本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「へルタースケルター」岡崎京子
ヘルタースケルター
岡崎 京子 / 岡崎 京子著
祥伝社 (2003.4)
通常2〜3日以内に発送します。


表紙もおしゃれだし絵もおしゃれ。
岡崎京子の漫画はどれもそうだが、なのに怖い。とても怖い。
この作品は特にそうだった。

スーパーモデルでいまやドラマや映画にもひっぱりだこのりりこ、が主人公。
抜群のボディと美しい顔を持ち、自然体で売っている彼女は、
実は全身整形でできあがったモンスターだった。

いまや全てを手に入れたかのような彼女は、それでもものすごく孤独。
そして、哀しいほど客観的に自分の限界を知っていて、
御曹司をたぶらかして結婚して引退をもくろむが、
御曹司は金持ちの娘と婚約してしまう。
自らの引き際を誤った彼女は、ひたすら自らの美に執着し、
ライバルを蹴落とそうとする・・・

そこに、違法な美容整形をしている病院の摘発に動く検事が絡む。
彼はテレビ画面を見ただけでりりこの本性を見抜く。
彼の視線があることで、読者はりりこの内面と客観的りりことを交互に眺め、
そして作品に深みが出ているような気がする。

全身整形のりりこを愚かと笑うのは簡単だ。
でも、整形してまで美しくなり、トップになろうとする
彼女の執念には美しさすら感じ、
私は彼女を嫌うことが出来ない。
何かをひたすらに突き詰める人間は、醜くてそして美しい。
りりこを醜いながらも魅力的な女として描くことで、
誰でもりりこになりうる、という怖さが私たちを襲うことになる。

彼女は壊れていく。それはそれは、見事に壊れていく。
その有様は潔くすら感じた。
ラストは見事。謎は残しつつも何故か後味がいい。

それにしても、美というものは一瞬で消えてしまうのだ。
でもそれに向かわずにはいられない女の業は
とても哀しくもあり、けなげでもある。

そして名声もすぐに消え失せる。
あきれるほどに飽きっぽい私たち世間の愚かさ、
そして時間がたつということへの恐怖。そんなことも思った。

私ももうちょっときれいになろう。
それには、血のにじむような努力が必要なのだが。
そう、女はいつも努力しているのだ。
努力をやめると女じゃなくなるのだ。厳しいのだよ。

漫画なので、壊れていく様子がビジュアルでみれて余計怖かった。
血まみれのりりこや虎に食われたりりこ、りりこの内面にはそんな映像が
うごめいている。その痛々しさ。

それに、どうして彼女の泣き顔はあんなにぐちゃぐちゃなんだろう。
精一杯生きてる顔だ。

交通事故に遭われた岡崎京子氏の早い回復と、
次回作品を心からお待ちしています。
もっともっと読みたい。
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岡崎京子『ヘルタースケルター』
「骨と目ん玉と爪と髪と耳とアソコ以外は全部整形」という人工の美で、人気モデルに昇りつめた主人公、りりこ。 りりこは整形手術の後遺症で、体も心もボロボロになってゆく。 ─表面は美しいが中身は虫に食い荒らされている果物・・・─のように。 ひたすら堕ちて堕
| あざやかな瞬間 | 2005/06/23 2:09 AM |
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