本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「半落ち」横山秀夫
半落ち
発売元: 講談社価格: ¥ 1,785発売日: 2002/09売上ランキング: 75,805
posted with Socialtunes at 2005/10/14


マイベス!では横山秀夫ベスト3が始まってしまったが、
私が読んだのはこれ1冊。ベスト3投票期限までに以下を読む予定。
「クライマーズ・ハイ」「ルパンの消息」(図書館で借りれるか微妙だが。人気みたい)
「陰の季節」「顔」(購入済。読まずに彼氏に貸したら面白かったと返ってきた)

そして「半落ち」、これはたぶん昨年、出雲大社に縁結び祈願にわざわざ行った(!)
時に、同行していた友達が貸してくれた。
友達(当時29歳、女)はこの本を職場の役員のおじいちゃんに渡されたそうだ。
「いつもお世話になってるので、あの、この本読みますか」
・・・・彼が何を思ったのか非常に気になる。

まあそれはともかく、旅行帰りの電車で軽い気持ちで読み始めたら
すっかり必死になってしまい、一気に読み終えた本。
ベストセラーで、映画化もされて、更に日本アカデミー賞作品賞まで取ったのも
有名な話。寺尾聡の名演が目に残る。

余談はこのへんで。感想。
ある日、現職警察官の梶が、「妻を殺しました」と自首してきた。
妻はアルツハイマーで、懇願されての嘱託殺人。自白内容は完全だったが、
妻を殺してから自首するまでの2日間の空白を尋ねると梶は黙り込んだ。
「半落ち」・・・。この2日間の謎が、取調刑事、検事、弁護士、記者、などを
語り手として語られていく。

構成が上手い。梶は常にこの小説では何も語らず黙しているのみ。
語るのは彼を取り調べる周りの人々。父の介護を妻に任せている人もいれば、
中途採用と差別され野心に燃えた人もいる。
梶の人生の暗部を探りながらも、各々の人生を振り返り、梶の美しい目と対峙して
苦い後悔やらを感じずにいられない人々。そういう人たちが梶を調べ、
「梶はなんのために生きているんだ?」「俺は何のために生きているんだ?」
と自問自答していく。
一つの、あまり長くもない小説で、何人もの人生がフラッシュバックし、
だから私は目が離せなかった。

「人間50年」の敦盛の歌がキーワードになる。
長くて短い50年の人生を振り返り、彼らは何を思うのか。
私はまだまだ、これを読む限り、全然生きてないなあ、なんて。

梶は妻を殺してしまって一人ぼっちのはずなんだけど、
それでも澄んだ美しい目。彼はその瞬間、誰のために生きているのか?
その謎が最後の最後でやっと解けたとき、私は思わず涙してしまった。
家族の情というのはこうも凄まじいものかな。

推理ものというよりは重厚な人生ドラマです。
これを読む50代のオヤジどもは何を思うのかな。
これ読んで改心しな、って思うオヤジどもが世間には多いけどねー
そんな彼らにもあったのだよ、50年分の人生が。重いね。

____

更に余談が続くが、そのあと「半落ち」が何故直木賞を逃したか、について
自分なりに調べて思うところがあった。
というかここを読んだだけだが。あ、未読の方、関連URLの閲覧にはくれぐれもご注意。
「小説「半落ち」が直木賞を落選した致命的な欠点って?(教えて!goo)」

まあしょーもないことで落選になっちゃったもんだなあ、と。
所詮虚構の小説なんだから、事実と異なるかどうかより、
作品がつまらんとか面白いとか、それだけの評価じゃあかんのか?とか思う。
子どもっぽい感想やけど。
作家が同業者をがしがし陥れるこの業界も、なんだかなあって感じ。
まあ、横山氏が面白いってことはその後も読者がついてきてることで証明できてるし、
それで十分だと私も思う。

でも直木賞裏話大好きだけど個人的に。浮世離れしてるし、面白すぎる。

| comments(3) | trackbacks(14) | 14:04 | category: 作家別・や行(横山秀夫) |
コメント
教えてgooの関連URLの記事へ飛んでいってみました。
これほど詳しく経緯を知らなかったので
興味深く読みました。
これを読む限り、やっぱり言いがかりっぽいですね。

横山秀夫さんもはずれのない作家さんなので
直木賞を受賞しようがしまいが
これからも読みつづけますけれど。
| ふらっと | 2005/07/05 5:28 PM |

ふらっとさん
直木賞、好きな作家が取れたら素直によかったなあと思うんですが、
でも、直木賞から決別宣言したらしい横山氏がそれからがんがん活躍してるってのも、
なかなか見てて小気味いいような気もします。
選考委員の実情が知れすぎてるからでしょうか(笑)
| ざれこ | 2005/07/06 12:35 AM |

こんばんは。やっと【半落ち】の映画DVDで観ました。今更のコメントですが・・・キャスティングが素晴し過ぎるほどでしたね。横山秀夫氏もチラっと出演してましたし、インタビューでもなかなか魅力のあるコメントしてましたよ。でも逆に柴田恭平はハマり過ぎて浮いてたなぁ〜なんて思ってしまったな。やっぱり映像独特な【間】と【表情が語ってる】については活字では表現出来ない所も魅力に1つと言えますね。
| kazu | 2006/10/25 1:02 AM |

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