本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「恋文」連城三紀彦

連城 三紀彦 / 新潮社(1987/08)
Amazonランキング:42,664位
Amazonおすすめ度:



渡部篤郎、水野美紀、和久井映見出演でドラマ化された頃に読みました。
ドラマ化というのはどうも小説が陳腐になる印象があるけど、
こうやっていい本に出会えるなら悪くないな、と思いました。

表題作「恋文」は、10年連れ添った夫が突然
昔の恋人から受け取った手紙を読んで、出て行ってしまう。
そこには「私はあと半年で死にます」と書かれていて、
男の妻はそれを受け入れるしかなく・・・・というなんとも言えず切ない話である。
ドラマ化で10回放送しちゃうとえらい間延びするが、短編として読むとちょうどよくて、味わい深い。
文章も淡々としていて癖がなく、でもその中に
実は夫を愛していることに気づく妻のささやかな気持ちが
淡く織り込まれていて、読み終わったあと、じんと心が落ち着くような、
深い読み応えだった。

残る4編ともそんな感じで、長い間切なく温められてきた想い、が
どの短編にも漂っていて、短編なのに果てしなく長い時間を感じさせて
ちょっと辛くなって、でも最後に落ち着くような佳作ばかりで、
一つ読んではじっくり味わっていました。

最後の「私の叔父さん」が更にとてもよくて。
姪に当たる4歳下の女性に淡い思いを持っていたがそれを言い出せず
結局その女性が結婚して死んでしまった男が主人公、
18年もたってから女性の娘が家におしかけてきて、彼はある事実に気づく・・・
そこにも長い間漂っていた双方の想い、が溢れていて、
なんだか最後はほんまじーんと。いい後味でいい読み応えでした。
この一編を最後に持ってきてもらえて嬉しかった。

恋愛って結局はどちらかというとどーしようもないものの方が多く、
どーしようもないことがたくさんあって悶々としたりするけど、
それでもステキなことだな、と思わせてくれる小説集でした。

ここに出てくる人物達は、皆「大人」で、それが哀しくて切ないけど。
私はなかなか、というか全然、そうはなれないけども、ね。
| comments(4) | trackbacks(5) | 17:38 | category: 作家別・ら、わ行(その他の作家) |
コメント
こんばんは。
『恋文』は最近読んだばかりなのですが、私もかなり気に入りました。
やっぱり、「私の叔父さん」が良いですね。何というか、ぐっときます。気になって他の方の感想を見て回ったら、多くの方がこれをベストに挙げていました。
| T | 2005/07/13 10:22 PM |

Tさんこんばんは。確かそちらのブログで「恋文」アップされたんで私も思い出して
サイトのほうから記事をとってきたんですよ。
期待以上のいい本でしたね。
確か「私の叔父さん」読んでてラスト数ページで、
あまり好きではない男友達から電話が入り、
「別に用はないんやけど」と言われたのでブチ切れ、
「本読んでるから切るわ」と電話を切って読みふけった私です(笑)
しかし仕方がないとは言えかなり腹たちました。
初読は一度しかないのに〜
| ざれこ | 2005/07/14 2:09 AM |

TBさせていただきました。

やっぱり「私の叔父さん」が大人気みたいですね、女性陣には(笑)
| アトマツ | 2005/08/18 8:13 AM |

アトマツさん
あ、男性陣は違うんですか(笑)へえ、面白いなあ。
アトマツさんは表題作がお好きみたいですねえ。
| ざれこ | 2005/08/18 9:41 AM |

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