろうに、今から楽しみにしてみたり。たくさんの人に読まれたらいいな。

す〜さんさん
私もほかに1冊読んで難しいな、と思ってたのですが、この本は素直によかったです。でも、やっぱり残酷だし難しい部分もあって、だからこそ何度読んでも染みるというか、とにかくすごい本でした。

Rokoさん
ですよね、今まで読んだことがない感じでしたね。新しいけど懐かしいみたいな。

chiekoaさん
お昼2回で買えますねえ確かに(笑)私の場合、日々のお菓子を5日くらい我慢すれば買えます。我慢しろ、私。
ランチが1000円以上ですかあ・・・。っていうか職場近所にそもそも食べるところがないので、毎日ファミリーマートに世話になってます。もう、そこまで田舎ってどうよ(笑)

リサさん
あちこちでありがとうございます(笑)お菓子我慢して買います。で、またゆっくりと読みたいと思います。文庫だったらずっと風呂場に置いとくとか鞄に入れとくとかありなんですけど、でもこの装丁が好きだし。ってくらい、いい本でしたね。
| ざれこ | 2006/05/06 3:09 PM |

ざれこさん、こんにちはー。

本屋大賞!いいかもしれない!
こんだけ読者の評判がいいのに無冠の人も珍しいし!
ああ、私が書店員だったら、絶対に強力プッシュするんだけどなあ、、、。

ところで、ざれこさんはいしい作品が苦手ですか!意外!
私は『ポーの話』が未読なんですが、どの物語も押し付けがましくなく、胸に響く物語ばかりです。
長いこと、いしいしんじ本が、私にとってのプレゼント本だったんですよ!
『ぶらんこ乗り』に『プラネタリウムのふたご』もどうぞ。
最近文庫落ちした『トリツカレ男』もオススメ。
ぜひざれこさんの感想が読んでみたいです(はぁと)。
毒のある『雪屋のロッスさん』みたいな『白の鳥と黒の鳥』もオススメですよ。
ぜひぜひいしいワールドを体感してくださーい!
| 七生子 | 2006/05/07 12:55 PM |

いしいしんじさんって 名前だけは見かけるのですが 未読です。
ざれこさんの絶賛ぶりに 読んでみたくなりました。
うちは 上は21、下は14までのこども達がいるんで、自分が気に入った本をムリヤリ薦めるのが趣味。でも タイトル気に入らない!とか理由をつけて読んでくれないことも多々あり。そう言えば高校生の息子が この人の本 読んでいたような気がしたなぁ。
| ゆーらっぷ | 2006/05/07 6:26 PM |

七生子さん
苦手ってわけじゃないんです、「ポーの話」もちょっとびっくりするくらいよかったんですけど、私には恐ろしく深くって、理解の範疇を余裕で超えてたのです。私の読解力はこの人に届かない、切ない・・・、みたいな(苦笑)
でも、ちゃんと「ぶらんこ乗り」も「トリツカレ男」も買ってます。ぬかりはないのです(笑)ロッスさんを読んで、なんかもっと読んでみようと思いましたし、とりあえず「トリツカレ男」からいってみます。ちょっとずつでも近づいていこうかな。

そういや無冠の帝王?ですね。いしいさんって。なんか不思議。本屋大賞とれたらいいなあ。

ゆーらっぷさん
この本はほんまお薦めですよ。とりあえず買ってですね、読んでですね、14歳のお子さんにまず読ませる、で、えーっと、お子さんは3人おられるんですかね。全員回し読みでどうかと。どの年齢で読んでもいいと思うんですよねー。
| ざれこ | 2006/05/08 1:22 AM |

こんにちわ。小学4年生の子供に読んでやったら、
息子に「ポリバケツがしゃべるなんて変」とばっさりやられました。
あわれ青木青兵。
子供が読んでもいいはずって思ったんですけどねぇ・・。
昆虫図鑑が愛読書の人には理解できなかったみたいです(涙)。
| june | 2006/06/16 3:34 PM |

juneさん
青木青兵ダメでしたか。息子さんは現実主義者のようですね。ある意味将来楽しみですよね、それって。でも、じゃあ、道路の話もダメなんでしょうね。ふむむ。
案外オトナ向けなのかなあ、この本・・・。
| ざれこ | 2006/06/19 2:28 AM |

ざれこさん、こんにちは。
ほんとうに、いい本でしたよね、、。
上記(↑)青木青兵さんに、道路の話ありましたよね、、。
童話チックな話は、心の幼い弱く柔らかくて純粋な部分に響いてきます。
 
| indi-book | 2006/07/17 7:25 PM |

ざれこさん、こんばんは。
何とか年内に間に合いました。
私は正しくない読み方で一気に読んでしまいました。
でもホントなら少しずつ、じっくり読んでみたい作品でしたね。
なので、ほとんどないことですが、再読することにします。
トラバさせていただきました(「陽気なギャングの日常と襲撃」も)。
| 藍色 | 2006/10/31 4:01 AM |

indi-bookさん
ポリバケツのお話とか、ひとが主人公じゃないお話も、よかったですよね〜。ものでいることもお仕事なんだ。優しい世界でした。

藍色さん
私も一気にいっちゃいましたよー。今、再読したくなってむずむずしています。何度でも手に取れる本ですよね。ステキです。
| ざれこ | 2006/11/08 2:25 AM |

この本はその時の目の前の景色や気分に合わせて、それにあった話を引き出して読みなおしたい本だと思いました。
タクシーに乗った時とか、砂浜を歩いていて流木を見つけた時などに、ふと思い出しそうな気がします。
| たまねぎ | 2006/11/28 11:38 PM |

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