本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< February 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 >>
<< 「鳥人計画」東野圭吾 | main | 「命」「魂」「生」「声」柳美里 >>
# 「きれぎれ」町田康
きれぎれ
きれぎれ
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 450
  • 発売日: 2004/04/07
  • 売上ランキング: 17,749
  • おすすめ度 3.67


町田康の文体は音楽だ。
読みながら激しい音楽を聴いていたようだった。
パンクというかなんというか、激しい音楽。
ぶっとんだ文章をそういうわけで読み終えたら、
私の脳裏には何故かブルーハーツの「リンダリンダ」が流れていた。
うーん、町田康のあとはいつも脳裏はブルーハーツ。
今回の「きれぎれ」ははっきりいってイッちゃってて、
どこまでが妄想でどこまでが現実か、もう全くわからない。
いままでの小説でもそこらへんはかなり曖昧だったけど、
それでもここまでわからないことはなかった。まだ現実に踏みとどまっていた。

相変わらずダメ男がダメなことをしたり思ったりしていて、笑えて切ない。
基本的方針はいままでと変わりない。
でも妄想が今回は勝っていた。
現実と妄想の境目さえ完全に溶けさってしまって、
これが本当の狂気ってやつなのかなあ、と漠然と思ったりする、が
ほかの本で感じる狂気より、何故かこれはちっとも怖くはないのだった。
怖くないってことが、よく考えたら怖いよね。
所詮、人間は現実と妄想をいったりきたり。私だってね。

もう一編載っている「人生の聖」も同じようにぶっとんでいて、
っていうかこの中編は結局短編なの?同一人物何人いるの?って感じ。
誰が主役なのかそれすらもわからない。

混沌としたカオスに、ひたすら流れる激しい音楽、そんな感じの小説でした。
そこに流れる音楽にのせられて、私は本を読み終えた。
古臭い言葉を多用してるのに、溢れ出す激しいリズム。
本人にずっと流れている音楽が、私にも流れてきたのだろう。
それが私にとってのこの本の魅力だった。

何故この本を急に読もうかと思ったか、というと、
柳美里「命四部作」のなかで、作者町田康は彼女の友人として出てくる。
ちょうどこの「きれぎれ」の校正をしているころ、彼は元恋人の癌で闘病する柳の
息子を預かっていたのだった。
そんな出来事が、何か本人に影響を及ぼすんだろうか、とそんなことが
気になって手にとった本だった。

いや、やっぱり作家は作家で、現実とは完全に浮遊できるのだなあ、多分、
と、私は読み終えて漠然と思ったのだった。

ちなみに町田康は、癌闘病中の東由多加氏に「芥川賞とれそう?」ときかれ、
「いや、今回好き勝手書いたんで・・・」といった趣旨のことを答えていた。
なるほど。
| comments(0) | trackbacks(2) | 11:03 | category: 作家別・ま行(町田康) |
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/275502
トラックバック
きれぎれ
 新田富子とお見合いをするが美人じゃないからといって見合いを台無しにして、そうしたら吉原という知り合いが新田富子と結婚しちゃってて、それでランパブの女サトエと結婚する。するとサトエは何故か太りだして新田富子はなぜか美人になっていて、吉原は画家として成
| a fruit knife and a boy | 2006/01/18 10:39 PM |
きれぎれ
町田康『きれぎれ』(文藝春秋 2004) なんか分からないけど、文学界では評価の高いイメージある町田康です。 読んでみましたが、はぁサッパリでした。 なんだろう、初期の村上龍みたいな鮮烈な感じはありますが、殴り書き的で僕にはちょっとついていけなかった
| のほほんの本 | 2006/03/03 9:35 PM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Selected Entry
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links