本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「オロロ畑でつかまえて」荻原浩
オロロ畑でつかまえて
オロロ畑でつかまえて
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 480
  • 発売日: 2001/10
  • 売上ランキング: 4,030
  • おすすめ度 4.25


「明日の記憶」の荻原浩のデビュー作。
「明日の記憶」しか読んでないんで、それはさすがにテーマが重かったんだけど、
世間ではそのユーモアが定評らしい。どんなんだろ、と楽しみに手にとる。
野球チームもできなくなった人口わずか300人の瀕死の村、牛穴村。
村の青年団は村おこしのため、村で唯一東京に行ったことがある大卒インテリの慎一と、
村でも一番の山奥に住んでいる素人写真家の悟が、
つてをたどって東京に行って広告代理店に村おこしを頼むことに。
大学の友人がいる大手広告社に無視された彼らは、ふらっと入った
広告社に村おこしを頼むが、そこは倒産寸前のユニバーサル広告社。
そして彼らがタッグを組んで起こした奇想天外な作戦とは?

なんとも言えずいいセンスしてます。
笑いのセンスが絶妙で、でもださくもなってないし、洗練されてる気がする。
とにかく笑わせようという作風って下品になりがちな気がするけど、
そうじゃない。デビュー作だし粗い部分もあるけど、のっけからうまいな、
スタイルを確立してるな、って気はしました。笑えたなあ。

たとえば、弱小ユニバーサル広告社のコピーライター杉山登場シーン。
彼がそこで考えていた没コピー。
「裸の二人が着る服です。」「二人の間の、0.03ミリ」「できちゃう前に、できること」
・・・いわずとしれた例の商品のコピーをいきなり考えては
さくさく没にしてるんですが、なんつうか素人目に見ても明らかにダサい
コピーなんだけど、これ連発されたらなんか笑えません?
私なんぞはつかみOKでしたが。
で、結局決まったコピーは「LOVE」!えー。最強にダサい。
で、そのコピーを熱弁を振るって紹介する杉山の姿、・・シュールだ・・。

そんなユニバーサル広告社、杉山、謎の関西弁を操る口から生まれた社長石井、
パンクバンドやってるアートディレクター村崎、
結婚願望が強い(苗字を変えたい)バイトの猪熊エリカ、と、個性的な面々が
自転車操業してるんだけど、そんな彼らが牛穴村の村おこしとして
考えた作戦が、・・ベタなんだけど笑える。広告社と村が一丸となって
そのやらせを決行していく。着ぐるみを真剣に作る村崎とか、
ダイビングの特技を生かしちゃう杉山とか。
そして世間で大騒ぎになってしまい、ニュース沙汰にまでなり、
不倫してる美人アナウンサーまで絡んできて、どたばたと面白い展開。

そこに元アル中のバツイチ杉山の人生の悲哀、みたいなのも絡んでくる。
酒で身をとりくずして妻に離婚された杉山、娘の早苗とも、
妻の再婚でもうすぐ会えなくなる。そんな風に一旦どん底に落ちた男が、
今回の騒ぎで少し上を向いて歩ける、みたいな人間ドラマでもある。
騒ぎのドタバタで終わるんじゃなくて、そこに巻き込まれる人たちの
ドラマを丁寧に書き込んでいるので、面白いけど少しほろりと深みがある。

なんつうか、展開はベタというかなあ、予想がつくとかいうんじゃないけど
読み終わってみたら「収まるところに収まったなあ」感が強くて
意外性は少ないんだけど、ユーモアたっぷりの文体も読ませ、
一気に読み進んで、意外性がない分、安定した安心感をもらえるというか。
読後感はすこぶるさわやかです。

ラストのちょっとしたどんでん返しには笑えた。
なにもでっちあげなくとも、自分のいいところはちゃんと足元にあるよ、
みたいなことを伝えてくれている気がした。

これなかなか面白かったので、続編の「なかよし小鳩組」も読破。
感想はまた後日。

| comments(2) | trackbacks(13) | 00:51 | category: 作家別・あ行(荻原浩) |
コメント
笑えましたね!私はあのコピー、「さすがうまいわ!」と思ってしまった田舎者です(笑)。
| chiekoa | 2005/08/08 11:41 AM |

いやいや、コピーは面白かったんですけど、でも笑えますよね(笑)
なんつうか、しゃれにならないだささじゃなくて、でもうますぎるわけでもなくって、
笑えるぎりぎりのところを突いてきたのが高度やなあと思いましたねえ。
| ざれこ | 2005/08/08 5:52 PM |

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