本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「イン・ザ・プール」
公式サイト

さて、「イン・ザ・プール」観てきました。
映画予告を一目見てからすっかりとりつかれて、
「絶対に観る!」と決めていたんですが、ほんま観て良かった〜。
いやあ、笑った笑った。

伊良部総合病院の精神科医伊良部一郎のもとに、おかしな患者達、
継続勃起症(24時間勃ちっぱなし)のオダギリジョー、
強迫神経症の市川実和子、プール依存症の田辺誠一が次々訪れる。
しかし医者の方が変。注射フェチだし、わけのわからん話ばかりして
ちっとも治りそうにない、のだが・・?

松尾スズキいいですねえ。小説の伊良部みたいに巨漢じゃないんですが、
豹柄のすごく趣味の悪いシャツの上に白衣、豹柄のブーツ。海パンまで豹柄。
その変な服をしっかり着こなして、自分なりの伊良部像を作り込んでいっていたような
気がします。
最初は嫌悪感を感じるくらい変な奴だったし。どうしようかと思った、けど
だんだんとそのキャラが憎めなくなってくる。そういう意味では伊良部そのもの。

患者たちもいい。オダギリジョーが、怒りを押し殺しすぎた精神的な症状で
継続性勃起症になってしまう、穏やかで優柔不断な男そのものになってて、しかも笑える。
普通診察室でズボンおろして患部(!)を丸出しにして(そこは黒丸で隠されている)
それを無表情で居丈高に見つめ続ける看護婦のマユミちゃんにはかなり笑えた。
シュールだ。シュールすぎる。またそのシーンしょっちゅうあるのよ。

彼は、浮気して出て行ってしまった妻に怒れないまま過ごしてしまって、
それが症状の原因だと見抜いた?伊良部は無理矢理元妻のもとに押しかける。
元妻が確かに勝ち組代表、みたいなやな奴でさあ、
「私だけ幸せになるのは申し訳ないし、再婚しないの?」などと言うもんだから
伊良部はオダギリの代わりに?キレてしまう。
そのキレっぷりが最高。もう死ぬほど笑った。映画館も爆笑の渦。

そのオダギリのエピソードと、強迫神経症で家が燃えないか常に心配して
家から出られないルポライターの女性患者、そして患者じゃないけど
プール依存症の男、のエピソードが並行して描かれる。
シーンの切り替えのテンポがいいので、伊良部以外につながりのない3つの
エピソードがとんとんと流れていって、リズムよく観られた。
阿部寛のテレビバージョンでは患者があちこちで出会ったり関わったりしてて
まあ面白いんだけどちょっと嘘っぽいよね、って思ってたんだけど、
完全に独立しちゃってるエピソードをつなぐでもなく並べていって
それでも面白くみられるってのは、うまい構成だったと思う。

プール依存症の男だけは中途半端って言うか、田辺誠一はかなりいい味出してたけど、
彼が患者として伊良部を訪れる場面でストーリーは終わるのだ。
原作読んでない人にとっては「なんだろうこの人結局」って感じになるんじゃないかな?
って思うけど、それでも不快感はないし、ちゃんと終わった、って感じにはなってる。
ラスト、プールにどばーんと入った彼の開放感が大胆なプール映像とともに
私らにも伝わるからじゃないのかな。と思ったり。BGMもぴったりで味があるしさあ。
うまい、の一言です。

どの患者も、私らがいつなってもおかしくない病気ばっかりじゃないですか。
勃起症は置いておいて。でも彼の感じているストレスは日常のものだと思うし、
何かへの依存症とか、強迫神経症とか。
だから身につまされて暗くなりがちなテーマのはずが、それを明るく笑い飛ばして
私たちに元気をくれる、そのスタンスは原作どおり。すばらしい。
映画館に響く爆笑、で、みんなで笑うことで私のストレスも吹き飛んだ気がしました。

観るべし、ですよ。DVDでもいいです。観るべし。誰かと一緒に観たら更に幸せ。

これは映画館でしか体験できないことかもしれないんで恐縮ですが、余談として。
同じ監督の最新映画「亀は意外と速く泳ぐ」の予告編がですね、
本編開始直前と、本編終了後に流れるんですよ。
これがもう、かなり面白くって、何の映画か全くわからないんだけどすっごい笑えて、
特に本編終了後に流れた予告で、映画本編の笑いを全て持ってってしまうくらい笑えた。
映画館から出てきた人達は一様に笑顔でした。幸せ幸せ。
もちろん「亀は意外と速く泳ぐ」も観るに決まってます。ハイ。思う壺です。
| comments(6) | trackbacks(1) | 11:45 | category: 本以外のこと |
コメント
おはようございます!
こちらのエントリーを読んで
自分自身の「身につまされる話」を思い出してしまいました。(笑)
それを記事にしたので、TBさせていただきました。
関連性が低い話なのに、ごめんなさい。

「亀は意外と速く泳ぐ」が是非にも観に行きたいです。
| nemuri_neco | 2005/07/13 6:56 AM |

こんにちは。トラックバック歓迎です。大変ですね。

私も昨日気づいたんですが「映画直前にトイレに行かないと症候群」です。(笑)
映画館で映画を見る場合、開始5分前に催してなくてもトイレに行っておかないと、
どうしても気が済みません。10分前に行ってても、です。
それでも予告が終わるくらいまでは「もう一回いきたいかも・・どうしよう・・」と悩んでます。
映画がはじまって集中しだしたらやむんですが。
昨日映画前にトイレ行きながら「伊良部先生なら一発で治しそうな
しょぼい症状やなーおむつして見ろとか言われるのかなー」とか
ぼんやり思ってました(笑)ほんましょぼいですよね・・
| ざれこ | 2005/07/13 10:27 AM |

映画館には、上映中のトイレもOK!って感じで入ります。何せビールを飲みながら観ますから。(笑)
でも、実際にお手洗いのために席を立つのは殆どないかも。長い上に退屈なのはダメで、「アイズワイズシャット」は3回も通いましたが…。

伊良部先生の治療法というか解決策ってホントに凄いですよね。本物の医者は「そんなん素人でもわかるわい!」的なアドバイスしかしないので、伊良部先生の偉大さが余計に際立ちます。
『イン・ザ・プール』は、その本物の医者である選考委員が難癖を付けて直木賞を逸したみたいですが…。
| nemuri_neco | 2005/07/13 1:27 PM |

私も「マトリックスレボリューションズ」の退屈な戦闘シーンでトイレにたちました(笑)満員の映画館のどまんなかに座ってたので恐縮しちゃって、あれからさらにトイレを気にするようになっちゃいました。飲み物すらセーブする私ですが、そうかあ、ビールかあ・・(笑)

直木賞選考委員に医者っていましたっけ?W氏?
「イン・ザ・プール」時点ですでに十分面白かったですのにね。まあ、取れたからいいですけど。
| ざれこ | 2005/07/14 1:59 AM |

そう、W氏。
オダギリジョーさんが演じた病気が「こんなのは起こり得ない」と―。
何て無粋な事を、と思ってしまいました。

以前は新潟市に住んでいたのですが、
あそこは映画ファン天国みたいな土地です。
人口50万に、ワーナー・ユナイテッド・T-Joyがあるものですから
話題の映画でも初日や週末を除くと
がら空きの中で観る事ができました。
「サイン」は娘と二人だけという貸切状態で泣きそうでした。
怖いったらありゃしない。
そんなこんなで、トイレに立つのなんか平気になっちゃいました。

「マトリックスレボリューションズ」の戦闘シーンは
確かに退屈でした。(笑)
| nemuri_neco | 2005/07/14 2:38 AM |

無粋ですよねえ。リアリティを厳密に求める話じゃないのに。
しかし文学賞メッタ斬りによるとW氏は「下半身ご意見番」で
「勃ちっぱなしという表現はどうか」と難色を示したらしい。
直接的すぎて気に入らなかったんですかねえ(笑)

うちも田舎なんで、先日観た「フライ・ダディ・フライ」は計6名。
トイレ行き放題でしたわ。面白かったんで行かなかったですが。
| ざれこ | 2005/07/14 9:32 AM |

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ポータルサイトの効果的な利用法を覚えたお陰で、書評ブログの散策という楽しい日常を手に入れる事ができました。ところで私は、書評系ブロガーの皆さんが絶句するような性癖を抱えています。図書館の本が読めないの...
| Gotaku*Log | 2005/07/13 6:46 AM |
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