本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< May 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 「変身」東野圭吾 | main | 「OUT」桐野夏生 >>
# 「幸福な食卓」瀬尾まいこ
幸福な食卓
幸福な食卓
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2004/11/20
  • 売上ランキング: 9,312
  • おすすめ度 4.03


瀬尾まいこ作品はこれで一旦コンプリート。ちょっと寂しくなる。
最後に残してしまったのは図書館でも大人気で読むのが遅れた今作品。
瀬尾さんの最高傑作と噂され、私も期待して読んだ。

「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」
そんな衝撃的一文で始まるんだけど、それを聞いた家族の反応の方にびっくり。
「え?」と私は驚くけど、兄の直ちゃんは「まあ、いいんじゃない」と。
そして母は家出して一人暮らし中だし。別居でもなく、家出。
なんともおかしな家族、でも朝食は一緒に食べる。そんな家族の日常を、
中学校から高校に成長していく長女佐和子の視点で描いている。
なんか、変な言い方だけど、脱力した。
お父さんを辞める、お母さんを辞める。まじめに生きていくのを辞める、
ここのお父さんみたいに、一旦生きるのをやめてみる。自分の立場やしがらみを
ぱあっと捨てて、楽に生きていく。社会で許されてないこんな生き方を、
この家族達はさらりとやってみている。特にお母さんの朗らかさはすごいかも。
でも、ここに至るまでの苦しみも、敢えて書かれていないけどすごく伝わる。
特に、直ちゃん、天真爛漫に見えて、実は一生懸命に生きられなくなってしまった
直ちゃんの歪みはえらく響いた。直ちゃんのその態度に、家族の闇を見つつ、
直ちゃんの歪みが、小林ヨシコという古風な名前の破天荒な女性の登場で、
無理のない形でほぐされていく。甘いシュークリームによって。

まあ、結局は家族を辞められずにみんな戻ってくるんだけどね。
それも無理のない、自然な形で、双方を思いやる形だったのが良かった。
恋人とかが救世主になることもあるけど、いつも近くにいるのは
やっぱり家族であって欲しい。そんな自然な形でそばにいる。
一旦苦しんで離れて、彼らは理想の家族に近づいたような気がする。

佐和子の学生生活がすごくリアルに描かれてて、いやんなるくらい。さすが教師。
学級委員になってしまって、なんとなく疎外されていく。そのなんとなく感が
ものすごいリアルだったなあ。女の子って残酷なんだよなあ、あの世代の。
でもいそうでいない、彼氏の大浦くんの存在が、そんな佐和子を勇気づける。
大浦くん、単純明快でいいですね。
中学校の時に嫌いな鯖を食べてくれた男の子もよかったけど(名前忘れた)
瀬尾さんの描く男の子(少年ですね、主に)は私のツボをつきますねえ。

と、第3章までは私は気持ち良く読んでいたのだ。なのにさあ。
第4章が納得いかない。もう全然納得いかない。
第4章で、佐和子に降りかかる不幸がさあ。・・なんでこんな目に遭わせないといけないんだ?
そりゃ、やっぱり一番そばにいてくれるのは家族であって、佐和子がつらい時の
彼らのおかしな励まし方(特に直ちゃん)にはなんだか癒されるけど、
そんな家族の良さは、こんなに酷い目に遭わないと気づかないもんかなあ。
そう思うとちょっとやりきれないんだけど。
今までいい感じに日常を描いてきて、でも日常を過ごすだけでも大変なことだらけの
家族なんだから、最後まで日常で良かったよ。
納得いかない。そりゃ泣くよ、こんな哀しい結末つけられたら。
「天国はまだ遠く」ではなーんにも起こらないに等しいのに私を涙させた瀬尾さん、
そんな風に、深くしんみりした涙を出させることができるのに。どうしたのさ。
期待していた分、なんだかがっかり。

ということでどうも最後が納得いかなくていまだに怒ってるんだけど、
それだけ佐和子に感情移入したってことなんだろうなあ、って気もするし。

相変わらず美味しそうな食べ物満載でした。美味しそうと言うより、
人は毎日、甘い物や美味しい物を食べて少しづつ癒されながら生きてってるんだな、
そんなことを思った。でも特に、手作りシュークリームは効果大。
小林ヨシコのキャラに最後はしてやられました。
| comments(8) | trackbacks(16) | 18:32 | category: 作家別・さ行(瀬尾まいこ) |
コメント
こんにちは!そうですよね。第4章には、まったく同意見です。最後まで、日常のまま、泣かせてほしかったです。瀬尾さんなら出来たと思うんだけど・・・。なんか裏切られた気分でした。
| ゆうき | 2005/10/19 12:00 PM |

ざれこさん、こんにちはー。
やっぱり4章ですよね。読み終わった時は、もうほんと理不尽な思いでいっぱいでしたよ。なんでこうしなければならなかったのか、未だに疑問のままです。
それがあったから、「優しい音楽」も素直に読めなくなってしまったんですよねえ。
今からでも、何でこんなことしなくちゃいけなかったのか、詰め寄りたい気がします。(笑)
| 四季 | 2005/10/19 7:56 PM |

ざれこさん、こんにちは。
以前「図書館の神様」でTBさせていただいたのにまたしてしまいました。すみません…
この本は初瀬尾まいこ作品だったのですが、やはり最後のエピソードには違和感がありました。
その後に読んだ「卵の緒」「図書館の神様」の方が個人的には好きです。
他の2作は図書館で順番待ちです〜
| ツキノ・ハルミ | 2005/10/20 6:07 AM |

皆様
同士がたくさんいて嬉しいです。すごい評判いいのでけなすのは勇気いりましたが、ですよねえ、違和感ありますよねえ。途中までよかっただけにちょっと残念。

ツキノハルミさん
私もTBさせてもらいました。記事2つもごめんなさいね。



| ざれこ | 2005/10/22 11:19 AM |

度々TBさせていただいています。

4章は衝撃でしたね。確かに何で?って涙流しながら思いました。
でも、私はここがなかったら、できすぎた話なんじゃないかって気もしたんです。
それまで4人の苦しみって想像にまかされてるところあったけど、ここにきて読者にも同じ感情を与えてるのかなって。
それまで他人事だった家族が一気に身近に迫ったような気がしました。

食べ物は本当に惹かれました。
たまごご飯が食べたくなって、久々に白米炊いちゃいましたよ。

| momo | 2005/12/06 11:13 PM |

こんにちは^^ お久しぶりです。
TBさせて頂きました。
| miwa | 2006/03/21 12:39 PM |

こんにちは。
瀬尾さんの作品は初めて読んだのですが、
軽いタッチの奥に感じられる思いの深さにジンときました。
| とむぼん | 2007/06/19 3:48 PM |

ざれこさんの文書、内容がとてもわかりやすくて、かっこいいです。

>社会で許されてないこんな生き方を、この家族達はさらりとやってみている。

確かに!「世間様」から見たら異端なのかもしれないけれど
絆の強さを感じました。「世間様」を気にして形ばかりに
とらわれる家族が多い中で、この家族の生き方はとても
すてきだと思います。
| 日月 | 2009/06/06 11:06 PM |

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/347429
トラックバック
幸福な食卓*瀬尾まいこ
☆☆☆☆・
| +++ こんな一冊 +++ | 2005/10/18 8:32 PM |
「幸福な食卓」(瀬尾まいこ著)
 「
| たりぃの読書三昧な日々 | 2005/10/18 9:30 PM |
幸福な食卓 瀬尾まいこ
幸福な食卓瀬尾 まいこ講談社 2004-11-20by G-Tools ★★★★☆ なるほど。納得。 この小説の感想としては、ちょっと変かもしれませんが、まずこう思いました。 私は、「図書館の神様」で、瀬尾さん、好きだ!と、思って、それから他の本をどんどん読んでい
| IN MY BOOK by ゆうき | 2005/10/19 11:57 AM |
いろんな関係、人との繋がり 『卵の緒』 瀬尾まいこ
とても評価の高い作家、瀬尾まいこさんが気になっていました。 最初に読んでみたのがこちら。 著者: 瀬尾 まいこ タイトル: 幸福な食卓 よかったんだけれど、ん?という部分もあったりして。 なんというか、最後のエピソードが唐突で、坂道を上ってい
| 月乃春水 ツキノ・ハルミ 本のこと あれこれ | 2005/10/19 2:10 PM |
「幸福な食卓」瀬尾まいこ
 [amazon] [bk1] 「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」という、何ともインパクトの強い言葉で始まる物語。 主人公は中学三年生の佐和子。「幸福な食...
| Ciel Bleu | 2005/10/19 7:53 PM |
幸福な食卓/瀬尾まいこ
幸福な食卓瀬尾 まいこ著 「図書館の神様」「天国はまだ遠く」に続き瀬尾さんの作品3冊目。 これまでで一番好き。 これまでの2冊にも優しさが溢れているんだけど、登場人物があっさりしすぎていたり、優柔不断に見えたりと気になるところがあった。でもこの本を読
| たまゆらのつぶやき | 2005/12/06 11:06 PM |
[本]瀬尾まいこ「幸福な食卓」
幸福な食卓 瀬尾 まいこ / 講談社4本の連作小説からなる1冊。 「幸福な朝食」佐和子中学2年生の春。 父親が突然“父さんをやめる”宣言をする、という 衝撃的な場面から始まる物語。 「バイブル」佐和子中学3年生。 とても大切な存在になる大浦くんとの出会
| Four Seasons | 2005/12/21 9:14 PM |
『幸福な食卓』
 明るくどこかもの悲しい食卓。思春期から青春期を過ごす長女佐和子と、危うくて優しい家族が、傷つきながらも互いを支えあっていく温かな物語。  非常にデリケートな「死」というテーマを瀬尾氏の独特な感性で描くとこのようになるんだなと感じた。誤解されるのを
| Analogue World Traveler | 2006/03/10 3:04 PM |
幸福な食卓
瀬尾まいこ著■あらすじ父さんが自殺を失敗したときも、母さんが家を出たときも、朝は普通にやってきた。そして、その悲しい出来事のあとも…。泣きたくなるのはなぜだろう?優しすぎるストーリー。
| [ synapse. ] | 2006/03/21 12:41 PM |
幸福な食卓(瀬尾まいこ)
幸福な食卓(講談社)★★★★:80点 瀬尾まいこさんの小説は「天国はまだ遠く」のみ未読ですが、独特の空気に包まれています。私が知っている範囲の(めっちゃ狭い範囲ですが)他の作家さんで、このような空気と
| ひろの東本西走!? | 2006/05/22 10:33 PM |
幸福な食卓 瀬尾まいこ
幸福な食卓 この本は 「ひなたでゆるり」のリサさん にオススメいただきました。 ありがとうございました。 ■やぎっちょ書評 ★4つが2日連続で来ることってほとんどないんですけどねぇ〜。来ちゃいました! しかし、アジの内臓部分に明太子を挟んだお惣菜、
| "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! | 2006/11/13 1:04 AM |
幸福な食卓 ベストセラー小説が映画化!!
幸福な食卓って?ベストセラー小説「幸福な食卓」がついに映画化されます。始業式の朝、家族の食卓で、突然「父さん」が口にした意外な一言。主人公・佐和子の中学校生活最後の1年を綴る物語ひとりの少女の視点を通じてその家族の崩壊と再生を綴った瀬尾まいこ...
| オリジナル ランキング | 2006/12/14 12:57 AM |
幸福な食卓
 瀬尾まいこ:著 『幸福な食卓』    瀬尾さんを読むのは初めてです。  いいよ、っていう評判をよく目にしていたので、  読みたいな、って思ってた作家さんの1人でした。  物語は、なんだか不思議な感じで展開していきます。  冒頭いきなり、  「父さんは今
| miyukichin’mu*me*mo* | 2006/12/16 5:16 PM |
瀬尾まいこ 「幸福な食卓」
瀬尾 まいこ 幸福な食卓 ずっと読みたかったので文庫化を待ってたのだー。 映画のDVDの発売とリンクしているのかな。 佐和子の家族を中心に1年ずつ年を追って書かれた短編集。 「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」 ・・・こんな冒頭の
| ひなたぼっこは3時まで | 2007/06/19 3:49 PM |
「幸福な食卓」 瀬尾 まいこ
ある日の朝食のとき、父さんが 「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」と、言い出した。 数年前のある事件から母さんは家を出て一人暮らし。 でも時々顔をだしてご飯をつくりにきてくれる。 ひょうひょうとした秀才の兄・直ちゃんは大学に進学せず、 農業を始め
| 日々の書付 | 2009/06/06 11:01 PM |
「幸福な食卓」瀬尾まいこ
変わった家族を描いた「幸福な食卓」を読んだ。 (ネタばれあり)    【送料無料】幸福な食卓価格:520円(税込、送料別) この作品は、4つの短編で構成されている。 「幸福な朝食」 最初に飛び出してくるのは、父親をやめるという宣言。 ベテランの教員をしてい
| りゅうちゃん別館 | 2011/09/14 5:32 PM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Selected Entry
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links