本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「誰か」宮部みゆき
誰か
誰か
posted with 簡単リンクくん at 2005. 6.23
宮部 みゆき / 宮部 みゆき著実業之日本社 (2003.11)通常2〜3日以内に発送します。


大手企業今多コンチェルンの会長の娘婿、
元編集の杉村のもとに、ある依頼が舞い込んだ。
会長の運転手梶田が自転車に撥ねられ死亡、
遺された二人の娘が、父の人生を本にしたいというのだ。
ただ、梶田には隠したい過去があったのでは、と 長女は怖がっているのだが・・・
梶田の過去とは?今回の事故は過去に関係あるのか?
前評判を知らず、ミステリだと思って読んでいたので、
けっこう長いし、間延びした感じがずっとしていた。
日常のディテイルを書きすぎ?杉村の経歴とか
別に事件に関係ないしさあ。とか思いながらも、
もちろん読ませる文章なので、苦もなく読んでいたのだが、

最後まで読んで、間延びと思われた日常こそが必要だったのだな。と思った。

杉村の日常、会長の娘婿と言われちょっと孤独で、
会社でも閑職と言われる社内編集部にいて、
彼には彼なりの苦労もあるし脱力もしているけど、
それでも奥さんを大事にして飄々と生きている、そんな彼の生き方が
随所に現れてこなければ、最後のシーン、彼とある人とが
決定的にずれるシーンが生きなかった。

そういう感じで、この梶田という人に関わったたくさんの人たちが、
たくさんの人生を生きている。そしてこれからも生きていく。
ってことが、細部が描かれることでひしひしと身に迫る。そういう小説だった。
人が一人生きていくのにはいろんな人たちと関わり、
その人たちの人生を少し通り抜けていかないといけない。そんなことを思った。

それでもそれは自分だけの人生。
どんな人でも自分なりの苦労は重ねててても、
自分のことは他人にはなかなかわかってもらえないんだな。なんてことを思った。
苦労は他人には見えない。それを最後にずしんと実感させられた。

そして、宮部氏のお話にはこれでもかというくらい善人が多く出てきて、
物足りないときもあるけど、その善意が他人の人生に関与したときに、
善意とならないこともあるんだ、と気づかされる。

なんだか一抹の寂しさを感じた本だった。

結局は一人。
それでも、自分の周りの大切な誰かとともに、
自分は生きずにはいられないのだな、なんてことも思った。

宮部作品は読後感のよさがいいんだけど、 この作品ではそれがなかったな。
でも、ワンランク上の感覚を味わえた気がします。

あ、いつもの宮部さんのミステリと思って読むとあまりよくありません。
ネタは小さいしわりとすぐ割れるし、大どんでん返しもないので。
人間ドラマと思って読むといいと思います。
それか、北村薫系の「日常ミステリ」か。
| comments(2) | trackbacks(15) | 17:01 | category: 作家別・ま行(宮部みゆき) |
コメント
宮部さんって読ませる文章の人なんですね。
登場人物ひとりひとりがもの凄くて丁寧に書かれていることに関心しました。
| なな | 2005/09/08 8:07 PM |

拝読しました。推理小説としては物足りないがメロドラマとしてはまあまあ。松竹とか大映映画の後味
| 福田浩司賞味大臣 | 2008/05/17 10:30 PM |

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