本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「魔性の子」小野不由美
魔性の子 (新潮文庫―ファンタジーノベル・シリーズ)
魔性の子 (新潮文庫―ファンタジーノベル・シリーズ)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 620
  • 発売日: 1991/09
  • 売上ランキング: 79634
  • おすすめ度 4.5


「十二国記」と密接に関連していますが、あのシリーズより先に出たものらしいです。
「風の海 迷宮の岸」と「黄昏の岸 暁の空」とこの本、セットで読むといいようです。

とは言うけれどこちらの話はファンタジーというよりホラーやなあ。
これは十二国記の話ではなく現実の日本を舞台とした物語なんで、
「異形のもの」とか「白い手だけが伸びて」とか、ホラーでしかない。
私は十二国記にはまったあとで読んだので前知識がありましたが、
なくて読んでも、いや何も知らず読んだほうが怖いんじゃないかなー

教育実習のため母校に戻ってきた広瀬は、そこで高里という生徒と出会う。
高里はクラスから全く孤立していて、「高里をいじめると祟られる」と
恐れられている。そして実際高里を批判するものが次々と怪我をしたり
不審な死を遂げたりしはじめた。
世間から糾弾されている高里を広瀬はかばい続けるが、
それは広瀬にも「この世界は自分の世界じゃない」という、
高里と同じ思いがあるからであった。が、・・・・

この話には2種類の怖さが内包されてるように思うんだけど、
「この世には自分の居場所はないかもしれない」という恐怖と、
「自分の居場所はこの世界しかないのかもしれない」という恐怖。
前者はもちろん高里の恐怖なんだけど、高里はこの世界に「本当に」
居場所がない、という特殊な設定(と知っている)ゆえ、
私はそれには感情移入できず、ぐっと怖かったのは後者の恐怖。つまり広瀬の。

広瀬は一度死にかけて死後の世界をみたと思っていて、
世間とうまくやっていけないことを全部、「ここは自分の居場所じゃないから」と
思うことで納得させていた。
しかし広瀬は所詮この世界の人間でそこからは逃れられず、
そして高里は「本当に」この世界の人間ではないのだ。
それをわかってしまう広瀬の葛藤が、なんだか辛かった。
最後に一番孤独だったのは高里ではなく結局、広瀬だったのだ。
高里には、彼を必要としている世界がある。広瀬には?

「こんなの本当の自分じゃない」なんて思うことは私でもある。
他の世界に行きたいとは思わないけど、
「実は全く別人みたいな才能を潜在的に持った自分」とか、
そういうのを遠くに描いたりすることはある。今の冴えない自分とは違うのだ、と。
でも違うのね。自分は自分で今は今。冴えないは冴えないで、現実。
なんてことを突きつけられたような気が、ちょっとした。

あーあ。凡人なりにがんばろ。
| comments(0) | trackbacks(2) | 02:00 | category: 作家別・あ行(小野不由美) |
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魔性の子
著者: 小野 不由美, 山田 章博 タイトル: 魔性の子  「十二国記」外伝的内容。泰麒が現実世界に引き戻されているとき、そこでは何が起きていたかを語ってくれる内容。  小野主上はファンタジーの人であると同時にホラーの人であることを認識。屋上に手をつないだ
| still-philia blog | 2005/09/13 1:36 PM |
魔性の子
| 本読み日記 | 2005/10/07 11:46 PM |
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