本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「百鬼夜行抄」今市子
百鬼夜行抄 (1)
百鬼夜行抄 (1)
  • 発売元: 朝日ソノラマ
  • 価格: ¥ 620
  • 発売日: 2000/12
  • 売上ランキング: 1,745
  • おすすめ度 4.8


読んだのは文庫本で7巻まで。まだまだ続いているようですね。
久々にマンガをじっくり読みましたけど、いやーこれクオリティ高いですねえ。
「いまいちこ」だけど全然「いまいち」じゃないよね、と
オヤジギャグまで思いついてしまい、反省したくらいです(いろんな意味で)

幻想小説家だった祖父は、妖怪との交流を日常的に行っていた。
その血を濃く受け継いだ孫の律(男)、そして従妹の無自覚霊感女司(女)、
民俗学専攻の晶(女)、律の父親にとりついてしまった、律の守り神?の青嵐、
律を「若」と慕うようになった鳥の妖怪、尾白と尾黒。
彼ら個性的な面々が織り成す日々を、律16歳から大学生に至るまでを
連作短編風に描く。
書影みてもらってもわかると思いますが、まず絵が美しい。
雰囲気があって、妖怪がたくさん出てくる幻想的な漫画という設定に
非常にマッチしてます。それがとてもステキ。見惚れます。
帯読んでると「画集発売!」とか宣伝載ってるときもありましたけど、
「欲しい」って素直に思えちゃうし。

そして、テーマがテーマだけに怖そうなんだけど、少なくとも
妖怪たちは怖くない。愛らしい奴らばかりで。
尾白と尾黒がねえ、最高のコンビで。かなり面白いんだよなあ、奴ら。
最初の登場では、住んでいた木を切り倒されて怒って人をとり殺しちゃう、
そんなホンモノの妖怪なんだけどさ、律に負けたらあっさり主従関係結んで、
「人の一人や二人は殺せます、さあなんなりとおっしゃってください」
なんて言いつつかしこまってるんだけど、掃除とか頼まれたりして、
で、「かしこまりました」って落ち葉を一枚一枚捨ててたりしてさ。
「昼はただの鳥なのでございます」って。可愛いんだよなあ。
これも帯だっけ、どこかに「尾白尾黒のフィギュアプレゼント!」って
書いてて、これは本気で応募したかった(締め切りは過ぎてた)

と、ピンポイント感想はこのへんにしといて、そんな風にわりと味のある
妖怪も出てきたりするんだけど、怖いのも出てくる。
怖いのはだいたい、人の怨念とか、残した想いとか、そういうのが凝固して
妖怪みたいになってしまって、それが本当に怖いものになってる気がする。
違うか、妖怪が怖いというより、妖怪をそういう風にみなしてしまう人間が
怖いというか、・・うまくいえないんだけどやっぱり人間が一番怖いって。
と思ってしまう部分が多々あった。

ただ人を愛してたり想ってたりするだけでも、それが嵩じてしまったら、
なんだかよくわからないものに化けてしまったりする。妖怪みたいな
形をとらずとも、そういう想いがぶつかってしまうと、今の世の中でも
怖いではないか。
なんか、現在よく起こる犯罪って、わかりやすい動機のものが減ってる。
怨恨とか、金欲しさとか、愛情のもつれとか、そんな火曜サスペンス的な
犯罪だったらまだ人間らしい、でも最近の無差別な犯罪って、
人が造った妖怪たちが、もしかしてとりついてやしないのか。
そんな風にふと感じて、一瞬だけだけど、背筋が凍る思いがした。

妖怪たちと適度な距離を保ちつつつきあっていく祖父のスタンス、
そしてそれを受け継ぐ律のスタンスが心地よく、
怖いながらも、こんな世界が私の知らないところで広がってるんなら、
それはそれでいいかな、と思えてしまう、妖怪たちの世界はそんな場所。
異世界との距離感は、梨木香歩さんの「家守綺憚」を思い出させる
ところもありました。

祖父が若いころのエピソードも時折織り交ぜられるんだけど、
おじいちゃん、かなりステキかも。でも、赤間というライバル?が
しょっちゅう出てきますが、彼との対決は時折胸苦しいくらい切ないです。
で、祖父が亡くなるときに祖父が懇意にしていた妖怪、青嵐に
律を守るように申し付けるんだけど、青嵐がもらった体が、
若くしてなくなってしまった律の父。律の父親は本当は死んでるんだけど、
青嵐に体をのっとられて普通に暮らしてます。父親とは別人と気付いてても
普通に暮らしていく母と祖母。飯嶋律の家庭はなかなか複雑で、
その関係も切なかったり、おかしかったり。お母さん、いいよなあ・・・

律のキャラも好きだなあ。律と司のコンビがまたいいのです。
全然スタンス違うけど、妖怪や霊を引き寄せる自分の体質を知り尽くしてる
律と、自己の能力?に無自覚だけど妖怪を引き寄せまくってる司のコンビは、
乙一の「GOTH」の「僕」と「夜」のコンビを思い出させました。
律と司にもこれまで恋愛感情的なことはなかったんだけども、
一番最後に読んだ話では、司に彼氏みたいなのが出来て、律が複雑な心境に
陥ってたので、今後の展開が楽しみです。(下世話)

かなり笑える部分と背筋が凍る部分と、深い人間ドラマをも持った、
深いテーマを持つマンガです。大人が読んでも充分楽しめます。
久々にどっぷりはまれて、嬉しかったな。

疲れてると、肩に雑鬼がたくさん乗ったりするみたい。
私の肩こりもそうなのかも。誰か乗ってる?時々、目とかも押してくるし、
律にちょっと払ってもらいたいなあ。とか思う今日この頃です。

| comments(4) | trackbacks(1) | 03:31 | category: 漫画 |
コメント
わ〜!同士ができてうれしいです♪
私は文庫じゃなくて大きいサイズのでそろえてるんですけど、
最近13巻がでましたね…。

私は『しゃばけ』を読んでいてこれのことを思い出しました。(テーマが全然違いますが!)

そしてもし読まれたことなかったら波津彬子さんの『雨柳堂夢咄』もオススメです。『家守』読んだとき、私はこっちの方を思い出しました。あぁ、マンガ読みすぎ(笑)。
| chiekoa | 2006/02/06 11:22 AM |

ちえこあさん
ああ、「しゃばけ」かあ。似てますねえ。側近が控えてるのがとても似てるかも(笑)
『雨柳堂夢咄』はまだ読んだことないですー。綺麗な絵柄ですね。そして「家守」ですかあ。ブックオフで探してみようっと。ありがとうございます。
| ざれこ | 2006/02/08 12:53 AM |

ざれこさんこんにちは。
百鬼夜行抄仲間を発見して、嬉しくってTB&コメントさせてもらいました♪
あたしのブログにもTBして下さって、ありがとうございマス★
この漫画、本当に面白いですよね。もうかれこれ10年読み続けてますわ〜。
あたしも律&司の今後が気になるところ。今の二人の曖昧な関係も好きなんですが。
今空中庭園読まれてるんですね。この小説大好きなんです。更新楽しみにしてますね〜♪
| エミイ | 2006/02/10 1:46 PM |

エミイさん
私はここ数日で読んじゃったのですが、10年読まれてたら続きもさぞ気になるんでしょうね。私も律と司の曖昧な関係も好きです。でも二人ともオトナになってしまったし、いつまでこれが続けられるのか・・とやきもきしてしまったりもします。
「空中庭園」読みました。重い本でしたわ。更新は多分週明けにでも・・
| ざれこ | 2006/02/11 12:47 AM |

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「百鬼夜行抄」 今 市子
久しぶりに漫画を買ってしまった…。 高校生ぐらいまで、漫画って凄く読んでたけど、 最近はあんまり見ないなぁ。 借りたら見るけど。 代わりに、本や映画を見ることが多くなった。 だって、映画や本の方が濃くて面白いんですもの。 こういう人多いんじゃないか
| Flexible Tripper | 2006/02/09 5:43 PM |
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