本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「定年ゴジラ」重松清
定年ゴジラ
定年ゴジラ
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 730
  • 発売日: 2001/02
  • 売上ランキング: 9,308
  • おすすめ度 4.86


重松清作品は、少年を扱ったものを2作読んだが、今回は定年後のサラリーマンの話。
定年を迎えてもいない、女である私がいいと思うのか?この本を。と思いつつ読んだが、
それでもほろり。作家本人だって定年になってないはずなのに、どうしてここまで
情感あふれてリアルな話が書けるのか。さらに20代の読者まで共感させてしまう。
ほんまにすごい力量を感じた作品だった。

くぬぎ台、という、通勤圏に出来たニュータウンに住む、定年になったばかりの山崎さん。
散歩しかすることがない。毎日退屈で、仕方がない。
そして散歩途中に、同じ定年仲間、そして先輩方に出会い、淡々と交流を深めていく。
そんなお話が、山崎さんの家族のことも絡めて、連作短編形式で描かれていく。

くぬぎ台というニュータウンは、丁目ごとに分譲時期が違うので、
入っている家族の層が違う。一丁目では定年後10年も経とうかというお父さん、
で、5丁目にはまだ現役のお父さん、たちが家族と住んでいる。
悪意ある雑誌の取材がやってきて、その案内役をやらされた山崎さんが、
その街を巡り、くぬぎ台の紹介をしながら、自らの人生をしみじみ振り返る
「くぬぎ台ツアー」という短編では、彼の人生が、そしてそこに住むニッポンのお父さん達の
ささやかだけど大切な人生がフラッシュバックして、泣かずにはいられなかった。
ニッポンのお父さん、ほんまに、家族を守って、がむしゃらに生きてきたんだな。

家族というものをしんみりと考えさせられるお話だった。
山崎さんの娘が不倫をしていた。で、むこうの家族の話になる。
「おまえはもう、家族連れを正視できなくなる。
向こうの家族がつかむはずだった「家庭」というものを、
正視できなくなる」そう思い、娘に心でそう伝えつつも、
山崎さんとその奥さんは、娘の決定を優しく受け止めていく。
そして出来上がる、新しい家族。

不倫不倫と軽く言うけど、この作品を読むとその罪悪がじわじわとしみます。
別に私はやってる友達を止める気もなかったけど、これを読んでると
「ああ止めとけばよかった」と思いました。ここまでの覚悟がいるとは、思わなかった。
家族を作るというのがどれだけ難しいか、
そしてそれを壊すということ、壊れるということ、がどれだけ辛いことか。
そして結局は壊した本人に、全てが返ってくるのだ、ということ。
なんて当たり前のことに、この本を読んで気づきました。

軽妙でユーモアあふれるけど、重い、重い本です。しっかり受け止めたい。
| comments(2) | trackbacks(8) | 13:47 | category: 作家別・さ行(重松清) |
コメント
 ここにも登場してすいません。僕最近重松さんの本を3冊ほど読んで、それが「ナイフ」「きよしこ」「定年ゴジラ」でした。

 全部よかったからいずれブログで感想書きますが、もしざれこさんが「きよしこ」読んでなかったらお勧めします。30男が電車の中で泣きました。気づいたら周りには誰もいなくなってました。仕事中でした。
| じゅん | 2005/11/04 10:54 PM |

こんばんは。「きよしこ」まだ読んでないんです、買ってるのに。次重松さんを読むときはこれにします。やっぱり泣けるんですね。ラストは風呂で読むことにします。
| ざれこ | 2005/11/05 12:45 AM |

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