本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
<< February 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 >>
<< 「空飛ぶ馬」北村薫 | main | 「カカシの夏休み」重松清 >>
# 「触身仏」北森鴻
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 500
  • 発売日: 2005/07
  • おすすめ度 3


蓮丈那智フィールドファイル2作目。1作目「凶笑面」が非常に面白く
はまってしまった私は、2作目を図書館で借りることにした。
ということでハードカバー。まだ文庫化してませんが、
7月末に文庫が出るらしいです(bk1に載ってました)

今回も美貌の民俗学者蓮丈那智が事件に巻き込まれ、
助手の内藤三國とともに解いていくミステリ。
今回も民俗学的な知識をこれでもか、ともらえて、
私の微弱な知識欲は非常に喜びましたよ。

そして実際に彼ら周辺で起こってしまう事件と、彼らの追いかけている謎が
リンクして話を更に面白くしてるんだけども、
民俗学での謎があまりにも面白いので、実際に起こってる殺人事件とか
失踪事件とか、別になくてもいいんとちゃうんかなあ、くらい
私は思ってしまったんだけども。
それじゃミステリにはなりえないのかな。でもどうしてもさあ、
「とってつけた」感がぬぐえないんだけども・・・

この本では民俗学的な謎もフィクションで、例えば「どこぞの山奥に羅漢が彫ってある
岩があり、五百羅漢と呼ばれている」なんていう手紙をもらって、
フィールドワークに行った二人が事件に巻き込まれ、謎を解きつつ、
「五百羅漢」の謎についても彼らなりの見事な仮説にたどり着くのである。
それを読むだけでもぞくぞくしたし、多分民俗学についてとてつもない知識をもっている筆者が、
「自分の作った謎」を「民俗学的」に解決してしまう手腕には舌を巻いた。

そういう民俗学的興味で読んでいくと、この本って学説的に無視していい本なのか?と
思ってしまう。作者が作った謎に答えていくだけなら、もちろん実際の学術界では
用を成さないが、短編「死満瓊」では、日本書紀に出てくる海幸彦山幸彦の逸話をもとに、
三種の神器の謎に言及してるんだけど、これは別に作者が作った謎ではないし、
学術的になんか通用しそうな気がする。となると結論はけっこうとんでもないこと
言ってて(日本人の祖先について我々の常識がひっくり返りそうな)
だからけっこうびっくりしちゃったんだけど、どうなんだろう。まあ、私の勉強不足に違いないな。

そして思ったのは、今伝わる昔話とか歴史の書物とかって、
所詮は昔の人々が自らの歴史を都合よく「書いた」だけのもので、
決して真実ではないし、その裏の意味を読み解くのが本当の研究で、
それが歴史を知る、我々日本人の民俗性を知るってことなんだなあ、ってこと。
これを読むと昔の逸話や何気なく祀ってある石、なんかに
とんでもない裏の意味があることに気づかされ、人間の愚かさと哀しさに
ため息をつきたくなります。私は何度も薄ら寒くなりましたわ。

なんだか妙な感想でごめんなさい。ミステリの感想とは到底思えないなあ。
ああそうそう、何気に三國は那智に惚れてるんですけど、どうにもならんのですよ。
そこらへんを読むのも普通に面白いし、教務の「狐目の男」が
那智の過去を知ってるらしいのに未だに名前が知れないのも気になるところです。
と、ちっとも難しい本じゃないので誤解のないよう。
私の感想だと論文の感想読んでるみたいだもんね。
| comments(2) | trackbacks(6) | 16:53 | category: 作家別・か行(北森鴻) |
コメント
こんにちは。TBさせて頂きました。
「Node」のmiwaです。

文庫化されたので、やっと第2弾を読むことができました。
8月末には第3弾「写楽・考」が発売に。
さらに、今秋ごろ木村多江さん主演で「凶笑面」がTV化。
金曜エンタテイメント(フジTV)にて放送予定だそうですね。
このシリーズの今後がたのしみです。
それでは。
| miwa | 2005/08/06 6:08 PM |

読まれましたか。TBありがとうございました。
第3弾がもうすぐ出るのですね。楽しみやなあ。
で、ドラマ。そちらにも書きましたが木村多江さんは違う気が・・
もっとクールな人がいいのです。ちょっと残念なのです。
でもドラマは見るのです。連ドラにしたら面白いですのにね。
テレビもシリーズ化目指してるのかなあ。
| ざれこ | 2005/08/08 2:04 AM |

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://blog.zare.boo.jp/trackback/221887
トラックバック
触身仏-蓮丈那智フィールドファイル〓
北森 鴻著■あらすじ<わが村には特殊な道祖神が祀られている。>美貌の民俗学者・蓮丈那智のもとに届いた手紙。神すなわち即身仏なのだという。彼女は、さっそく助手の内藤三國と調査に赴く。だが調査を終えた後、手...
| Node | 2005/08/06 6:05 PM |
触身仏 北森 鴻
触身仏 蓮丈那智フィールドファイル? 北森 鴻 新潮エンターテイメン
| 華麗なるダメ人間の生活 | 2005/10/04 5:48 PM |
北森鴻『触身仏』
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉北森 鴻 新潮社 2002-08売り上げランキング : 144,476おすすめ平均 前作より、こなれた印象 「民俗学」や「文化人類学」を志す人が増える? 民俗学と推理小説 Amazonで詳しく見る by G-Tools 異端の民俗学者・蓮丈那智
| どこまで行ったらお茶の時間 | 2005/10/08 9:54 AM |
『蝕身仏』
触身仏 北森鴻著 蓮丈那智フィールドファイル供 ”秘供養”、”大黒闇”、”死満瓊”、”蝕身仏”、”御蔭講”の5編。 本格民俗学ミステリー。 異端の民俗学者、サイボーグとも思われる蓮丈那智。 三國、狐目、新助手・佐江由美子、その魅力に引きつけられる面々
| 読書の時間 | 2005/11/27 2:42 AM |
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2)
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉 発売元: 新潮社 以前紹介した狂笑面の続編、前回はただの一脇役でしかなかった狐目の男や新レギュラーとなる由美子など大学での描写も増え、助手の内藤三國の講師昇格の話など前作のようにフィールドワークに出かけてその先で
| ミステリ、漫画なんかの感想 | 2005/12/03 11:25 PM |
「暁の密使」北森鴻  / 下手な手出しが歴史のロマンを殺す
北森 鴻 暁の密使 河口慧海 と同時期にチベットを目指した仏僧に、能海寛や寺本婉雅がいる。 本書は、そのうちのひとりに特にスポットライトを浴びせてものされた歴史ミステリだ。 能海寛。ラサ入都を果たせず、無念、西域の露と消えた東本願寺派の僧の名
| 辻斬り書評  | 2006/01/07 3:43 PM |
NOW READING
ざれこの今読んでる本
Selected Entry
Categories
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
Profile
Search this site
Sponsored Links