本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「日暮らし」宮部みゆき
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この本、上下巻を続けて読むのにとっても苦労しちゃって、
「日暮らし」を巡る図書館予約経緯。参照。)
なんかねえ、読む以外のことに神経を使っちゃいました。
本の構成上、短編がいくつか続いて、ラストの長編ですべてがつながる、という
形式だけに、これは上巻を手元に置きつつ下巻を読みたかったんだけど、
結局上巻を返して下巻を借りる羽目に。あああああもう。
延滞してやってもよかったんだけど、上巻の予約待ちが60件くらい
まだあるのを知ってたので、そうもいかず・・・なんだかなあ。

つうか、本は買えということだな。はい。
それはまあ置いておいて。

「ぼんくら」の続編にあたる本編。
ぼんくら同心の井筒平四郎、その甥っ子の超美形少年弓之助、
記憶する少年のおでこ、岡引の政五郎、煮売屋のお徳、佐吉、
彼らがまたもや活躍するのを読むのは楽しみでもあった。
そして今回はかわいい弓之助少年が大活躍。

「ぼんくら」と同様、短編がいくつか続いて、そして長編「日暮らし」で
その全てがひとつにつながる構成は、やっぱり見事でしたねえ。
でもまあ、もう既にぼんくらを読んでしまってるので、予想はついたんだが。

と、せっせと感想を書こうとしてるが、粗筋に触れると即「ぼんくら」の
ネタばれになっちゃうかも、ってことに気づく。なんだか難しい。

短編では、ストーカーから逃げつつたくましく逃げる女、
派手に煮売屋商売をして誰かを待つ女、
愛人として屋敷に住まう女、そういう、強くて印象深い女性達が
織りなすドラマを人情味豊かに描いている。
もちろんお徳もまたもや活躍するわけだけども。

弓之助の従姉妹が出てくるが、彼女がまた印象深かった。
結婚前の少女で、愛するということについて真剣に考えていて、
時折質問をぶつけては平四郎を困らせたり。
でもその質問は、登場人物全員、そして私にも後からじわじわと
響いてくる。「人を愛するってどういうこと?」
特に湊屋総右衛門に聞かせてやりたいね、私は。

で、「日暮らし」という長編になり、その湊屋のお家騒動が
またもや浮上してくる。湊屋総右衛門、その妻おふじ、
彼らに翻弄される佐吉。佐吉が巻き込まれ、疑われている殺人事件を、
平四郎や弓之助が解決しようと奔走するのだが。

事件はあるお屋敷で起こるが、そこの屋敷では「子盗り鬼」が出るという
言い伝えがあって、近所ではおそれられている。
それで、その言い伝えを利用して、ストーカー男が寄ってくるのを
幻術使いが鬼を演出して追い返したりする。
その様はあっぱれだったんだけど、鬼、が何か別のものを象徴しているような、
そんな気がした。人の心に巣くう鬼の方が、よっぽど恐ろしい。
そんなことを考えてしまう展開。

事件は意外な方向に動いていく。
なんか結末は拍子抜けしてしまって、困ってしまった。
あれ、「湊屋の事件」じゃなかったっけ。
「鬼」を浮かび上がらせることには成功したと思うけど、
湊屋の件はそれでいいのか。どうして湊屋があんなに絡んできたのか、
どうも納得できず消化不良。
「ぼんくら」で感じた、胸をぎゅっと締め付けられるような感覚は得られなかったな。
期待しすぎたかな。ちょっと残念。

でも、予想もつかない動機で命をなくしてしまう女。なんだか哀しかった。
自分のせいなら決着のつけようもある、でもそうじゃないなら、
無念さは募る。ここにも、大きな運命に屈してしまった人がいたような気がして、
そういうやりきれなさは大きかった。
佐吉もそうだよね、出自という、本人じゃどうにもならないことで、
苦しむ羽目になっている。心ない大人の勝手な振る舞いで。なんだかなあ。

つうか湊屋、腹立つんですけど。なんかあの人がやっぱり一番、不気味。
「鬼」というより「闇」だな。周囲を気遣ってるようで理解していない、
周りを皆不幸にする、そういう運命を自ら背負った男。やだなあ。
でもこういう人も確かに世間には存在する。無自覚なのがまた始末に負えない。

・・なんだか感想が暗いな。気を取り直して。
人情豊かでテンポもよく、人々が皆活き活きとしていて、下町の江戸の生活が
目に浮かぶよう。宮部さんの筆力、そして「暗い運命でもさらっと流して
やってこうじゃないのさ」と言ったキップの良さが全編に流れる、
前向きさをもらえる小説だったことは間違いない。
弓之助も大活躍だし。つうかあんな賢い美少年、実際いたらイヤミだよなあ。
でもそれを嫌みにでもなく好ましく書けるってのはすごいな、と思う。

出てくる子どもたちがまた活き活きと好ましい。
おでこの悩みも深かったな。おまんまを食っていけるほど、
おまえは世の中の役にたってるのか?私の答えは否、である。いやー反省だわ。

ラストは従姉妹の結婚式で終わるので気持ちいいのだが、
そこでも出てくる幻術使い、いやー気になる。
続編は湊屋はもういいから、幻術使いとの絡みで悪党退治といきましょうや。
ぱあっと気持ちよく明るいのん、読みたいなあ。

| comments(1) | trackbacks(2) | 17:08 | category: 作家別・ま行(宮部みゆき) |
コメント
おはようございます。
TBありがとうございました。
そういえば、ぼんくらで感じた人間ドラマは多少希薄でしたよね・・

>幻術使いとの絡みで悪党退治

是非、番外編でやってもらいたいですよね〜〜〜(笑)

| ゆう | 2005/09/30 8:54 AM |

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日暮し(上・下) 宮部みゆき
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