本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」江國香織
泳ぐのに、安全でも適切でもありません
泳ぐのに、安全でも適切でもありません
  • 発売元: 集英社
  • 価格: ¥ 480
  • 発売日: 2005/02
  • おすすめ度 4


先日、図書館でふらっと借りて読んだのだが、今は文庫が出ている。

読みながら、彼女の作品にぴったりな形容を思い付く。「痛ましいなあ」
その「痛ましさ」が読むたびにだんだん強くなっていく気がするのは、
多分私が歳をとったからだろうと思う。いろんな意味で。
この短編たちは、ある女性の日常を淡々と、ほんまにさりげなく綴っているんだけれど、
その日常の中に当たり前のように、「今自分の一部のように大事な人」、とか
「かつて自分の一部のように大事で、今はいない人」、とかの気配が濃厚に漂っていて、
あまりにも日常であるだけに、それは重い。
そして、今幸せな人の話を読んでいてさえ、
その想いがいつか小さくなったり消えていったりするんだろうことがひしひしと伝わってくるし、
(それは、相手がいなくなるからとは限らない。それがまた辛いのだが)
その想いが去ってしまった人の話だと、その後の長い長い生活、
多分一生分の「想い」を使い果たしたであろう彼女達の生活がまた私をうちのめすのだった。

特にきつかったのは「犬小屋」という短編。
強い想いが刃となってしまう痛ましさを、ほんの数十ページの短編で思い知らされて、参った。

それでもこの小説集に惹かれてしまうのは、その、どうしようもない強い想い、に
どうしようもなくなったことがある人たちが、痛ましくて美しいからなんだと思う。
それは一瞬なんだけども、彼女達はものすごく美しかったのだ。
そしてそれはいつまでも続かない。そのはかなさが美しい。

私は今では「シングル自虐」ネタで通しているけれど、
これでもどーしようもないくらい好きな人がいたりもしたし、
その時期ってのは、あとで客観的に思い出せるようになると、
ものすごい痛々しいし、あさましいし、恥ずかしい。
そういう、消え入りたくなる哀しい記憶が増えれば増えるほど、
またどーしようもなくなるのが怖くて、感情をセーブしてやり過ごして、
そうして歳をとってきた。

でも、それも寂しいかな、って。
まだそれで一生引きずって過ごせるほど強い想いは抱いてない、しね。

恥ずかしい思い出だけど、穴に入りたいくらいだけど、
でもそのときの私って悪くない。なんて思うし、この作品を読んで更に思えた。
よかった。

真面目に感想書いたなあ。江國作品は私をとても感情的にしてしまい、
ある意味、ダメージを与えるのである。客観的に感想なんて書けやしない。
それでも読み続けてしまうのは何故なんだろうなあ。
| comments(2) | trackbacks(5) | 12:35 | category: 作家別・あ行(江國香織) |
コメント
ほんとうに「痛ましい」って言葉がぴったりだと思います。切ないのとも哀しいのともまた違う感じ…。

江國さんの本を読むと、生きていくのが楽になるというよりは、はぁ〜という感じになります。書かないでほしいことを書かれちゃったような。言われたくなかったことを言われちゃったような。そして自分のこの先にこういう出来事が待っているような…。リアルって、そういうことですかね…。
| chiekoa | 2005/06/16 12:51 PM |

そうですねえ。特に女が読むとそう思うような気がしますねえ。自分の未来みたいかも?でも江國さんの主人公の女性は過去に凄く人を好きになったりしていて、私にはそれすらないような気がします。あーあ、ですな。
| ざれこ | 2005/06/17 12:50 AM |

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