本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「燃えよ剣」司馬遼太郎
燃えよ剣 (上巻) 燃えよ剣 (下巻)

 
「桃色トワイライト」のせいで「新選組」熱に再度火がついた私、
過去に書いた新選組関連本の感想をアップしてみる。の第一弾。
____________

この本は確か3度目の読破。大河ドラマの影響で読み始めた。
土方歳三の視点でみる新選組を、もう一度時系列で読んでみたくなったのだ。
しかしこの小説は新選組のことを書いているわけではない。
あくまで土方歳三の生涯。下巻はほぼ戊辰戦争で紙面が割かれる。

土方歳三は所詮人斬りだし、殺人集団新選組のブレーンである。
なのになんで彼はこんなに日本人に、そして私に好かれているのか?
が今回なんとなくわかった気がした。

彼はただの喧嘩師である。喧嘩には抜群の才能を発揮する。
喧嘩と言うか、戦闘と言うか。彼は天性の軍人だったのだと思う。

そして、新選組はそんな彼が作った完璧な作品で、
局長近藤勇ですら彼が作った作品であった。
自ら憎まれ役を買って出て、士道不覚悟は切腹、という規律で隊士を縛り、
近藤局長に信仰がむくように仕向けて、彼はあの殺人集団を作り上げた。
それは単に喧嘩をする手段でしかなかったような気がする。
その単純さと言ったら。

そして、世論が沸騰する中で、彼は思想に踊らされたりしない。
世論の流れにすら流されない。彼は最初に決めたこと、幕府を守るってことを
ただ最後までやりとおすだけなのだった。
そして最後は、「一生かかって喧嘩してきた薩長土に今更降伏できるか」と
潔く死を選ぶ。そして、これで近藤や沖田に恥ずかしくない、と思うのだ。

彼には曲がったところが一つもない。あきれるほどにまっすぐだ。
その不器用すぎる生き方が、私たちを惚れさせるのだろう。

しかし彼の人生はなんだか、哀しかった。涙が出そうになった。
戊辰戦争、函館での戦闘、彼が喧嘩師としての本領を発揮するところだが、
彼の周りにはもう近藤も沖田もいない。新選組隊士を次々に逃がし、
彼は最後には一人で闘う。なんだか、私はとても悲しくなってしまった。

近藤が彼から去って降伏する時、
「俺はずっとお前の言うとおりやってきた、最後は自由にさせてくれ」と
いうようなことを言って去っていく。土方の「作品」となってしまった
近藤の哀しい人生と、それを言われて見送る土方の生き様が、
なんだかとても哀しかった。
二人とも、もうちょっと器用に生きられたのにな、と思う。

彼は結局孤独に生きたと思うから、それはすごく哀しいけれど、
その生き様は天晴である。清清しい。

彼はそして、とても優しい人として描かれている。
下手な俳句をたしなみ、恋人のお雪に対しての恥ずかしそうな態度と言い、
ただの喧嘩師だけど温かく、深みある人物として描かれている。

司馬遼太郎という作家は、男の中の男。を発掘して魅力的に描ききるのが
本当にうまいと思う。だからやめられない。
| comments(5) | trackbacks(3) | 16:46 | category: 作家別・さ行(司馬遼太郎) |
コメント
わぁ!!!!!!!
私はマンガ「風光る」で新選組にはまり、今もはまったままです(笑)。
もちろんこの本は、本が割れるほどよみましたとも!!!
京都にも散々行きましたとも!!
うっかり日野にも行ったのでした…あぁ、ノンストップ!
| chiekoa | 2005/10/03 1:40 PM |

おお、大興奮ですね。日野まで行きましたか!すごいかも。
他にも新選組本、何冊か読んでるのでまたアップしときます。けっこう地味な本も読んでますよ・・・
| ざれこ | 2005/10/04 2:02 AM |

はじめまして、minoonといいます。『燃えよ剣』のレビュー読ませてもらいました。すごく共感でき、楽しく、そして嬉しかったです。これからもちょくちょく寄らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
| minoon | 2006/11/20 12:02 AM |

はじめまして、sanoraといいます。司馬さんの作品では燃えよ剣が一番印象的です。まだ一読しかしてないのでざれこさんのように何度も読むことでこの本の奥深さを感じたいと思いました。これからも何か読む際には参考にしたいと思っていますのでよろしくお願いします。
| sanora | 2006/12/15 11:01 AM |

minoonさん(いまさらですが)
はじめまして。いいですよね、「燃えよ剣」、そして土方。大好きです。
コメント返し遅くなっちゃいましたが、懲りずにまた来てください・・。

sanoraさん
はじめまして。私もこの本は3回読みましたが、まだ読むような気もします。何度読んでもいいですよねー。
今後ともよろしくお願いします。
| ざれこ | 2006/12/17 1:13 AM |

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