本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「対話篇」金城一紀
対話篇
対話篇
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2003/02
  • 売上ランキング: 6,449
  • おすすめ度 4.11


「恋愛小説」「永遠の円環」「花」の3篇を収録。
なんでタイトルが「対話篇」か、っていうと、
全短編が対話の形式で描かれているから。
しかも男女の対話ではなく、男と男の。
本のタイトルの付け方がいいねえ、とラストまで読んでうなってみたり。

この著者の語り口は「池袋WGP」の石田衣良とすごく似ているなあ、なんて
読みながら思ってしまった。いまどきの若者を書くとどうしてもこうなるのかなあ。
微妙に投げやりで、でも微妙に青くて、純粋で。
石田衣良の短編ではその青さが若干鼻につくときもあるんだけど、
金城一紀の場合はそこらはさらっと流れてるというか。
まあつまり軽妙な文体でリズミカルなんだけど、話は3篇ともとても重い。

3篇とも共通点がある。まあ小技的なところで「谷村」という人物が共通項で、
なんてこともあるんだが、3篇とも「死」を扱ったものであること、
そして3篇とも「大切な彼女を守るためなら死んでもいい」と主人公たちは想うのだ。

3篇とも素晴らしい。とてもいい。多分こういう本に
「珠玉の短編集」なんて表現を使ってもいいんだろうな。

「恋愛小説」は、僕と不思議な友人との会話で成り立っている。
友人は、自分の大事な人がみんな死んでしまい、自らの運命を嘆き、
人と関わらず生きてきた。でも大学のときに、大事だと思う女性に出会い・・・
彼女と囁きあった「ある言葉」が、読者の想像にゆだねられる。
彼の運命を知りつつ彼と過ごした彼女と、運命に打ち勝とうとした彼が、
どんな言葉を囁いていたのか?私はそれを想像して、
哀しいというより、静かな気持ちになった。彼らはただ、大切な人と過ごしただけだ。
なんだか素敵だ。

「永遠の円環」は、末期癌で死期の近づいた僕が、
最後にある人物を殺そうとする。それは大切な彼女を傷つけた人物。
そしてKという謎の見舞い客に相談するのだが・・・・
微妙にサスペンス的要素を持った不思議な作品。
「明日、死ぬとしたら、何をする?」何度も交わされるその問いかけに、
私も一緒に考えてしまう。彼は「大切な人のそばにいる」という。
Kは「俺は生き延びる」という。・・どちらもいい答えだ。

「花」は、老年の弁護士と、死につながる病気を告げられ、
「手術をすれば完治しますが、いままでの記憶が消えるかもしれません」といわれ、
無気力になった青年とが鹿児島までドライブすることになる。
その中で、弁護士と別れた妻との思い出話が語られていく・・・
「あんなに愛していたのに、それがつらくて忘れようと思ったら、本当に忘れてしまった。」と
弁護士は言う。そして対話によって少しずつ、妻の思い出がよみがえり、そして・・
大切な記憶というのはなくなってしまうけど、いつでも取り戻すことができるのだな、なんて、
思わず感傷的になってしまった一篇。

全部、大切な人とのことが静かに書かれていて、
大切な人と一緒にいたくなる、もしくは大切な人を探したくなる。
そういう温かい気持ちをもらえました。

「恋愛小説」「花」は映画化。
この人の作品は映画化率が非常に高いですが、
作りたい気持ちもわかる気がします。
どちらも美しい映像が撮れそうだ。

| comments(10) | trackbacks(11) | 00:31 | category: 作家別・か行(金城一紀) |
コメント
トラックバックありがとうございます。

映像化しやすいだろうなというのは勿論そうなんですけど、
美しい映像が撮れそうというのは私もそう思います。
もし映画見たら感想聞かせて頂けると嬉しいです。
| turbine | 2005/07/21 5:28 PM |

TBありがとうございました。
私からもTBさせて頂きました。

金城さんの作品は漫画も含めるとほとんど何かしら他の媒体で使われていますね。私としては「レボリューションNo3」の映像化を期待したいですね。
| amu | 2005/07/21 6:40 PM |

ざれこさん…こんばんは。
TBありがとーございます。
リニュされたのですね。
ステキです♪
装丁はとても気になるたちなので「装丁本BEST」もタイヘン興味深いです。
しかしいざ思い出そうと思ってもなかなか出てこないもので(笑)。

| ユミ | 2005/09/13 6:55 PM |

ざれこさんのレビューを読んで、あらためてこの物語の世界にひたっちゃいました。
「ある言葉」は、やはり読者にゆだねられているのですね。ついついどこかに答えが?なんて探してしまいました。「ある言葉」って何だろう・・と、じっくり考えたらあらためて切なくなってしまいました。
「恋愛小説」と「花」が映画化されているんですね。キャストは誰なんだろう?すごく気になります。検索してみます。
| june | 2006/04/25 10:01 PM |

juneさん
そう、映画化されてます。どちらもDVDでてますし、キャスティングもよくって、「花」の方は、大沢たかおと柄本明だったと思います。「恋愛小説」は、小西真奈美と玉木宏と、あと池内博之だったと思うんですがうろ覚えですが。期待大でしょ?私もまだどっちも観れてないんですけど。
| ざれこ | 2006/04/26 10:13 AM |

こんばんは。
とうとう金城本を読み終えてしまいました。
内容は重たいけど、静かで人にやさしくなれる、そんな本でした。
次の本が早く出ないかなぁ。待ち遠しいです。
| あおちゃん | 2006/06/04 10:35 PM |

ざれこさん、こんばんは。

私も途中なんとなく石田衣良っぽい部分があるって思いながら読みました。
どこら辺なんでしょうかね?語り口調?
女からみたらありえない女性像?
| なな | 2006/07/18 1:41 AM |

「花」泣いた〜〜!!なんていい話なんでしょう。ゾンビーズとは又違った感動を持ちました。辛いと思っていた記憶も実はかけがえの無いもの・・・そしてそれは他の誰かさえ生きる希望を与えるのだと本当に感涙、号泣でした! ゾンビーズシリーズで笑い、感動、スッキリした後に「花」はキタ。もうほんとに。
 ほんのちょっと村上春樹さんの「海辺のカフカ」の香りもしました。 
| カジマ | 2006/11/19 11:57 PM |

こんばんは。
「映画篇」の前にと慌てて読みました。
「花」のラストは涙なしには読めませんでした。
ええ話やね。
| しんちゃん | 2007/08/03 6:11 PM |

ざれこさんがお好き、ということと、ドラマ「SP」がおもしろかったので、
初めて手に取った金城作品です。
おもしろいし、うまいし、すごいなーと感心しましたが、
私は直前に読んだ伊坂幸太郎の「フィッシュストーリー」に近い気がしました。
突き放してる(スタイリッシュ)な割りに、実はセンチメンタルな感じと、
ゆるい連作小説というくくりのせいでしょうか?
でも、やっぱり伊坂さんに比べると、若いというか少々浅い(ファンに怒られそう)
という気もしてますが、エンターテイメントとしては何の不満も無いです!
これで読書にはまる若者が増えてくれたらいいなぁ。
| つつつ | 2008/02/03 9:37 PM |

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