本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ビタミンF」重松清
ビタミンF
ビタミンF
  • 発売元: 新潮社
  • レーベル: 新潮社
  • 価格: ¥ 540
  • 発売日: 2003/06
  • 売上ランキング: 2060
  • おすすめ度 4.0


重松清節、炸裂。な短編集でした。ある意味集大成。

重松清の扱うテーマは大きく「家族」ですが、
細かく分類すると「少年少女の問題」と「中年オヤジ」の問題、とに
わかれるんじゃないかと思う。
少年少女、のいじめを扱った「ナイフ」、
それから中年どころか定年後のオヤジたちを描いた「定年ゴジラ」、
などの名作もあるんだが、今回の作品集はそのどちらのテーマでも秀作が揃っている。
いやあ、お買い得だ。

「セッちゃん」という短編がある。
娘が、転校生のせっちゃんがいじめられている話ばかりする。
そして起こる出来事、娘と親との関係は明らかにおかしいし、
「親なんだから何でも話せよ」と昔の青春ドラマみたいには全然ならないんだけど、
それでもその家族は微妙な距離感でバランスをとろうともがく。
娘のけなげさには胸をつかれたし、それを見守る親のありがたさ。

「かさぶたまぶた」って短編もよかった。
完璧主義者のお父さん、同じく完璧主義に育ってしまった娘の
他愛無い挫折に自分まで何かがぽきっと折れてしまう。
そのぴーんと張り詰めた30数年の人生が折れる様は、とても重い。

「ハズレクジ」もよかった。
たかだか一枚の宝くじをここまで重たくするのは重松清くらいだろう。

なんていうか、清清しい文体なのに、世の中奇麗事ばかりじゃないってことを
しっかり伝える小説たち。そして、どうあがいてもどうしようもないこと、
例えば年齢とか、突然やってくるいじめとか、そういう諦めるしかないようなことを
しっかり目の前にみせつつ、それを現実とわかって諦めて背負いつつ、
なおそれでもなんとかやっていこうとする人たちが描かれていて、
彼の小説はとても辛く、そして温かい。

奇麗事なんかいらないんだよね。どうせ、私たちはどうにもならないのだ。
それでもあがくしかないんだからさ。あーあ。
| comments(8) | trackbacks(11) | 09:56 | category: 作家別・さ行(重松清) |
コメント
そうなんですよねぇ。
重松さんの文章って読みやすくって、でも書かれてることはものすごくリアル。
「ナイフ」でのイジメは徹底的だったし、「ビタミンF」の家族像もどこにでもありそうで切ない感じがしますよね。
いつもいろいろ考えさせられちゃうんで、重松本は月一冊にしています・・・。
| あおちゃん | 2005/06/13 11:23 AM |

はじめまして。
私も、あおちゃんさんと同じく、月に1冊重松作品を読むようにしています。(といいつつ、今月はさぼってしまいそうですが・・)
私は、重松さんと年代が同じなので、どの作品も痛いほどまっすぐ心に突き刺さってきますが、不思議と読後感が良いですね。
またお邪魔させてください。
| EKKO | 2005/06/14 12:04 AM |

重松さんの作品は癒される気がしてつい疲れたときに読んでしまうんですが、
「しまったリアルすぎる」と余計へこんだりして失敗します(笑)でも最後にはちゃんと上を向いて終わってくれるので、ある意味処方箋かもー。と思います。
今家に数冊積みまくってるので、そうだなあ私も月1冊を目標にしてみようかなあ。

| ざれこ | 2005/06/14 12:10 AM |

読んだのは少し前だけど、とりあえず忘れないうちにコメント書きましたのでTBしました。
やっぱ、オッサンにはけっこうジワッとくるものがあります。
| ヤシマ | 2005/07/31 2:12 AM |

はじめまして 古木33と申します
「ビタミンF」いいですね
重松作品を続けて3作読んでみましたが
どれも巧くて素晴らしい作品で良かったです
| 古木33 | 2005/10/27 11:51 PM |

古木33さん
はじめまして。続けて3冊読みましたか。私も続けて2作品読んで、いまくたくたです(笑)なんかつらいんですよねー。でも読後感は何故かいいからいいんですけど。
またお越しくださいね。
| ざれこ | 2005/10/30 12:33 AM |

心のビタミン、私には沢山必要みたいです。
「かさぶたまぶた」良かったな。
連続して色々すみません(笑)
まとめてやるなって、突っ込んでください(-"-;A
| このみ。 | 2006/07/25 2:16 AM |

このみ。さん
だいぶ前に読んだ本なのでうろ覚えですが、辛いけど全部最後にはほっとするような、いい短編集でしたね。
で、まとめてやるなー。って別に突っ込みませんよ(笑)いつでもスパムみたいにお越しください。
| ざれこ | 2006/07/28 1:45 AM |

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