本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「同姓同名小説」松尾スズキ
同姓同名小説
同姓同名小説
  • 発売元: ロッキングオン
  • 価格: ¥ 1,575
  • 発売日: 2002/10
  • 売上ランキング: 34,306
  • おすすめ度 4


えーっと、映画「イン・ザ・プール」で伊良部やってた、
「恋の門」で初監督やってた、あの松尾スズキが芥川賞候補に?
とスポニチで読んだ私、何を間違ったのか早速これを図書館から借りてきた。
候補作は「クワイエットルームにようこそ」です。はい。

何も考えずに借りてきて、ぱらぱらと読んで「うわ、間違ったかも」と
本当に思っちゃいました。だっていきなりみのもんたが、フリーターと
仲良くなっちゃって語り合ったりしてるもん。
ほかにも芸能人(と同姓同名でそっくりの人)がとっかえひっかえ
主役になる、そんな小説だったのです。
あーあ、イロモノ借りてきちまったなーと思いながら軽い気持ちで読んでると、
もういきなり笑いが止まらない。大笑い連発。
家で読んだんだけど電車に持ち込めなかったくらい。あー面白かった。

まあいろんな有名芸能人をパロってるのは明らかなんだけど、
いろんなスタイルでパロってて、一辺倒じゃないから飽きない。
作家としてもかなりいろんな引き出し持ってるなあ、うまいよなあ、って
思った1冊でもある。実は読んだのは間違ってなかったんだな。失礼しました。

視点が面白い。想像してくださいよ、竹内力と哀川翔が、
「ごきげんよう」で一緒になってトークを繰り広げる状況。
Vシネマの王2人がですよ。翔サマはバラエティ得意だから喋り倒すけど、
竹内力がどう絡むのか。そして息を呑む小堺。・・思い出し笑いの私。
シチュエーションだけで笑えるがな。たまらんわ。

でも笑えるだけじゃない、なんかそこはかとなく漂うこの哀しみ、
これはいったいなんだ?
みのもんたはフリーターの家に入り浸って、ある日突然ぽつりと言う。
「俺が一言言ったら全国のココアがなくなったんだよな・・・・」
哀しそうなのだ。実際のみのもんたがそうなのかどうかはともかく、
なんていうかなあ、テレビに出ている人の特有の悲しさ。
自分が自分じゃない、もっと巨大なものになってしまう、みたいな哀しみ。
そんなものだろうか、漂ってるのは。

広末の奇行報道にヒントを得たであろう短編も同じような哀しみが漂っていた。
意味不明の奇行を行うヒロスエが最後に登場する。
それは私たちが作ってしまったヒロスエではないのか?本当の広末じゃなくて。

なんかそんなような哀しみ、だろうか。
もう全然うまく説明できないんだけども、町田康の小説を読んでいても感じる、
笑いと背中合わせにある切なさ、哀しさ、そんなものがそこはかとなく
漂っている、そういう短編集だったのだ。
シュールな展開、不条理な笑い、そしてそのそこはかとない哀しみ。
うーん、芸能界パロディ本、本来だったら軽く笑って捨てていいそんな本で
こんないい感想を抱かされるとは思ってもいなかったので、
私はちょっと驚いている。いい作家と出会っちまったのかもしれないなあ。

あとシュールすぎる展開のオウム真理教の今後を描いた「上祐の夏」、
小泉孝太郎が登場する「総理の息子と呼ばないで」は最高でしたね。
麻原があっさり登場してわけわからん台詞はいてるのにも度肝抜かれたが、
総理!いいのかよーあそこまで書いちゃっていいのかよー面白すぎるわ。
あとストーリーで一番よかったのは中村江里子が「間違った」話。
彼女がいつも「間違って」いるのにそんな深い理由があったなんて・・!

↑読んでもわかると思いますがちょっと古いんですよね、時事ネタとしたら。
それはこういう本の宿命だとは思うけど、それでも全然面白いと思いますよ。
案外拾い物でした。

何気ない比喩にもパンチがきいてて「なにそれ」とか突っ込みつつ。
文章も好きやなあ。
一番印象に残った「入道雲の描写」を引用して感想終えます。
脱げて空に跳び上がったビーチサンダルの上には、いかにも頭の悪そうな入道雲が、でも家柄だけはよさそうな入道雲が、で、語学留学して日本の友達しかできなかったような入道雲が拡がり、沖縄行きのジェット機がそれをズゴオオオッと蹴散らしていった。
| comments(0) | trackbacks(1) | 02:09 | category: 作家別・ま行(松尾スズキ) |
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スズキ釣り
最近めっきり釣りから遠ざかっているので、昔の釣り日記書きたいと思います。もう何年も前の話ですが、スズキがどうしても釣りたくてあちこち釣果情報をみて、”昨日泉南のどこそこで釣れてました”と聞けば行き、”泉佐野では、70センチ級のスズキが・・・”と聞けば
| 僕と彼女と彼女の釣り日記 | 2006/12/30 5:17 PM |
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