本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「朗読者」ベルンハルト・シュリンク  松永美穂 訳

ベルンハルト シュリンク, Bernhard Schlink, 松永 美穂 / 新潮社(2003/05)
Amazonランキング:28,654位
Amazonおすすめ度:



15歳の少年は、38歳のハンナに恋をする。
彼女は少年に「本を読んで」とせがみ、二人の逢瀬のたびに少年は本を朗読した。
しかしある日彼女は消え去り、そして裁判所で二人は再会する・・・

とても非現実的な設定だと思いつつ読み始めたんだけど、
だんだん感情移入できるようになった。

読んでいて時折ぎゅっと胸をつかまれる感覚がある、そういう小説でした。
特に最後の方の少年(は大人になっている)とハンナとの関係が
淡々と描かれている部分では、辛すぎてうっとなったり、
こういう関係はつらくてしんどいだろうけど、羨ましい気もしたり。
一生かけて誰かを想い続ける、ってことは、ものすごく辛いことだし
特にその人に会えないとなったら誰もやりたいと思わないだろうけど、
同時に誰もがそういう人生を熱望してるんじゃないか、なんて
私は思ったのだった。少なくとも私はそうだ。

そしてハンナの過去に犯した罪。それはナチスドイツと絡んでくる。
少年(はそれを知ったとき大学生だった)はその罪の重さを受け入れられず、
自分がハンナを愛していることも罪なのか、と思い悩む。
そして歴史の足跡をたどって、自分の中でそんな自分を受け入れる。
その感じが短くも丁寧に描かれていて、そこらへんも私はうっとなった。

歴史というものはその場に居合わせた人々によって動かされていて、
そこにいる人たちは時代という大波に流されているのか、
それとも自分たちが時代を流しているのか、わからないまま行動する。
そして罪を犯してしまったハンナは「あなたならどうしますか」と
裁判で問う。誰も、答えられはしない。
歴史の流れはあまりに大きく、人間はあまりに無力で愚かで、
でも歴史を動かすのはその愚かな人間達。・・なんか哀しくなった。

あれ、なんかえらい大袈裟な感想になりつつあるなあ。まあいいか。

後半に少年はふと「ハンナの秘密」に気づくんだけど、
で、「そこまで隠すことはない」と少年は思うし、私も思うんだけど。
でも、自分が一番恥ずかしいと思っていることって、
人からみたらどんなに些細なことでも、言えない、よなあ。なんて思うと、
ハンナの気持ちもわからなくもない、かなと。
恥というより、なんだろ、自分なんだけどね、それも含めて。

訳も読みやすく入りやすい。
まあ、とりあえず私は良かった。
人それぞれ、うっとなるところは違うだろうけど。

私がこれを手にとったきっかけは、前評判でも帯でもなく、
表紙の温かさに魅かれて、だった。
すごく温かいし、本のイメージともぴったり。
作者は木工作家の三谷龍二さん、らしい。

三谷龍二 木の器
| comments(3) | trackbacks(7) | 02:19 | category: 海外・シリーズ別(クレストブックス) |
コメント
えらい衝撃的な小説でした。
ハンナの秘密は、
私もそんなに隠すことかなあと思ったけれど
やっぱりそれはハンナにしかわからないことなんでしょうね。
TBさせていただきました。
| りりこ | 2005/07/10 6:06 AM |

こんにちは
ブログでははじめまして。シングルトン同盟に参加させていただいてるmoji茶です(´∀`)

この作品、全体としては面白かったんですが、ハンナの気持ちが理解できなくて結構悩みました。
大人な内容だったからですかね・・・。かなりの年の差でしたがハンナはどんな気持ちで主人公とつきあってたんだろうかと今でも時々考えます。
| moji茶 | 2005/07/10 9:11 PM |

こんばんは。お二人ともトラックバック返させてもらいました。
私もこの本は読み終わってからだいぶ悩んだ記憶があります。理解できない気持ちがまず立ったような・・・
表紙が美しかったので純愛小説かと思って油断していたので、うわあって感じでした。
| ざれこ | 2005/07/11 1:37 AM |

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『朗読者』 ベルンハルト・シュリンク 新潮文庫
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