本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「競作五十円玉二十枚の謎」若竹七海 ほか
競作五十円玉二十枚の謎
競作五十円玉二十枚の謎
  • 発売元: 東京創元社
  • 価格: ¥ 777
  • 発売日: 2000/11
  • 売上ランキング: 7,060
  • おすすめ度 3


若竹七海が書店でレジのアルバイトをしていたときのこと。
毎週土曜日夕方に、必ず両替を頼む男がいた。
彼が持参するのは50円玉20枚。それを千円札に両替していく。
彼はどこで50円玉を集めたのか?そして、なぜ同じ時間に両替をしていくのか?

若竹七海が提示したこの謎に、推理作家、および一般公募で選ばれた一般人が解決篇を書く。
そういう趣向のアンソロジー。
・・・・こんな本、聞いたことないわ。なんじゃこれ。と思って手に取る。
これは「鮎川哲也と13の謎」というアンソロジー本(どうやら2000円らしい)に載せられた企画で、
一般公募で36作品が集まったそうだ。
そのうち6作品がこの本には掲載されているが、36作品中6作品が、
こうもクオリティ高い内容だったことに私はまず驚いてしまった。
そんな、プロみたいな書き手が世の中にこんなにいるの?たった36作品中に?
しかもその後そのうち2名はデビューしている。1名は「日曜の夜は出たくない」で知られる
倉知淳(ここに収録された短編が猫丸先輩のデビューだろう)。びっくりした。
とはいえまだ「日曜の・・」は未読なんだけど、積読の山から出してきました。面白そうじゃないの。
まあそれはともかく、6分の1で読める作品がある文学賞ってそうそうないだろうから、
そういう上質な推理マニアしか読まないマニアックなアンソロジー本だったんだろうな、とは思われる。
何しろ2000円(って何人か書いてたんだもん、値段。みんな高いと思ったんだろうね)

中身もまあ、マニアックだ。どうやらこの謎、深夜名だたる推理作家たちが集まって
あーでもないこーでもないなんて頭を悩ませていたらしいんだけど、
その面子がまた、北村薫とか有栖川有栖とかがいたらしくって。
彼らが集まって夜通しそんな謎を議論しているのかと思うとなんだかほほえましい(失礼)が、
法月綸太郎が出した解答篇は明らかにそこらを意識した内輪ネタになってて、
しかも別の謎解いてるし!しかしこれがけっこう笑えた。

ほか、内輪ネタはいくつか出てきてしまっていて、
(一般公募にも内輪ネタがあるのはどういうわけだ?まあいいか)
ちょっとそこはおなかいっぱいな感じになっちゃったけど。やっぱり、
知らない人の騒ぎを「楽しそうだなあ」と眺め続けるのは、最初楽しくても
だんだん疎外感感じるし。とは思いつつ。楽しく読めました。

それにしても北村薫氏はさすが、絶大な存在感ですね。
多分当時は北村氏が覆面作家の正体を明かしたあたりだったのか、
いろんな人に取りざたされている。
で、北村薫「空飛ぶ馬」を読んでないと、たぶんこの本の楽しみは半減です。
なーんの関係もないはずなのにあっちこっちで出てきます。
ご本人は執筆すらしていないってのに。書いて欲しかったなあ。
一般公募で「これ、北村薫が偽名使ってないか?」ってくらいそっくりな人は一人いましたが。

話それまくってますが。肝腎の謎のほうですが、
これだ、っていう解決があったのかどうか、私にはどうも、しっくりこず。
なんかどれもこれも謎が膨らみすぎなんやもん・・・
多分真実は、もっともっとどーでもいいことだったのだろうな、と思いつつ、
膨らんだ謎の鮮やかな解決にはどれも楽しませてもらいました。
おんなじテーマでも書く人が違うだけでこうも違うんだな。

やっぱり一番面白かったのは一般公募の最優秀賞ですかね。
たかが50円玉をよくぞここまで。しかも最後のオチまできいてて。
プロ作家負けてないか?と危惧してしまいました。
あとはなんつうか「ミステリ好きの集団が偶然見聞きしたそのおっさんの謎を解くため
とりあえずあとをつけてみると・・・」みたいな展開が多かったなあ。
ちょっと飽きた頃に最後の黒崎緑の一編は、駄洒落は多すぎますが
違った視点でぴりっと終わってよかったです。
そうかあ、あそこの自動販売機は50円じゃないとあかんのよなー。

なかなか楽しめる企画本でしたねえ。また新たな謎でやってみたらどうかなあ。なんて。

追記:北村薫新刊「ニッポン硬貨の謎」で、
北村薫氏もこの謎に挑戦しているみたいです。
待ってました!
| comments(4) | trackbacks(4) | 00:17 | category: 作家別・ら、わ行(若竹七海) |
コメント
最優秀賞の人は、弁護士さんで、創元推理短編賞の受賞者でもあるようですね。
納得の内容です。(笑)

>これだ、っていう解決があったのかどうか、私にはどうも、しっくりこず
同感!
私は法月さんの短編集から入ったので、
「競作五十円玉二十枚の謎」に対する期待が大き過ぎたのだと思いますが
ジグソーパズルの最後の一枚がピタッと当てはまる感触は
味わう事ができませんでした。

新たな企画でやって欲しいというのも同感!
ただ、こういう趣向が好きそうな作家さんが
皆さん、中堅以上になってしまわれた上に
編集者の戸川さんは退職なさったのでしたっけ?
実現は難しいかもしれませんね。

「ニッポン硬貨の謎」は若竹七海ファンには堪らない一冊かも。
何せ、準主役なんですもの。
| nemuri_neco | 2005/08/06 2:56 PM |

ざれこさん、はじめまして。
TBとコメントをどうもありがとうございました。

私はこの本、ブクオフの100円コーナーで見つけたので、
元は2,000円と聞いて、得した気分です(^^)
結局実際の50円玉20円の謎はどういうことだったのかが
気になりますが、いろんな話が読めて
楽しかったです。
| MICHI☆みすず | 2005/08/16 6:25 PM |

MICHI☆みすずさん
確かに謎は解けないまんまでしたよね・・・(笑)でも楽しかったです。
この本自体は文庫なので700円程度でした。確か、問題を出題した雑誌が2000円じゃなかったかな?よくネタにされてましたよね。
| ざれこ | 2005/08/19 4:12 PM |

元々の50円玉両替男が
もしもこの本を読んでいたら
どんな顔をして読んだでしょうね。
見つけ出して本当の理由を聞いてみたくてたまりません。
| ふらっと | 2005/11/18 9:12 PM |

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私的「五十円玉二十枚の謎」
「競作 五十円玉二十枚の謎(ISBN:4488400523)」を読んだ人の多くが、自分なりの解答篇を考えてみたのではないでしょうか? 若竹七海さんによる問題篇ある書店に、50円玉20枚を1000円札に両替して欲しいという男が現れ...
| Gotaku*Log | 2005/08/06 2:57 PM |
「競作 五十円玉二十枚の謎」若竹七海ほか(創元推理文庫)
競作五十円玉二十枚の謎若竹 七海 依井 貴裕 有栖川 有栖 笠原 卓東京創元社 2000-11売り上げランキング : 156,993おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools 若竹七海さんが実際に体験した出来事から生まれた本。 毎週土曜日に池袋の書店にやってきて50円玉
| ゆめとうつつ読書感想Blog | 2005/08/16 6:21 PM |
競作 五十円玉二十枚の謎
☆☆☆・・  現実に起こったリドル・ストーリーに、気鋭の推理作家が挑戦  さらに 一般から寄せられた解答中の優秀作を加えた  異色の競作アンソロジー           
| +++ こんな一冊 +++ | 2005/11/18 9:13 PM |
競作 五十円玉二十枚の謎 [若竹七海 他]
競作五十円玉二十枚の謎若竹 七海 依井 貴裕 有栖川 有栖 東京創元社 2000-11 池袋の書店を土曜日ごとに訪れて五十円玉二十枚を千円札に両替する中年男の真意は? 若竹七海提出のリドル・ストーリーにプロアマ十三人が果敢に挑んだ、世にも珍しい競作アンソロジー。
| + ChiekoaLibrary + | 2007/01/03 8:00 PM |
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