本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「命」「魂」「生」「声」柳美里
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辛い本でした。本当に辛かった。何度も泣いた。

不倫相手の子を身ごもったとわかった著者は、同時に
元恋人東由多加が癌だと知る・・・・
彼女と東、そして新しく産まれるわが子と、
三人でせめて2年生きていきたい・・・と癌に立ち向かう二人だったが・・・
・・・・・・・・・・・・よく書けたなあ、と思った。
いや、悪い意味ではない。
帯に「血を流しながら書いた」とあるけれど、本当だと思う。
これだけ辛い現実をよく彼女は直視できたなあ、と。
そしてそこから彼女は少しも逃げることはない。ただ、書き綴る。
既に彼女は作家としてしか、生きていけないのだ。
それが鬼気迫って伝わってきた。

でもいくら彼女が書いても書いても、現実は常に彼女を裏切っていく。

一冊目「命」ではまだ希望が見える。
二人は癌と戦おうとしている。アメリカに渡ったりして日本では試せない
抗癌剤も試して、あらゆる可能性を尽くそうとしている。
2冊目「魂」では息子丈陽も産まれ、息子と東と柳美里との3人での
沐浴なんかが平和に描かれたりする。そういうささやかな日常が積み重ねられ、
つかの間の3人での生活も、3冊目「生」あたりでは崩れていく。

「生」の最後あたりでは何気ない一文に胸をつかれることが何度もあった。
柳美里は、東さんとの最後の対面とか、丈陽と東さんとの最後とか、を
とても詳細に客観的に描写して、その姿が脳裏に簡単に浮かぶだけに、
そのあとその人を喪ってしまうことの絶対的な喪失感がこちらにも迫る。
更に東さんの臨終を看取れなかったことで、彼女は自分を責める。
もう、そこまで書かなくてもいい、いいから、と止めたくなるくらい、
彼女は自分のその時の感情を赤裸々に書く。
もうこっちが、辛くて。

そして喪失の最終章「声」、淡々と葬儀の様子などが綴られていき、
彼女がどれだけ喪ってしまったか、ぽっかりとあいた虚無の穴、が私にも襲い掛かる。
丈陽がいなかったら、彼女は生きていただろうか。

もうほんま辛かった。でも読んでよかったと思う。本当によかったと思う。

東由多加の予言、「柳は俺の死を書いて成長する」のとおり、
彼女の紡ぐ文章は、自己憐憫でもなく感情に流されてもいない、
一編の物語として見事に昇華されていったのだ。と、全編読んで思った。
現実を描いたものなのに、この本は「小説」として
見事に完成していた。なんだか美しく、すらある。

そしてそんな予言をする東由多加と柳美里との関係も凄い。
これだけ共に歩める人に一生かかっても私は出会えるかどうかわからない、
それだけの強いつながりが二人にはある。
そういう人と出会えてたくさんの時間をもてたことを思うと、
彼女はある意味とてもとても幸せなのかもしれない。

彼女は東由多加とともに、これからも書き続けるだろう。
丈陽とともに生きていくだろう。

人の死とか、生きることとか、私も情緒不安定になりつついっぱい考えた。
まだ答えは出ないけれど、多分死んでも出ないけれど、
それでも多分、人は一人では生きていけない、それだけははっきりしている。
| comments(0) | trackbacks(1) | 11:07 | category: 作家別・や行(その他の作家) |
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柳美里 カメラに映してた!虐待映像流出。(動画あり)
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| 柳美里 カメラに映してた!虐待映像流出。(動画あり) | 2008/02/16 3:05 PM |
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