本を読む女。改訂版

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# 「からくりからくさ」梨木香歩
からくりからくさ
からくりからくさ
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 620
  • 発売日: 2001/12
  • 売上ランキング: 5,944
  • おすすめ度 3.96


りかさんという人形を大切にしている蓉子、
祖母の死をきっかけに、祖母の家で3人の女性と下宿することに。
蓉子は草木で糸を染め、紀久は紬を織り、
与希子はキリムを紡ぎ、そしてマーガレットと4人、
庭の草花を食べたりして、「結界がはってるかのような」家で静かに暮らしていく。
やがて人形のりかさんの秘密が彼女達の祖先と
絡んでいることがわかり、そして彼女達に変化が訪れる。

梨木氏の著作は癒し系のようなイメージをもたれてるけど、
私にとってはそうではない。彼女の作品は、誤解を恐れず言うなら、怖い。
児童文学のようなものでも、「死」がとても深く掘り下げられていたりして、
心が温まると同時に深い深遠にはまる、そんな作品が多い。
そして今回も例外ではない。今回は「死」というより、
なんだろ、果てしない時の流れも感じたし、女の業も深く感じたし、
とてもスケールのでかい内容だと思った。私は、今回も少し怖かった。

何かを伝えること、時間を越えて場所を越えて伝えること、
そしてそれが変容して継続していくこと。
でも日常は淡々と過ぎていく。生きることは、伝えることだ。
そんなようなことを、4人の姿を見ながら気づかされた。

紬、キリム、そして人形、そんな伝統あるものたちにこめられた
人間達の想い、そしてそれが現代にまで伝わって、彼女達がまた
それを引き継いで、伝える。この小説は4人の物語というより
そういったものたち、の壮大な物語。
それを伝えるために、彼女達の日常がある。

また、腹の底からわきあがってくるような女の業というか、
そういうのをひしひしと感じてしまった。怖かった。
でもそういうのも、腹の底のマグマも、結局はつながっていく。
人と人ともつながって、伝わっていく。

唐草模様がなんだかそれを象徴している。
そんなことを思いながらも、怖さや壮大さをたくさん感じながらも、
彼女達の日常を想い、とても穏やかな気持ちになる。 実に不思議な読後感だった。

最後のシーンは映像的で、彼女達の作った芸術作品が
鮮やかに私の中に浮かび上がってくる気がしました。
それにしても芸術って何だろう。
一瞬で消えてしまうけど、ずっとずっと、続いていくのです。

いうまでもないかもしれませんが、同じく新潮文庫の「りかさん」に通じる作品らしいです。
「りかさん」はまだ未読ですが、十分話はわかりました。
で、「りかさん」を読むのが更に楽しみになりました。
| comments(0) | trackbacks(4) | 11:39 | category: 作家別・な行(梨木香歩) |
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