本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「ぼくのミステリな日常」若竹七海
ぼくのミステリな日常
ぼくのミステリな日常
  • 発売元: 東京創元社
  • 価格: ¥ 693
  • 発売日: 1996/12
  • 売上ランキング: 38,089
  • おすすめ度 5



自分のサイトで何人かの人に若竹七海を、特にこの作品を薦められて
読んでみようと何気に購入したのですが、いやあ、・・・教えてくれてありがとう。
面白かった〜。短編小説集だというのに、ラストは本を閉じられなくて、
駅についたのにベンチに座ってむさぼり読みました。(で、待ち合わせに遅刻した)
建設コンサルタントOL若竹七海は、社内報の編集を任されることになる。
そこで「小説を載せろ」と無理難題を言われ、大学の先輩に泣きついたら
彼に匿名作家を紹介される。正体は探らぬことを条件に、短編の掲載が始まる・・

社内報の表紙がいちいち載っていてなんだか笑わせるのだけど、
(社内報では「小高女史」と「近松氏」が論争しているらしい。毎月返信送りあって)
そういう小技が本全体にちりばめられている。
月ごとに季節にちなんで社内報に掲載されるその短編がまた、どれもこれも面白い。
「ぼく」(正体不明の匿名作家なわけだが)は病気をわずらって
少しぶらぶらしていて、一人遊びが大変上手で、5人兄弟の4番目で、
飄々としつつ観察眼は確かで、毎回日常のささやかな事件、たまにはでかい事件、に
見事な推理を聞かせてくれる。

もうほんまになぞなぞみたいなささいな推理もあるんだけど、これがまたいちいち
「うーん」とうなるものばかり。ひねり鮮やかで、害がなくて、小粋でステキ。
短編全部読んでオチがわかってから「え?」と思って1から読み返したのが2つもあったし、
私などいちいち騙されてはにやにやしっぱなしだった。
それにホラー要素の強い話、幽霊話?など様々なトッピングで、
まるで「夏見が食べている果物やケーキがたくさん載っているカキ氷」みたい。
贅沢な短編集だ。

でも短編集と侮っていると、最後の最後、若竹七海がやっと匿名作家に
会いに行くくだりで、大どんでん返しを食らうことになる。
短編だと思っても、「ぼく」の話であり、「ぼく」が短編集全体に仕掛けた謎が、
まだ残っているのである。
なんて贅沢な味わいだろう。こうも何重に楽しませてくれるとは。

この、二重三重に塗りこまれた計算尽くの構成も魅力だけれど、
それだけではなく、些細なところで会話の妙が楽しめる。
ぽんぽんと会話が弾み、また「ぼく」周辺の人物が魅力的な人々ばかりで、
彼らが生き生きと泣いたり笑ったりする、つかのまの人間ドラマが
垣間見れて、それもなかなか。
ただのトリックだらけの推理小説ではないのだった。

・・・なんだこりゃ。絶賛じゃないの私。
いやあ、この作家さんにはしばらくはまりそうですわ。

挿絵がまたステキです。朝倉めぐみさんという方が描かれているようです。
朝倉めぐみさんのサイト 朝倉めぐみのSELFISH STUDIO

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| comments(3) | trackbacks(7) | 01:05 | category: 作家別・ら、わ行(若竹七海) |
コメント
読みました!これがデビュー作ってすごいですね!!毎回「表紙」の小ネタにも楽しませてもらいました♪「編集後記(とおわびと訂正)」が好きです(笑)。
| chiekoa | 2005/06/03 6:38 PM |

TBさせていただきました。

私も好きです、朝倉めぐみさんのイラスト。
ミステリの挿絵よく描かれてますよね。
鯨統一郎さんの「なみだ研究所へようこそ!」とか。
こちらもオススメの連作短編集ですよ。
| アトマツ | 2005/08/17 12:42 PM |

アトマツさん
「なみだ研究所」面白そうですねえ。早速買ってみます。
面白そうな本をありがとうございますー
| ざれこ | 2005/08/17 4:24 PM |

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[若竹七海] ぼくのミステリな日常
ISBN:4488012442:detail 社内報の編集をまかされた若竹七海。「小説をのせろ」という難題を与えられた彼女は、大学時代に小説を書いていた先輩に連絡を取ります。彼が紹介してくれたのは「匿名氏」。身分、名前はいっさい明かさないことを条件に、彼が毎月書きつづけた
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再掲 ○「僕のミステリな日常」 若竹七海 創元推理文庫 660円 1996/12
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ぼくのミステリな日常posted with 簡単リンクくん at 2005. 4.24若竹 七海東京創元社 (1996.12)通常2〜3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 作品概要 建設コンサルタントOL若竹七海は、社内報の編集を任されることになる。 そこで「小説
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ぼくのミステリな日常posted with amazlet at 05.07.19若竹 七海 東京創元社 (1996/12)売り上げランキング: 54,825Amazon.co.jp で詳細を見る若竹七海『ぼくのミステリな日常』 読了。ちょいネタバレ。BOOKOFF250円コースで購入。ついつい「あとがき」から先に読んじゃ
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