本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「覆面作家は二人いる」「覆面作家の愛の歌」「覆面作家の夢の家」北村薫
オンライン書店ビーケーワン:覆面作家は二人いる オンライン書店ビーケーワン:覆面作家の愛の歌 オンライン書店ビーケーワン:覆面作家の夢の家

以前サイトで感想を書いたときにずぼらにも3冊分まとめて書いてしまった。
全部面白かったのに感想は手抜きだなあ。なんだかなあ。ごめんなさい。

当時のメモにはこうある。
--「東電OL殺人事件」を読んで、「ああ重い」と思った私は
「そうだ、ライトミステリを読もう」と思い、この本に手をかけた。
再読だったが(すっかり忘れていたせいもあってか)
ミステリ的展開に充分楽しませていただいた。 --

なるほど確かに重いなそれは。と自分に突っ込んでから、さて感想。

典型的「ホームズ、ワトソン」系探偵モノである。
ホームズ役はここでは「作家になってしまったお嬢様、ペンネームは覆面作家」
なのであるが、だだっ広い豪邸に住み、家に執事までいる正真正銘のお嬢様、の
千秋さんはものすごい「外弁慶」で、家の外に出ると男のような性格に変貌してしまう。
その彼女に振り回される「ワトソン」は彼女の担当編集者岡部良介、
彼には優介という双子の兄がいて(片方は優で片方は良。ひどい名前をつけるよね)
兄は刑事である。彼らは恐ろしくそっくりなので、勘違いが事件を生んだりもする。

そういう環境で、良介が小説の話をしに豪邸に伺い、優介にきいた話を
千秋さんに話してみると千秋さんは男前になって外に飛び出し、見事に解決してみせる。
そういう感じのシリーズ。

なんといっても探偵役の二人の人物像が面白くて、それだけで目が離せない。
そしてものすごく不器用極まりない二人の淡い淡い恋が
シリーズが進む度に少しづつ進んでいくのもまた醍醐味である。

事件は刑事の兄が絡んでくるので殺人事件もあるし、
「ドールハウスの殺人現場」の謎を解き明かす、なんて粋なものもあり、
後味悪いものもあるけど、だいたいは読後に謎が解けてすっきり、
そして心が温まるテイストのものが多い。
探偵役だけじゃなくて、彼らを取り巻く人々が魅力的で、
そして彼らの過ごした人生がちらっとほろ苦くも美しくも見え隠れし、深い。

しかしミステリとしては非常に「本格」なのである。
些細な台詞があとですごい手がかりとなったりして、目が離せない。
軽い文体で書かれてあるけど全く油断ならない本なのである。

どの本も面白いが、最後の「覆面作家の夢の家」は特にとてもよかった。
これがドールハウスの謎、を解き明かす短編なのだが、
実は大人の男女の恋愛の謎を解き明かすことになる。
謎が本当に見事で、そしてシリーズ最終作になるもんだから、
二人の恋の行方も爽やかに解いてみせる。

すさんだ心に読んで正解。謎探求への好奇心も満たし、
しかしミステリ特有な暗い感じはなくて、美しい人物、美しい文体、
本来「凄いミステリ」と「美しい小説」とは相反するものじゃないか?と
私は思うのだけども、北村薫はそれをあっさりと融合させてしまうのです。
うーん、さすが。

私は北村薫の本を読んで女としていつも思うのだけども、
北村氏は女性のことをとても「清らかで美しく」書いてくれて、
そういう風に女性を見てくれる男性がいるってことは、
なんだかすごく嬉しいことのようにも思えるし、
すごく不思議なことのようにも思える。
だって私たち女は本当は「美しく」ないじゃない?
ありえないから私は北村氏の小説で心癒されるんだけど、
それって私がものすごくひねくれてる証拠?

| comments(0) | trackbacks(0) | 22:11 | category: 作家別・か行(北村薫) |
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