本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「氷菓」米澤穂信
氷菓
氷菓
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 480
  • 発売日: 2001/10
  • 売上ランキング: 19,872
  • おすすめ度 4.2


若竹七海が好きならこれも読んだ方がいいですよ、っていう情報をだいぶ前にいただいて、
(えーっと、0mbさんからだったかなあ。すいませんうろ覚えで)
それもあって買ってたんだけど、最近「夏期限定トロピカルパフェ事件」も発売され、
私の中で米澤ブーム再来、薄いしすぐ読めるし、と手に取ってみたら、
結局2作目の「愚者のエンドロール」まで1日で一気に読むことに。
一気読みでした。面白かったなあ。
高校に入ったばかりの奉太郎は「省エネ」が信条。無駄なことはしないから、
部活動にも入らないつもりだったのに、海外を旅して回っている変わり者の姉から手紙をもらい、
そこには「つぶれそうな古典部に入って、部を存続させなさい」などと書いてある。
じゃあ、たった一人の部員になって、部室を好きに使ってやろう、と思っていたら、
部室には先客の古典部部員、千反田えるがいた。そして、突然閉まった部室の鍵。
「私、気になります」清楚に見えて好奇心のカタマリの千反田に、
奉太郎はこれから振り回される羽目になる。

見事に2つの謎を解いてみせた奉太郎は千反田に見込まれてしまい、
ある謎をもちかけられる。古典部に所属していた伯父が、昔千反田にした話が、
どうしても思い出せない。その謎を解きたい、という。
奉太郎はその謎を、古典部メンバー(腐れ縁の男1人、女1人)とともに解いてみようとする。

キャラの魅力とか、そういう褒め言葉は次作に譲ろう。
今回はミステリの謎について、褒める。

謎はすぐに解ける、というか、奉太郎ほど鮮やかに解けないけど、とりあえず誰に聞いたら
謎が解けるか、というのはすぐにわかっちゃうので、まあちょっと拍子抜け。
でも、一旦奉太郎の推理によって明らかになった事実が、その人の証言で覆される。
事実が覆るのではなくて、その事実に対しての違う視点が示されることで、
その事実の持つ意味が暗転するのだ。
同じ事実でも、当事者がどう思っているか、いたか、そういう視点からみたら
全く違う様相を呈する、そんなどんでん返しのやり方はけっこう強烈に効く。
派手にびっくりするどんでん返しじゃないんだけど、ぱあっと見方が変わるその手口。
「犬はどこだ」でも見られるその手法、見事。うまいなと思う。

それが更に私好みなのは、それがたいてい暗転することだ。事実がわかることで景色が暗くなる。
古典部の文集、「氷菓」の意味がわかった時の薄ら寒さ。人間の暗部を、闇を、
ほんの一瞬だけ垣間見させるラスト。その恐さ、薄ら寒さが若竹好きな私を満足させるんだよなあ。
単なる学生探偵モノじゃないそのひねりが好きな私だった。
ま、若竹七海ほど容赦なくはない。男と女の違いかもね。

この件で、省エネ奉太郎、「薔薇色の高校生活」じゃなく「灰色」に過ごしてたんだけど、
ちょっとばかり「薔薇色もいいな」と思うようになる。エネルギーを無駄に消費してこそ
青春だよ、なんてオトナな私は思うけど、じいさんみたいな感性をした奉太郎が、
千反田に振り回されてこの先どう変わっていくのか、その成長も楽しみなシリーズです。

スニーカー文庫ってことで敬遠してたんだけど、もったいなかったな。
なんか、ティーンズ向きの店に間違って入って間違ってTシャツ買っちゃって、
「ああやっぱり似合わない」って反省してるみたいな、そんな気後れを感じてたんだけど、
全然OKだった。むしろ、私に似合う感じ。次作もいっぺんに読んでしまったし。
今は角川文庫から復刻で出ているので(私もネット注文したらそれがきた)
オトナの皆さんで、電車でカバーせずに読んでたら私みたいな好奇心旺盛な女に
のぞき見られて「何読んでるんよ」って思われるのが嫌な人は、
角川文庫版を読んだらどうかと思う。
| comments(8) | trackbacks(8) | 15:55 | category: 作家別・や行(米澤穂信) |
コメント
はじめまして。
「氷菓」「愚者」とくれば、
「クドリャフカの順番」までそのまま雪崩れ込まれることでしょう。
私は「クドリャフカ」から読んでしまって「損した!」と思ってます。
今日「夏季限定トロピカルパフェ事件」を買ってきました。
| 木曽 | 2006/04/14 7:46 PM |

木曽さん
はじめまして。
「クドリャフカの順番」図書館になくって。また探しに行きます。残念です。
シリーズものの順番を間違えると哀しいですよねー。わかります。
「夏季限定」も私も買いました。楽しみ楽しみ。
| ざれこ | 2006/04/17 2:13 AM |

なにげなく読んでハマってしまい,ついに現在発売されてる全シリーズを買うほどまで至ってしまいました。一見なーんてことない話なんですが,上手ですよね。デビュー作とは信じられません。今後の成長がとても楽しみな作家の一人です。
| mamimix | 2006/04/17 10:03 PM |

mamimixさん
そうですよね、デビューがこれなんですよね。最初からスタイルが確立されてたんだなあ、とびっくりでした。面白かったですー。「クドリャフカ」も楽しみです。
| ざれこ | 2006/04/19 1:54 AM |

お久しぶりです。
結構前にオススメした覚えがありますが、気に入っていただけたようで何よりです。
確か若竹七海さんの『スクランブル』と比べたんだがなんだかの記憶があるようなないような。

『クドリャフカの順番』も1、2巻に負けない面白さなので是非。
| shinosuke | 2006/04/19 11:55 PM |

shinosukeさん
やっぱりそうでしたよね。よかった間違ってなくって。
そうですね、小さな事件をときながら全体として一つの事件に皆でむかっていく様は、「スクランブル」と似てるな、と思っていました。ちょっとブラックなところも。とにかく好みでした。とっとと読んでおけばよかったです、ごめんなさいです。
| ざれこ | 2006/04/20 12:49 AM |

確かに若竹さんは容赦ないですからね(笑)。そういう意味では、こちらの方が若いというかまだ健全なのねというか。個人的にはもう若竹さん、がんがん行っちゃってください!という感じですけど…ブラックなので、ほほほ。

早く次作が読みたいのに図書館になくて焦ってます。なんでよぅ!
| chiekoa | 2006/05/12 11:50 AM |

はじめまして。

様々な本を読んでいらっしゃるんですね。その多さに圧倒されるばかりです。

私は最近は専らミステリー、特に米澤穂信さんやアガサ・クリスティの作品を読んでいます。きっかけは、アニメ「氷菓」を見たことです。それ以来、米澤作品の虜に。

現在、「犬はどこだ」を読んでいるところです。





| 海瑞 | 2014/01/31 3:17 AM |

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