本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「絶海」
絶海
絶海
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7.20
恩田 陸 / 恩田 陸著祥伝社 (2002.10)通常2??3日以内に発送します。


恩田陸、歌野晶午、西澤保彦、近藤史恵、この4人の作家が書いた
孤島を舞台とした推理短編をまとめたもの。
400円文庫で恩田陸「puzzle」を読み、あと3冊同じ「孤島」というテーマで
違う作家が書いた小説が刊行されているのも知り、興味を持っていたら、
それが1冊にまとまっているこれをみつけて、早速読んでみた。
恩田陸「puzzle」を読んだときは、わりと短いストーリーなのに1冊になってることで
なんか変な感じがしたんだけど、4つまとめてみると1冊の本として落ち着くというか、
収まりがよくなった。企画としてもいけてる。

無人島を舞台にすると、島全体が一種の「密室」となって、それだけで閉塞した
緊張感を生むし、ミステリの舞台としたらなかなかそそられる。
その中で4つの作品が生まれるってことで、ともすればワンパターンに陥りがちな
設定の中、4人の作品はうまくかき分けが出来ていて、違う緊張感が生まれていた。

ざっと、ひとつずつ感想書きます。

恩田陸「puzzle」
再読なのでたくさんの感想は差し控えるけど、2回読むと冷静に読めるので、
ストーリー構成とか人物の描写とか、やっぱりうまくまとめるなあって思ったり。
関係ない新聞記事の羅列から始まるイントロはやっぱりそそられたし、
二人しかいない人物が好対照として魅力的に目の前に現れてくる。完成度高いわ。

歌野晶午「生存者、1名」
過激な宗教団体でテロを起こした信者たち5人が、無人島に送られ、
そして放置される。生き残るのは誰か?
食料が不足しはじめてから、せっぱ詰まった人間の浅ましさが出てくる描写は
なかなか怖いものを感じた。4つの中で一番緊迫感ある作品、な気がする。
最後の最後までどんでん返しは繰り返される。ラストの方は新聞記事の些細なところさえ
読み飛ばせない。そして、結局どうなるの?とラストをみて、最後2行で
私は地団駄を踏んでしまった。「うわーやられたーなんだこりゃー」・・・悔しい。

西澤保彦「なつこ、孤島に囚われ。」
レズビアン作家森奈津子、ある日拉致されて孤島の別荘に放り込まれる。
蟹やビールがたくさん詰まった冷蔵庫のある快適な別荘で、開き直って優雅に過ごすと、
隣の島で殺人事件が・・・?
3編の中では一番ふざけていて、ライトでエロいミステリ、で私はどうもなじめず。
レズビアンの小説家がやたらエロいシーンばかり書いてて、
「さあ、いじめてやるわよ」「ああ、そんな、お姉さま」的な。もう忘れたけどさ・・・
すごいなと思ったのが森奈津子氏が実在すること。で、けっこうこういう系の作家さんらしい。
他にも実在の作家が実名で登場、それはちょっと面白い気がした。

近藤史恵「この島でいちばん高いところ」
海水浴をしようと無人島にきた女子高生5人。連絡船に乗り遅れ、
一夜を島で過ごすことになったが、誰かが島にいる・・・・・?
5人の少女が出会う恐怖を描いたちょっとパニックホラーっぽい小説。
一人一人がそれぞれをどう思ってるかとか、少女達の内面がとても細やかに描かれてて、
大人になりかけた中途半端な年代の微妙な心理描写がうまく、共感を呼ぶ。
だからこそ、展開が進むにつれ怖さが増すのよねー。そしてラスト。なんだかなあ・・・
後味はあまりよくはないけど、それでも前に進もうという気力を感じる、
サスペンスとしても青春の一コマとしても、読みごたえある短編でした。
| comments(0) | trackbacks(2) | 00:25 | category: アンソロジー(他) |
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『なつこ、孤島に囚われ。』西澤保彦/祥伝社
裏表紙に 「妄想癖の強い奈津子は"とんでもない推理"を打ち立てるが…」 などと書...
| 午睡図書室 | 2005/07/21 6:21 PM |
絶海(推理アンソロジー)
 「絶海」(恩田陸/歌野晶午/西沢保彦/近藤史恵:祥伝社)は、無人島での殺人事件をテーマとした、4人の作家による推理アンソロジーである。・無人島の鼎島で発見された不思議な3人の死体:「Puzzle(パズル)」(恩田陸) ちょっとこりすぎて現実離れしている。・
| 読書と時折の旅 (風と雲の郷本館) | 2007/12/04 9:58 PM |
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