本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「あやし」宮部みゆき
あやし
あやし
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 580
  • 発売日: 2003/04
  • 売上ランキング: 12,335
  • おすすめ度 4.47


宮部みゆきを語るもうひとつのサイド、時代小説の短編集。
得意の江戸を舞台に、だいたいは奉公人が奉公先で出くわす怪現象、を描いている。

怪現象と言ってもお化けが出てきてどうこうといった、単純なものではない。
確かに、「あやしの者」どもは跳躍するのだが、
それ以前に、それをみてしまう、またはみせてしまう、人間達の怪。
鬼が登場したり生首が登場したりするんだけど、結局一番怖いのは
人間の怨念です。それが固まって形を変えて鬼になり、首になり。
そういう意味で、単なる怪談を超えた怖さを堪能できた。

しかしさすがは宮部みゆきです。全編人情味もにじみ出ていて、
鬼の人間が垣間見せるわずかな情、そういうのを感じる時にまた私は怖くなった。
鬼になりきれる人間なんか、いない。それがまた哀しく怖かったりしてね。
深みのある短編集だった。「安達家の鬼」が特に好きだな。私は。
しみじみと哀しくなってでも温かくなる、いい話だった。

宮部作品の時代物ではよくみられることだけど、主役は武士じゃなくて町人達、
そして奉公に出ないと暮らせないような貧しい長屋の息子とか娘とか、
そういう庶民、が実に生き生きと、幕府の歴史やらそんなところに全く関係ないところで
暮らしている。江戸という時代を想像するに格好のテキストだなあ、なんて思うのだ。
教科書よりずっと、こういうのを読んだ方が歴史って面白くなると思うんだよなあ。
もちろん全部史実じゃないわけだけどさ、こういうのを読むと、奉公人ってどんなだろ、
口入屋ってどんなだろ、って調べたくなる。

私は実際調べてみたしね。(単純)

ざっと調べたところ、口入屋は今の派遣会社、奉公人は今の派遣社員、ってところか。
商人の家の下働きで小さいころから入り、育て上げられてお店で出世する人もいるし
あちこち転々とする人もいるし、まあいろいろだったみたいだけど、
当時は子供がいっぱいいて、でも食えないからどんどん奉公に出したり、生活かかってたから
なかなか切なかったりする。で、子供は本当の家族と、奉公先の旦那様と、二重の家族を持って、
それぞれに情も恩もあり、という生き方をしていた、ようだ。
宮部作品からとちょっと調べた受け売り知識で書いてみた。
| comments(1) | trackbacks(3) | 02:31 | category: 作家別・ま行(宮部みゆき) |
コメント
私も安達家の鬼が大好きです。宮部さんの現代小説は手にとったことないのですが、安達家の鬼を何度も読み返します。こちらのブログの書評を読んでから、「火車」を読んでみたいなと思うようになりました。自分は梨木香歩さんや三浦しをんさん、柴田よしきさん、湯本香樹実さんが好きです。大学の卒業研究に島本理生さんを選んで検索した折に、こちらのブログを知りました。意見が合いそうなので、これから参考にさせて頂きたいと思います。
| はなこ | 2011/04/21 12:36 AM |

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宮部みゆき「あやし」
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あやし―怪  宮部みゆき
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| 逆さメガネで覗く世界 -don't think, feel- | 2007/07/23 9:43 AM |
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