本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「義経」司馬遼太郎
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えっと、先に2005年大河ドラマ「義経」について。
書き出したらきりがないので、箇条書きで。

・タッキーの上半身裸とアクロバットが何故こうも何度も観られるのか?
・タッキーが長い台詞を言うたびに「かまずに言えてよかったね。」と母のように見てしまう。
・那須与市は今井翼なのかよ。上の心配を彼にもしないといけないとは。
・うつぼちゃんはここ数回は出演せず、バレーボールをしていたようだ。架空の人物は便利でいいな。
・義経の郎党達はコントにしか見えない。ちゃんとした俳優のはずの松平健も所詮いまやマツケン。表情が三枚目で一番笑える・・・
・しかし「義経」の本当の主役は平幹二郎と夏木マリだと私は思う。うさんくさすぎ。いいぞーもっとやれー。
・そして平宗盛のバカ殿ぶりも最高。嫁役は是非杉田かおるにやってほしかった。
・小池栄子は目を剥きすぎだった。

と、鬱憤をはらさせてもらったところで、本の感想にいきます。
この本は数年前に読破していたんだが、大河ドラマをきっかけに再読。
あれ、こんなんだっけ?とちょっと違和感。

どうして大河ドラマはこれを原作で採用しないのか。
絶対面白い。タッキーの汚れ役が見られるというのに。
ってくらい、義経のイメージを一新させる代物だった。

平治の乱で平家に破れ殺された義朝。その遺児たち、嫡男の頼朝は伊豆へ、
愛人の常盤御前が産んだ牛若は京都へ。鞍馬寺に無理やり入れられ、
遮那王と呼ばれ何も知らずにすごす彼の元へ、四条の聖が現れ、
彼は自分が源氏の血筋だと知る・・・

まあそこまではいいんだけど、奥州に行って藤原氏の庇護を受けるあたり。
奥州は「都の血」を無条件で欲しがるため、奥州に逃げた義経には、
夜な夜な女どもがやってきて、義経の子を欲した。
そこで義経は女を知り、日本中が認める好色男になってしまうのだ。

まあそういうエピソードにはびっくりしてしまうけど、
当時の人々がいかに血を大切にし、血の運命から抗えなかったのか、
綿密に調べた上で小説として説得力を持たせた司馬流の描き方で、
こちらにも迫ってくる。その血の縛りはなんだか、哀しい。
義経は源氏の血からいつなんどきも逃げられなかったし、
むしろ喜んでそこに身を投じていく。

そして政治的能力が皆無で血の絆を信じ過ぎる、子供のように無垢な、
純粋な男が出来上がっていく。彼の不幸はその戦闘能力にあったろう。
政治的能力は「痴呆」かと思われるくらいないのに、いざ戦いとなると、
その時代の誰もが思いつかなかった斬新な戦法をやってのける、天才であった。
そのことが彼を異常な人気者にし、また純粋な彼を調子に乗せる。
そして、そのことが兄頼朝の脅威となる。
さらに、義経の家来も誰もそんな義経に注進できるものはいなかった・・

そこに絡んでくるのが後白河法皇。司馬遼太郎はこの「稀代の大天狗」を描くのが
とても楽しかったらしく、彼は主役級の扱い。
この法皇が曲者。自分を守ってくれる武士なら誰でもいい、どんどん鞍替えし、
その勢力が邪魔になったら敵対勢力におべんちゃらを使い破滅させる。
それを繰り返して生き延びた、ある意味臆病でずるがしこい男。

義経は明らかに法皇と、そして兄頼朝の人形として動いただけだった。
彼の悲劇性はそこにあったのかもしれないなあ。
当時としては驚くほど純粋な義経、好色も戦闘の才も、
ただ本能のままに子供のように動いたにすぎない、そんな義経を、
狸どもが交互に操っていく。そしていらなくなったら捨てる。

そんな無常を徹底的に描いて、最後に司馬氏は私達に言う。
「悪とは、いったいなんだろう」

重いですね。
でも義経より、後白河法皇の所業を面白く読んでしまった私、
もう純粋じゃないのかなあ。それとも、こんな小ずるい世渡りはできないから、
ちょっとあこがれてしまったのかしら。
でもこんなずるい生き方、やりたいとも思わないなあ。最終的には得をするだろうけど、
私には失うものも多い。
かといって、義経みたいに何も気づかずに生きるってのも、哀しいです。

一の谷から壇ノ浦に続く合戦の様子は、さすが天才義経、
すごい戦闘をしていて、それがいきいきと活写され、結果がわかっていても
夢中になりました。
ライバルとなる平知盛との心理戦も手に汗握ったなあ。

・・・・読み終わって改めて大河ドラマキャスティングを見ると、
案外これが正解ですね、どの人も。義経の郎党もコントくらいでちょうどいいのかも・・・
特に平幹二郎の後白河法皇は最高。そして夏木マリも最高。
| comments(1) | trackbacks(6) | 01:50 | category: 作家別・さ行(司馬遼太郎) |
コメント
平幹二郎の後白河法皇はまりすぎですね。
もう、あそこまでくるとギャグの世界です。

前回の『新選組!』の近藤勇もそうでしたけど、
今回の義経も主役ということで
いい人に描かれていますね。

ま、司馬さんのもあくまで小説なので
何がホントなのかはわからないのですけど…
| うさぎ | 2005/06/30 4:18 PM |

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