本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「愚者のエンドロール」米澤穂信
愚者のエンドロール
愚者のエンドロール
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 560
  • 発売日: 2002/07
  • 売上ランキング: 182,162
  • おすすめ度 4


古典部シリーズ第2弾。今日は「氷菓」を読んでとっとと寝よう、と思ってた日、
1冊じゃやめられなくってこれも手にとって読んでしまった。
あーなんか一気に読んでもったいない。次「クドリャフカの順番」も早速
図書館に探しに行ったが、最近米澤人気がわが地方でも過熱し始めたか、
今までずっとあったのにその日に限ってなかった。「さよなら妖精」もなかった。
あーしばらく読めないかも。残念。
神山高校の古典部メンバー、省エネの奉太郎、清楚な好奇心、千反田える、
奉太郎の相棒でライバルの里志、里志に惚れてる漫研の伊原、この4人が、
千反田の知り合いの先輩に誘われ、先輩のクラスで作った、文化祭で流す予定の
ビデオ映画を見ることに。ビデオ映画は仮称「ミステリ」、
しかも登場人物が一人死ぬところでビデオは切れており、
先輩は「脚本を書いた人が倒れてしまった、犯人がわからない、推理して欲しい」という。

そして奉太郎たちは、そのクラスの関係者を訪ね、彼らの推理を次々に
論破しながら、ビデオの真相に近づいていくが・・

今回は謎が二重構造になっている。小さな謎と、大きな謎がある、
だから事件は一見解決するが、またどんでん返しを食らう。
そして、それはまたちょっとブラックな部分も含む、オチだったりするから、
私なんかにはたまらない。

そして、この本みたいに、何人もの人の推理を聞いて論破していく、これって
毒入りチョコレート事件」という本に敬意を表しているようで。
私は早速この本も買ってみた。翻訳モノなのに。面白そうだし。

米澤氏が叩きつけてくる謎の魅力は、前作の感想で語ったし、このくらいでいいかな。
今回はキャラについて褒める。

キャラがたってるよねえ。4人の古典部メンバーが個性的なことといったら。
省エネで無駄なことはしない奉太郎は高校生とは思えないじじむさい思考回路をしてて、
可愛げがないんだけど、里志に暗示されるように、実は女に振り回されて動いてたりして、
ひねてるけどいい奴で可愛い奴なのだ。
で、彼は省エネで灰色の高校生活に甘んじているんだけど、こんな俺でも、
どうやら「推理」はできるらしい、このひらめきはホンモノらしい、と今回は一瞬思う。
俺でしかできないことをつきつめようと前を向く奉太郎は、省エネの域から、
一歩こちらへ、無駄だらけだけど、何かにがむしゃらになっていられる、
バラ色の高校生活へ、進んだようにも見える。
三歩進んで二歩下がる、のろい足取りなんだけども。
そんな彼の成長がシリーズが進むごとに感じ取れるのがなんだかとても嬉しいのだ。

この主人公は、米澤さんの書くほかのシリーズの主人公、「春期限定・・・」の小鳩くんや、
「犬はどこだ」の紺屋にもなんとなく似ている。
皆、妙にテンションが低い。理由のあるなしは別にして、達観している。
まあ違うのは、奉太郎は何故か省エネで、あとの二人はがむしゃらに生きたあと、
いろいろあって疲れてつい達観してしまった、そんな感じなのが違いといえば違いだけど。
でも皆揃ってちょっと、前を向こうとしている、その姿はもしかして米澤さんそのものじゃないか、
といらん想像もしたりする。

長くなるけどまだ続ける。これって男女4人組の探偵モノで、でも恋愛は絡まないのよね。
そこがまたすごい魅力だなあ、って思うわけで。奉太郎は女に振り回されてしまうけど、
別に惚れたはれたで動いてるわけじゃない。まあ多分女には弱いんだろうけどさ、
千反田の、人間としての何か、に影響されて、自分も動かされていくわけで、
人と人とのつきあいというか、そのつながりがなんだか、すごく好きだった。

恥を忍んで言うけど。私も中学の頃には、男女4人が探偵をやる小説を書いてましたよ。
当時、探偵=ミステリ=殺人、という法則に縛られまくってたから、その中学では
人が死にまくり、そして4人の探偵は犯人を捜しながら、恋だの愛だのつきあうだの三角関係だの、
を、せっせと繰り広げてました。美しい男女4人って設定でね。ははは。
ま、中学生だったし、頭の中はそんな妄想でいっぱいですよ。
好きな人もいなかったくせにね。まあ、好きな人がいないからそんな妄想ができるんだろうけど。
現実の男は、別にそんな、格好よくはないからね。私、面食いでもなかったし。
ま、だからもっと現実的になれるはずなんだけど。具体的な誰かがいると。

ま、そんなことは置いておいて、そういう風に恋愛が一切絡まないところが、
省エネが省エネたるゆえんなんだけど、多分今後もこの二人、進展はなさそうな感じで、
これって角川スニーカー文庫の読者層がどう思うのかはともかく、
私としてはなかなかステキな、面白い展開です。

奉太郎の姉さんも最高。今後もちらっと出てくるのかしらん。
彼女がいつ登場するか、もこの作品のお楽しみです。それにしても、この人,
弟をいつも見張ってるんじゃなかろうか。地球の裏側から。と不思議になるわ。

あとすっごいどうでもいい妄想。米澤さんに個人的な興味を抱いた私、
「もしも金城一紀と伊坂幸太郎と米澤穂信と合コンしたら、誰を選ぶ?」と
自分に素で問いかけ、けっこう真剣に悩みました。妙齢女性の痛い妄想だな。

金城さんはきっと人気者。いろんな話題を面白おかしく、熱く語ってくれそうだけど、憧れの人。
伊坂さんは面白いんだろうけど、時々皮肉な言葉をつい言ってしまって、
受ける人とひく人が出てきたりして、ちょっと用心しちゃうタイプ。
ま、現実であの会話はしてないだろうけど。
米澤さんは多分ほとんど喋らないだろう。無駄なことは一切。
でも短く的確な受け答えは鋭くって、そして案外気弱そう。
私は最終的には米澤さんに「携帯番号教えて欲しい」とか詰め寄るんじゃないか、
案外あっさり教えてくれるんじゃないか、そんなところまで妄想しました。
すいませんあほで。

| comments(8) | trackbacks(15) | 23:08 | category: 作家別・や行(米澤穂信) |
コメント
ざれこさん、こんにちは!

「毒入りチョコレート事件」、私もこれをきっかけに買って読みました。
古典ものにしては読みやすく面白かったです!
そして、ざれこさんの合コン妄想かなり受けました(笑)う〜ん私金城さんは未読だし良くわからないので、後の2人だとしたらどっちらがいいかな〜なんて結構真剣に考えちゃいました。私も相当妄想しますが、ざれこさんには負けますです。

TBさせていただきました。
| リサ | 2006/04/16 4:42 PM |

こんばんは。次はクドリャフカですね! 学園祭の様子を読んでいる最中、すごく幸せな気分でした。ほんと、自分の高校時代を思い出しつつ、相変わらずの魅力炸裂で。

それと、米澤さんのサイトの近況報告を読む限りでは、ざれこさんの妄想に近いような印象を受けましたよ。
| coutaca | 2006/04/16 10:50 PM |

リサさん
「毒入りチョコレート事件」、リサさんの感想を読んでますます楽しみになりました。翻訳もの苦手ですけど頑張ってみます。
ああそれと、金城さんはいい男ですよ(笑)お薦めしときます(いや、作品を、ですが)
リサさんだったらどっちにします?米澤さんか伊坂さん。なんでこの3人やねんと言われたら私の好みと返すしかないんですけどね。

coutacaさん
そう、次はクドリャフカなのです。私の中ではまだ文化祭は終わってないのです。楽しみなのです。
そうですね、米澤さんテンション低いですよね。いい感じだー(笑)まあ、合コンしてはくれないでしょうけど。そもそも、年下なのです。嗚呼。
| ざれこ | 2006/04/17 2:28 AM |

わたしもざれこさんの「妄想合コン」真剣に考えた一人です(笑)。
でもたぶん,どの方もクラスメイトにいてほしかったな〜。合コンで会うんじゃなくて,普通に友達になってしゃべったりしてみたかったです。特に米澤さん。妙なテンション似てるんで,変な二人組みになれそう。恋愛全く関係ない感じになりそうですが,それもいいかなと。
| mamimix | 2006/04/17 10:08 PM |

ざれこさんの古典部メンバーの感想やら、中学時代の小説に反応しようと思ったら、妄想があるじゃないですかー。
つい真剣になっちゃいましたよ(笑)。私だったら(誰も聞いてないでしょうが 笑)、伊坂さんに強く詰め寄ります!あっさり玉砕しそうですが・・。
ちなみに金城さんは仲間で、米澤さんは語り合う友達。すごい豪華ですー(うっとり)。
| june | 2006/04/18 12:26 PM |

mamimixさん
ほう、米澤さんがクラスメイト。ありですねえ。小鳩くんと小佐内さんみたいに二人で小市民を目指す!いいですねえ(妄想中)
でも「おまえもともと小市民やんか」といわれて妄想終わりました。あーあ(笑)

juneさん
いいでしょうこのメンバー。うっとりでしょう。伊坂さんもいいんですよねえ、私も迷っています。取り合いですね?
いや、だからありえないから、とか誰かここ読んで突っ込んでるんでしょうね(笑)
| ざれこ | 2006/04/19 1:44 AM |

TB返してくださってありがとうございます♪
このシリーズ、古典部面々も魅力的ですが、奉太郎のお姉さんの暗躍っぷりが素敵です\(o⌒∇⌒o)/
うう、それにしても合コンかあ。真剣に悩んで夜も眠れません。

……なんてことは、まるでない(笑)
| かずは | 2006/04/27 7:38 AM |

かずはさん
こちらこそTBやり逃げでごめんなさい。
お姉さん、カッコイイですよねー。かなり好きです。いつか登場して欲しいな。
合コンは、確かにまあ悩むほどのことでは(笑)
| ざれこ | 2006/04/27 8:49 AM |

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