本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「山ん中の獅見朋成雄」舞城王太郎

舞城 王太郎 / 講談社(2003/10)
Amazonランキング:67,617位
Amazonおすすめ度:



どうでもいいことなんだけど、図書館からいきなり舞城王太郎作品が消えましてね。
今までは全部揃ってずらっと並んでいて選び放題借り放題だったので、
私専用の舞城スペース、いつだって借りれるわ〜、と逆に油断して
借りてなかったのが、ある日突然1冊残らず消えてしまった。
もしや、有害図書を置かないでくれとか保護者(?)から
苦情が出て撤去された?とかあほなことまで考えましたが、
なんのことはない、売れ始めたのよ舞城が。
めでたいことなんだがなんか複雑・・・。借り放題だったのに。
で、久々に1冊みかけたのがこれ。迷わず借りることにした。

そんなわけで「舞城ブランド」だけで、何の前知識もなく読んだんだけど
こりゃなんだ。すごいわ。


舞城王太郎が「春樹チルドレン」の中に入れられてるのをみても
全然納得いかなかったけど、これ読んでほんの少し納得いった。
「煙か土か食い物」あたりの「リアル頭んなか文体」(命名は私)と比べると
文体としてはだいぶん落ち着いている、だから村上春樹も思い出せるし、
井戸をもぐったら不思議な世界が、といった春樹ワールドともつながる部分がある。
だからそう思ったんだけど。

でも落ち着いた文体だけど内容は一番ぶっとんでましたね。

獅見朋成雄、14歳。走るのがすごく速くてオリンピックも夢じゃないが、
友達?の50代の書道家のモヒ寛と相撲もしたいし、なにより背中に生えた
獅見朋家遺伝の鬣が気になって、陸上を投げ出してモヒ寛の家、山奥へ。
そこでモヒ寛から書を習う成雄だが、ある日山の中で美しい馬を見掛け、
追いかけるとモヒ寛が頭を割られて倒れていた。
それからずっと、山の中であの馬を探す成雄だったが・・

ネタばれには気をつけますが多分ばれちゃうと思うので、
以下、未読の方気をつけてください。

トンネルを抜けたら違う世界へようこそ、なんですよね。つまり。
そこが村上春樹的、と思ってたらなんとまあ「千と千尋の神隠し」のパロディだと
どこかに書いていた。なるほどなあ・・・

その異世界で成雄は背中の鬣を剃られてしまう。
鬣、気にしてるくらいなら剃っちゃえばいい、という心の声に従ったが、
それがなくなることで今までの自分が消えちゃったかのような喪失感が
成雄を襲う。そこから彼は歯止めがきかなくなって。

彼は鬣を剃ったとたん自分の苗字を名乗らなくなる。
なんていうか、鬣に象徴されていた「自分」というものが、
なくなってしまった不安。もう昔の自分には戻れない、自分は変わってしまった、
そんな不安。強く感じた。私も、私の体が私自身で、
それが外界からへだてられていて、それが私自身を作っていて、
そして私は刻々と変わっていく。そんなことを思った。
「自分」というものについて、なんだか深く思った。そんな小説だった。

後半、グロいと言っていい凄まじい展開で、人間の罪って何だろう、って
考えさせられちゃうくだりもあるんだけど。そこらへんは何か実感できず、
私がずっと感じてたのは自分であるということ、変わっていって戻れなくても、
それでも「自分」であるということ。
そんなことばかり感じていた、気がする。
入れ物としての自分の体、そして自分を意識した、そんな本。

自分ってなんだろうね。でもラストはなんだか、新しくなった成雄、
でもモヒ寛を見捨てなかった変わってない成雄、がひたすらに走る。
むちゃくちゃでシュールな世界だしこんな感想変だけど、すがすがしかった。

男と男の友情物語としても読めるのかなあ?成雄とモヒ寛は
すごく年が離れてるけど、お互い思いあってて、なんかかわいかった。

舞城王太郎としてはちょっと異色な感じじゃないのかなあ。1冊目には薦めないけど、
数冊読んだあとなら、こういう世界もありの人かあ、とまた新たな発見でした。


| comments(4) | trackbacks(5) | 01:25 | category: 作家別・ま行(舞城王太郎) |
コメント
そうなんですか?
私は舞上王太郎、これから入ったんですが。
ていうか、これ1冊しかまだ読んでないっていいますか。

この本を読んだとき、サリンジャーだ、と私は思ったんですが、村上春樹ですか。
村上春樹は、実は読んだことがないんですね。
ベストセラー作家だと、何故か躊躇してしまう私。
一度は読んでみるべきでしょうか?
| くろにゃんこ | 2005/07/14 9:02 AM |

サリンジャーですか。私はサリンジャーを読んだことなくて(笑)
あ、ライ麦畑は読みましたが(サリンジャーでしたよね)私には難しかったです。
村上春樹はサリンジャーの影響も受けてたと思うので、
だから元ネタはサリンジャーですかね(意味不明)

舞城さんの他の本はだいぶ違う文体でした。「煙か土か食い物」とか。
私はこの本もよかったけど「煙・・」の方が好きかなあ。
| ざれこ | 2005/07/14 9:20 AM |

図書館で舞城さんを見つけるとせっせと借りています。
こちらの図書館では今のところ借り放題です。
読むのは中3の娘たち。既刊はほとんど読んだかも。
私も3冊読みましたが、私にはしんどい作家さんでした。
読者を選ぶ作風とよく評されていますが、私は選ばれなかったみたい。
「山ん中の獅見朋成雄」も、娘たちは読みましたが
私は読んでいません。我が子より読書力のない母です。
でもざれこさんのレヴューを読んで、気力のあるときに
また舞城さんに挑戦してみようかなと思いました。
| 小葉 | 2005/07/14 4:46 PM |

小葉さん
こんにちは。いつも闇雲にトラックバックしてごめんなさいね。
読んでる本が似てるもんだから・・・

舞城さんは読者を選ぶと思いますが、選ばれなかったからってどうこう思う必要全然ないと思います(笑)
私にはたまたま合うかな、って思いますけどこれが合う私って、
とも思いましたしねえ。
なのでリアル友達には薦めたことないです(笑)
この本もまあだいぶ独特なんで・・。また娘さんにでも感想を聞いてみて下さい。

しかし中3でマイジョーかあ。なんかすごいなあ、と思いましたが
私も中3で村上龍読んでましたから同じようなもんですかねえ。

| ざれこ | 2005/07/14 5:45 PM |

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再掲 ◎「山ん中の獅見朋成雄」 舞城王太郎 講談社 1500円 2003/9
題名が多分読めないと思うのだが、獅見朋成雄(しみともなるお)は中学生主人公の名前である。本書は、舞城が書いた文芸寄りの作品であり、舞城版「千と千尋の神隠し」もしくは『霧のむこうのふしぎな町』といった風情で、獅見朋成雄少年が山ん中の、別の山ん中にまぎれ
| 「本のことども」by聖月 | 2005/07/14 7:36 AM |
舞城王太郎のことども
◎◎ 『煙か土か食い物』 ◎◎ 『暗闇の中で子供』 ◎◎ 『世界は密室でできている。』   ◎ 『熊の場所』   ◎ 『阿修羅ガール』   ○ 『九十九十九』   ◎ 『山ん中の獅見朋成雄』   ◎ 『好き好き大好き超愛してる。』 ◎◎ 『みんな元気。
| 「本のことども」by聖月 | 2005/07/14 7:36 AM |
山ん中の獅見朋成雄 (舞城王太郎)
『群像』に掲載された純文学だそうです。ということは別掲の『阿修羅ガール』と同じ路線ということでしょうか。 読みやすかったし、特に主人公が異世界(天関堂)に入ってからはグイグイと引き込まれた。読ませる力はここでも健在。でも、読み終わったときは「あらら
| 読んだモノの感想をわりとぶっきらぼうに語るBlog | 2005/07/15 11:11 PM |
(書評)山ん中の獅見朋成雄
著者:舞城王太郎 先祖代々、背中に立派な鬣が生える家系に生まれた中学生・成雄。彼
| たこの感想文 | 2005/12/01 4:12 PM |
cheap air fares
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| cheap air fares | 2007/02/01 8:55 PM |
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