本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「うつくしい子ども」石田衣良
うつくしい子ども
うつくしい子ども
  • 発売元: 文藝春秋
  • 価格: ¥ 500
  • 発売日: 2001/12
  • 売上ランキング: 15,692
  • おすすめ度 4.44


「池袋WGP」の作者の本で、期待して読んだ。
そのシリーズとは空気感が全然違って、意外に思いつつ読んだ。

主人公ミキオは中学2年生。新興住宅地の夢見台に住んでいる。
ある日小学生が殺害される事件が起こるのだが、ミキオの弟の
カズシ13歳、が犯人として逮捕されてしまう。
ミキオはいづらくなった街に残って、どうして弟がそんなことしたのか、
探ろうとする・・・

弟の犯罪というどーしようもない十字架を背負った少年が、
その事実を乗り越えて成長しようとする物語で、題材は非常に暗いけれども
爽やかな印象を残します。そこらへんはさすがこの作家の持ち味。
味方が誰もいなくなった中、ミキオくんが唯一見つけたふたりの友達と、
事件を見据えていく。最後の彼の成長ぶりにはちょっと感動すらした。

でも、お話は充分グロイし事件は後味悪いんだけど。
「現実でこんなこと起こるわけないやん」と言えなくなっている私たち、が辛い。
もちろん、酒鬼薔薇事件を強烈に思い出させる小説であり、
最近じゃあ長崎の12歳もやっちゃったからね。どんどん低年齢化している。
この話は、そういった少年犯罪をひとくくりにしてステレオタイプと化してしまうのではなくて、
あくまで「ミキオくんちの物語」としているのがよかったと思う。
でもミキオくんちって普通の家なんだけどね。どこにでもありうる話。なんだけど。

読んでて怖いのが、少年っていうのは無垢な存在で、
まだ揺れ動く自我の中に、なんでもかんでもがんがん取り込んでしまう。
それが歪んでようがなんだろうが知ったこっちゃないし、止めようがないんだろうな、と。
この事件でも弟は歪まされていきます。何に?ネタバレになるので書けないけど。

友人や家族やテレビ、本などを情報源に、これだけ情報が氾濫する中、
それをがんがん取り込んだはずの私は、よく何の問題も起こさず大人になれたなあ、
どうやって情報をシャットアウトできたんだろうか、なんて不思議に思ったりした。
(問題も起こさず、は激しく語弊あるけどね。刑法上の問題って意味。)

あと、新聞記者山崎の視点とミキオくんの視点が交互になっているので、
事件を内と外から俯瞰できて深みを増します。
山崎も犯罪者の家族を批判するでもなくどちらかといえば気にかけてる側だけど、
とはいっても単に犯罪者に同情するような小説にはなってないのが
またいいところかなと。客観的というか。

文体は相変わらず軽く読みやすく、どす黒いが救いがある小説です。
この作家はまた、「今」をちゃんと描き出しているような気もする。
| comments(3) | trackbacks(8) | 01:46 | category: 作家別・あ行(その他の作家) |
コメント
初めまして。
重松清のキーワードでここまで来ました。彼の本の事を書こうと思っていたんだけど、石田さんで同じ本のコメントを書いていたんで、ちょっとTBさせてもらいます。

| ヤシマ | 2005/07/24 4:19 PM |

はじめまして。トラックバック返させてもらいました。
これ、先に息子さんが読んでおられたんですね。
この本とか重松さんの本とかは、同世代の人が読んで
立ち向かって欲しいなあ、って思うので、
息子さんなんかいいなあ、と思いました(意味不明)
これからもよろしくお願いしますね。
| ざれこ | 2005/07/24 8:06 PM |

「ミキオくんちの話」ってのわかる気がします。
これってあくまでもこの事件の場合って限定して物事を
上手に進めてきている感じですよね。
だから、読み心地が悪くない。

じゃがみたいな強い子に育ってくれるといいなぁと
母な私は思うわけです。
まぁ、こんな事件に関わることがないほうが良いですけど。

こちらからもTBさせてもらいますね♪
| みわ | 2005/07/24 10:47 PM |

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「うつくしい子ども」石田衣良
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