本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「写楽・考」北森鴻
写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉
写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2005/08
  • 売上ランキング: 616
  • おすすめ度 4.5


さて、今からこれ読むかー、って人はこの言葉の意味を
覚えてから読みましょう。いらん世話ですが。
私はわざわざ読んでる最中にネットで調べて衝撃受けましたからね・・・
リアルタイムに衝撃受けたほうがいいでしょ?

   喫人・・・人間を食すること

と、こんな意味ありげな言葉を調べたりしつつ、読み終わる。
これだけ見るとどんな話やねん。

異端の民俗学者、連丈那智の裏フィールドファイル、第三弾である。
なぜ「裏」かというと、トラブルメーカーである那智、フィールドワークに行った先で
何度となく事件(しかも殺人事件)に巻き込まれてるから。
助手の内藤三國によると「いつもってわけじゃないんですよ」らしいんだが、
いやあ、たいがいである。しょっちゅうである。
おまえは片平なぎさか、船越栄一郎か、って感じである。
2時間ドラマでのシリーズ化を狙ってるのかよ、って思ってたら
実際金曜エンターテインメントで放映されてしまった。
あらら。主演は木村多江。私のイメージは天海祐希なんだけどなあ・・・

それはともかく、私はもったいないなあって思ってたのだ。
民俗学の謎、しかもこれほど大きな謎を解くんだから、
それだけで十分ミステリとしての醍醐味は楽しめるんであって、
なんだかそこに殺人が絡んでしまうと、重層的には楽しめるけど
やっぱり安っぽいイメージになるしなあ。そういう意味で惜しい、と思っていた。
「触身仏」とか読んでても、素人の私が読んでも
ぞくぞくするような新しい民俗学的アプローチがなされてるような気がして、
もしかしてこれって実は学術的にすごい本なんじゃ、なんて思ってたんだけど。

3作目まで読んでやっとそうじゃないことに気付きました。
この本のラストの「写楽・考」。や、やられたー
素人の私が読んでも、いくらなんでもそれはないで。と突っ込むような
いやーありえない大ボラ。むしろあっぱれ、爽快なくらいの大ボラ。
きっと、今までの作品もあれやね、私は見事に「すごい説かも・・」と
騙されてたけど、どれもこれも少しでも民俗学を知ってる人が読んだら
唖然とするほどの大ボラが吹かれてたに違いない。

いや、全然けなしてないんですよ。なんていったらいいのか、
緻密な時代考証とか凄まじい知識とかに裏打ちされた奇想天外な説は、
スケールのでかいエンターティンメントとして充分に面白いんです。
「写楽・考」でのあの説、いくら同時代だからってあの超有名画家と
あの画家をつなげてみるなんて普通思いつきませんって。
その荒唐無稽な説をちゃんと筋道立てて読ませてしまうんだから。
いやー天晴だ。

そう思うとなんか必ずついて回る殺人事件も、ないといけないような
気がしてくる。だってくそ真面目に荒唐無稽な説を書くわけには
いかないじゃないですか。
あくまでミステリなんですよ、だからここまで遊んじゃってもいいんです。
もしかしてこれってそういう小説だったんじゃ・・・。と今頃気付く、
バカ丸出しの私なのでありました。

そう思うとキャラ設定もふざけてるように思えてきて。
3作目でどうも、探偵の連丈と助手の三國の関係が薄まった気がして不満で、
それは新しい優秀な助手、佐江由美子が出てきたせいなんだけど、
この構図って、古畑任三郎と今泉のペアに、第3部から西園寺刑事が
入ってきたときに感じたこととすごく似てるんだよなあ。
直感だけがとりえのどちらかといえばダメな助手の三國と今泉は
重なる部分があるし、でもまさか関係ないよなあ、と思いつつ読んでたら
刑事役で古畑って人が出てきて、「もしかして偶然じゃないのか?」と
勘ぐるに至りました・・・。まさか狙ってないと思うけど、
そういうベタな探偵と助手の関係性を追及してるんでは、とか
思ってしまったり。あと、ベタな2時間ドラマの追及とか・・

難解な民俗学的知識が縦横無尽に語られるわりに、
すごいわかりやすい探偵小説なのかもしれませんねえ。

あーでも「棄神祭」は本当に難解でした。でも多分荒唐無稽な
論が展開されてるのは間違いないんだけど・・・。
そのあとの「写楽・考」で私は上に記したような境地に達したので、
自分の無知にへこむこともなくなりました。
さて、続きが楽しみです。次から、どんな説を展開してくれるのか。
視点を変えて1から再読して楽しみたいかもしれない。そんな気もします。

あと、1作目から謎だった狐目の男の正体、というか今まで何故か隠されていた
本名がやっとわかったんだけど、もしかして他の作品に出てる人かな?
「狐闇」あたりと絡んでそうなんで、近いうちに読んでみます。
読む順番間違えたかなあ・・・・?

| comments(4) | trackbacks(1) | 00:19 | category: 作家別・か行(北森鴻) |
コメント
そして山田と上田のペアに第3部から東大が入ってきたときに・・・ってちょっと違うか(汗)
ちなみにTRICKでは圧倒的に矢部派のアトマツです。

このシリーズっつかコンビ、アンソロジーでしか読んだことないですが、案外気に入ってます。

てなワケで、今宵はコレにて失礼御免。とっととズラ借りまっす。
| アトマツ | 2005/12/07 6:09 PM |

アトマツさんご無沙汰ですね、少し。
トリック、映画しか観たことないんですよ。意外でしょ?DVDで制覇したいんですけど、なかなか時間がとれなくって。ちえ。
矢部って誰でしたっけ・・

このシリーズなかなか面白いですよね。
よかったらまとめて読んでみて下さい。

(と、だじゃれは無視してコメントを終える私)
| ざれこ | 2005/12/08 9:46 AM |

喫人・・・は、調べないとわからなかったです。はい。たぶん、ファンの方は、そういうトコがいいのだろうなと、読み進めました。
民俗学の仮説は楽しいのですが、頭脳明晰、怜悧な探偵と助手というステレオタイプ、ならびに不用意に卑近な殺人事件、これが続くと、ちょっとツライかなぁというのも、本音です。
暇を見つけて、北森鴻読んでみたいと思います。
| すの | 2005/12/21 7:45 AM |

すのさん
3作ともずっとそんな感じでしたが、私も最初はそう思いつつ、それでも楽しみに読み進めてます。
民俗学の膨大な知識とその推理でかなりポイント高いので、他の欠点には目をつぶってしまいつつあります。
連丈と三國のコンビもベタベタでわりと気に入ってたりしますし。冷徹なインテリ好きなんですよね(笑)
| ざれこ | 2005/12/23 11:45 PM |

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「写楽・考〜蓮杖那智フィールドファイル〓〜」北森鴻
「写楽・考〜蓮杖那智フィールドファイル〓〜」北森鴻(2005)☆☆☆★★ ※[913]、国内、現代、小説、ミステリー、民俗学、写楽 「写楽」謎の多い浮世絵画家。謎の多さゆえに彼をモチーフとして「写楽暗殺」今江祥智、「写楽殺人事件」高橋克彦などの小説が書かれ
| 図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜 | 2005/12/21 7:41 AM |
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