本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ニシノユキヒコの恋と冒険」川上弘美
ニシノユキヒコの恋と冒険
ニシノユキヒコの恋と冒険
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2003/11/26
  • 売上ランキング: 90,725
  • おすすめ度 4.12


川上さんの本は、読みたびに好きになっていきます。
最初読んだときはあまり思わなかったんですが、
だんだんなんか、なじんできた気がします。
この感じを味わえる自分がなんだか好きかも、とか最近思います。
気のせいかもしれませんけど。
いいんです、読書なんて感覚でやるものですから。
ニシノユキヒコという男がいた。
彼はもてる。何故か女がいつも複数いて、ふらふらしている。
若いころも、年とってからも、幽霊になってまで、女とふらふらしている。
でもなんだか、憎めない。
そんなニシノユキヒコとかかわった10人の女を語り部として、
ニシノユキヒコの人生が少しずつ、浮き上がっていく。

常に女に囲まれながら、誰一人として本当に愛せなかった、
寂しいニシノさん。かわいそうなユキヒコ。
大切だったお姉さんの影が消えない、西野君。
いろんな女にいろんな風に呼ばれ、彼女達には一瞬愛され、
そして、何故か彼は愛されなくなる。
彼女達から愛がなくなってしまう、そして、彼から彼女への愛が消える、
その消える瞬間が、日常の中でことりとやってくるさまが、
あっさりあっさり描かれて、私は寂しくなる。
愛してたけど、なくなってしまった。
何の未練もなく、彼女達や西野くんは、その終わった日を置いて、歩いていく。
そんな風に見える。でも愛していた日々はずっと、そこに残っている。

西野くんは寂しくて仕方がなかったんだと思うけど、
でも誰も愛せなくて、愛し方がわからなく、なってしまっていて、
女性達は多かれ少なかれそれに気付いていて、かわいそうだな、と
切実に思っていて、でもずっとそんな西野くんを愛していくことができない。
愛するって難しいんだな。一方通行だったら必ず、終わってしまうし、
双方がそう思ってても、それは一瞬であったりして。

所詮人間って一人なのかなあ、と私は切なく思ったり。
愛したとか、恋したとか、いつか、消えるのだな。
でもだからこそそのときを大事に大事にしていきたい。
終わった日々はすっと通り過ぎて、大事にとっておきたいな。

川上さんの本を読むと、そんなことをいつもすごく思うのです。
消えていく恋愛小説なのです。その消え方がとても切なくて、
でもとても美しくて、なんだかやりきれないんだけど、温かいんです。

西野くんのひとりぼっちはとても切なくて、かわいそうで、
なんだか泣けてしまったけど、いつまでも読んでいたいような、
ほんわりと温かくなるような、不思議な本でした。

なんて大げさなこと書いちゃったけど、一つ一つのお話は、
なんだかとてもかわいくて、こじんまりしてて。
やたらと日常で、食べ物がたくさん出てきて、どれも素朴で美味しそうなのも、
なんかいいです。ぶどう、とか。パフェー、とか。
(40歳を過ぎたニシノさんはいつも「パフェー」と語尾を伸ばすのです)

装丁の色合いも気に入ってます。
図書館で借りたけど、買ってもいいかなと思いました。

| comments(11) | trackbacks(10) | 01:21 | category: 作家別・か行(川上弘美) |
コメント
TBありがとうございました(^ ^)
わたしもこの作品,なんだか不思議で切なくて,
そして食べ物がたくさんでてくるので(笑)
大好きです。
読んでるときパフェーが食べたかったなと思い出しました。
そしてまた食べたくなっています…
| mamimix | 2005/08/08 4:53 AM |

私はこれを読んだとき、なんとなく三浦しをんさんの『私が語りはじめた彼は』を思い出しました。よく読めば全然テーマが違う話ですが…。
| chiekoa | 2005/08/08 11:18 AM |

ざれこさん、こんばんは。
トラックバックありがとうございました。
私からもさせていただきました!
“消えていく恋愛小説なのです。その消え方がとても切なくて、でもとても美しくて、なんだかやりきれないんだけど、温かいんです”というのが、じーんときました。
川上弘美という作家に、ますます目が離せなくなりそうです。
| ましろ | 2005/08/08 7:52 PM |

川上作品の中でいちばん「ニシノユキヒコ」がダイスキです。
というか、惚れてます。
かっこよすぎ。
不器用でそれでいてオンナノコに対して優しい。
あたしは出張でこれをもって新幹線の中で読んだのですが、
赤面しっぱなしで隣の同僚♂の顔がまともに見れませんでした。
| chihana | 2005/08/09 8:33 PM |

ましろさん
川上さん、読めば読むほどいいなあ、って思える作家さんですよね。
この作品の男も女も、なんか愛に正直やなあ、ってちょっと
感心してしまいました。惰性でつきあったりしないし(笑)
愛してないって気付いたらそう言っちゃう、みたいな。
切ないけどなんだか潔かったです。

chihanaさん
あー読んでて「うわカッコいい」って思うこと何度もありました(笑)
わかりますー。
こんな男最低って思う女の人も多いんだろうけど、
確かに最低だけどカッコいいのです。振り回されたい(ヤバい?)
隣の同僚がニシノさんだったら笑えるのですが。
いそうですよね、ニシノユキヒコってざらに・・
| ざれこ | 2005/08/09 11:27 PM |

読んでいて寂しいけれど、何だかあたたかくて、不思議な気持ちがしたんですが、
それは「消えていく恋愛小説」だからなんだと思ったら、何だかすっきりしました。

こういう人にひかれるって、わかります。
同級生か年下だったら絶対にひかれてます。
でも年上だったらどうかなぁ・・。
| june | 2006/03/07 11:13 PM |

juneさん
ああ、私も惚れてますよ。出会ってたら(笑)でも年上だったらどうかなあ・・・ってのもなんかわかりますー。年上にしてははかなげすぎますよね・・
| ざれこ | 2006/03/10 1:38 AM |

愛が消えていく瞬間・・切なかったです。私なら、やっぱりニシノくんに惚れてしまうかも。で、しばらくしたら辛くなって逃げ出しそうです(笑)
TBさせていただきました。
| EKKO | 2006/08/16 7:08 AM |

EKKOさん
ああ、私も辛くなって逃げ出すかもです。それか振り回されていつまでも便利な女になるか・・・。やっぱ、逃げよう(笑)
切ないけど、好きです、このお話。ニシノくん・・(と私は呼びたい)
TBありがとうございました。
| ざれこ | 2006/08/17 12:47 AM |


わたしだったら「ニシノユキヒコ」ってフルネームで呼びたいなあ、とか思いながら読みました。
ゼッタイすきになりたくないタイプの男性だな、
でもやっぱり関わったらすきになってしまって、
そしてそんな自分がイヤになって去っていくんだろうな、わたしは、と思います。。
| | 2006/09/08 1:14 PM |

どなたかわかりませんが
コメントありがとうございます。
確かに関わってはいけない男性の筆頭ですよね、ニシノユキヒコは。でも、「あんな男に騙された」って後悔とかはしなさそうです。いい思い出になるんだろうな、去ってからも、みたいな。出会ってみたいような、みたくないような・・。
| ざれこ | 2006/09/13 1:19 AM |

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