本を読む女。改訂版

関西弁でだらだらと本の感想書いてます。
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# 「阿修羅ガール」舞城王太郎
阿修羅ガール
阿修羅ガール
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 1,470
  • 発売日: 2003/01
  • 売上ランキング: 88,362
  • おすすめ度 3.52


なんかこの本は図書館で見つけて、冒頭1ページを読んでかなり衝撃的で、
おかげで気になってたんです。やっと読みました。

うーんと、一言で言うと「なんやこれ」的一冊。
まあ、「なんやこれ」と顔をしかめるのではなくって、
「なんやこれ」と笑ってしまうような、そんな一冊でした。

途中までは女子高生の一人称で、この作家らしい奇抜かつ計算され尽くした
女子高生文体で話は進む。
どーでもいい男佐野とエッチしてしまって落ち込むアイコ、
翌日学校に行ったらなぜかトイレでシメられて、わけわかんないから
リーダー格のマミをボコったら、佐野が行方不明になって足の指が届けられたと知らされ・・

巷では近所の三つ子ちゃんを殺したぐるぐる魔人の話題で持ちきり、
「天の声」なる2ちゃんねる風サイトで「ぐるぐる魔人をやっつけろ」とあおったので
街では厨房(中坊)が手当たり次第に襲われているという「アルマゲドン」状態。
そんな中怖くて片思いの陽治に助けを求めるアイコだが、・・・
ここまではある意味一貫してました。で、ここからが、なんつうか、なんやこれ、でした。
ネタばれになるのでここから先は書けないんだけど、
次々舞台は変わり文体は変わり、なんだけど、すごく計算されつくした
荒唐無稽さだったんだなあ、って最後まで読むと見えてきます。
でも途中、わけわかんないなりにもぐいぐいと読ませていく文章の勢いは凄まじく、
文体が変わるたびに「あ、まともな文章もやっぱり書けるのね」と思ってみたり。
森の中のシーンは格調高い?文体で、情景が浮かび本当にぞっとしたわ。

で、ラストに一気にまとめに入ってしまった。
なんだろ、まとめたくなる気持ちはわかるけど、すべて種明かしをしすぎて
「こういう解釈かなあ」って漠然と思ってたことがすべて主人公の独白で明かされてて、
いや、あいまいなまんまで突っ走ってくれてよかったのにな、って思ったりもした。

なんつうかなあ、かなり計算して構成されててすごくよくできてるんだけど、
最初の女子高生の勢いでずーっといって欲しかったなあ。現代的だったし、
アルマゲドンとかって現実でもしかしたら起こりそうっていう恐怖もあったし、
そのまんま行ってくれたらさらに面白かった気がする。せっかくの計算を悪いんだけど。

で、陽治やらぐるぐる魔人やらアイコの兄やら、もっと出してもよかったのにな。
特にアイコの兄は、深層心理的に重要な役じゃなかったのかなあ?よくわかんないや。
期待が劇的に高すぎたからだと思うけど、ちょっと厳しめですね私。

でも十分面白かったです(おい)ほんまに。
アイコが映画好きでよく映画が出てきてそれがいちいち面白そうで、
ここに出ていたコーエン兄弟の映画、2つ借りようと思いました。
で、アイコが想像していたタランティーノの映画のシーン、場面を明かされるまでもなく
脳裏に浮かんでくる自分がちょっとね、と思った。でもちょっとうれしかった。
「もっといろいろ映画とか見ないと、発想が貧困」と怒られるわ、私も。

| comments(1) | trackbacks(16) | 19:37 | category: 作家別・ま行(舞城王太郎) |
コメント
はじめまして、TBさせていただきました。
グルグル魔人の存在感が意外に薄かったですね。
| モーラ | 2005/12/24 8:50 PM |

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